壊れかけのRADIO【歌詞解釈】徳永英明 歌詞の意味

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壊れかけのRADIO 歌詞解釈
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歌詞解釈/壊れかけのRADIO【名曲の物語を紐解く】~歌詞の意味を考える~

『壊れかけのRadio』は、1990年7月7日に発売された徳永英明さんの10枚目のシングルです。カバーアルバムをたくさんリリースしている徳永英明さんですが、この曲は、彼のオリジナルの代表曲の1つです。作詞・作曲も徳永英明さんご自身がされています。

今回はのこの歌詞について考えていきたいと思います。幼い頃から身近にあったラジオを通して、思春期の葛藤や苦しみを、詩的に表現した奥深い歌詞です。

 

壊れかけのRADIO【歌詞】

何も聞こえない 何も聞かせてくれない
僕の身体が昔より 大人になったからなのか
ベッドに置いていた初めて買った黒いラジオ
いくつものメロディが いくつもの時代を作った

思春期に少年から 大人に変わる
道を探していた 汚れもないままに
飾られた行きばのない押し寄せる人波に
本当の幸せ教えてよ壊れかけのRadio

いつも聞こえてた いつも聞かせてくれた
窓ごしに空をみたら かすかな勇気が生まれた
ラジオは知っていた 僕の心をノックした
恋に破れそうな胸 やさしい風が手を振った

華やいだ祭りの後 静まる街を背に
星を眺めていたけがれもないままに
遠ざかる故郷の空 帰れない人波に
本当の幸せ教えてよ 壊れかけのRadio

ギターを弾いていた 次のコードも判らずに
迷子になりそうな夢 素敵な歌が導いた

思春期に少年から 大人に変わる
道を探していた 汚れもないままに
飾られた行きばのない押し寄せる人波に
本当の幸せ教えてよ壊れかけのRadio

華やいだ祭りの後 静まる街を背に
星を眺めていたけがれもないままに

遠ざかる故郷の空 帰れない人波に
本当の幸せ教えてよ 壊れかけのRadio

遠ざかる溢れた夢 帰れない人波に
本当の幸せ教えてよ 壊れかけのRadio

出典元:作詞:徳永英明

壊れかけのRADIO【歌詞解釈】

何も聞こえない 何も聞かせてくれない
僕の身体が昔より 大人になったからなのか

出典元:徳永英明

タイトルは『壊れかけの』となっていますが、ラジオから何も聞こえなかったら、もうそれは、『壊れかけの』というより『壊れている』のではないか、といういきなりの疑問にぶつかります。この先を読んでいくとわかるのですが、ここが『完了形』ではなく、『現在進行形』であることこそが、この曲の歌詞の根幹であるように思います。

何も聞こえなくなったラジオの不調の理由を、主人公の『僕』の身体に求めています。つまり、ラジオ自体が不調ではないのです。そして、大人になるとラジオからは何も聞こえなくなる、と主人公の僕は考えているようです。

ベッドに置いていた初めて買った黒いラジオ
いくつものメロディが いくつもの時代を作った

出典元:徳永英明

主人公の僕にとって、ラジオと自分の関係を説明しています。初めて買った黒いラジオを、ベッドに置いて長い期間、一緒に過ごしてきたようです。主人公の僕はそのラジオで、主にその時流行の音楽を聞いていたようです。その音楽を通して『時代』というものも感じ取っていました。

ちなみに1980年代は、現在のように、子供部屋にテレビがあるわけではなく、携帯電話も普及していませんでした。むしろ、テレビや電話は一家に一台という時代です。そんな中で『ラジオ』という娯楽は、現在の比べ物にならないほどのウエイトを占めていました。

思春期に少年から 大人に変わる
道を探していた 汚れもないままに
飾られた行きばのない押し寄せる人波に
本当の幸せ教えてよ壊れかけのRadio

出典元:徳永英明

主人公の僕が、純粋だった少年から思春期を迎えた時に、『本当の幸せ』というものが分からず、葛藤し、幼い頃からなんでも教えてくれたラジオに問いかけています。

きっと主人公の僕は、思春期を迎えた頃に、地元から都会へと出てのでしょう。そして、自分の居場所を見つけられないまま生きることに葛藤しています。

 

いつも聞こえてた いつも聞かせてくれた
窓ごしに空をみたら かすかな勇気が生まれた
ラジオは知っていた 僕の心をノックした
恋に破れそうな胸 やさしい風が手を振った

出典元:徳永英明

少年時代からの、主人公の僕とラジオの関係性を、非常に詩的な表現で示していむます。主人公の僕にとっては、いつでもラジオが身近にあったようです。

そして、ラジオを聴きながら空を見て勇気を出したり、悩んだり、共感したり、失恋しそうな時も、慰められたりしてしたようです。

華やいだ祭りの後 静まる街を背に
星を眺めていたけがれもないままに
遠ざかる故郷の空 帰れない人波に
本当の幸せ教えてよ 壊れかけのRadio

出典元:徳永英明

思春期を迎えた現在の心情です。主人公の僕は、都会の中で、大きな孤独をかかえています。

お祭りの後の寂しさ感じ、それでも、今までお祭りのしていた街に背を向けて、星を眺めていました。それは、昔のようにけがれのない気持ちからなら行動でした。

でも、故郷の空は遠くなっていく気がしてしまいます。都会の群衆の中で孤独を感じ、そして、『本当の幸せ』を求めています。

ギターを弾いていた 次のコードも判らずに
迷子になりそうな夢 素敵な歌が導いた

出典元:徳永英明

現在の主人公の僕は、人生に迷っており、先行きが不安で仕方ありません。でも、少年の頃であれば、分からないままでも進めましたし、迷子になりそうな時は、ラジオからの歌が自分を導いてくれたと言っています。

思春期に少年から 大人に変わる
道を探していた 汚れもないままに
飾られた行きばのない押し寄せる人波に
本当の幸せ教えてよ壊れかけのRadio

華やいだ祭りの後 静まる街を背に
星を眺めていたけがれもないままに

遠ざかる故郷の空 帰れない人波に
本当の幸せ教えてよ 壊れかけのRadio

遠ざかる溢れた夢 帰れない人波に
本当の幸せ教えてよ 壊れかけのRadio

出典元:徳永英明

主人公の僕にとって、『人波』こそが都会であり、正体不明の不安や葛藤を生み出すものであると読み取ることができます。

なぜなら、『人波』にかかる修飾語が多いからです。『飾られた』『行き場のない』『押し寄せる』『帰れない』、これらは、人波というものが、実体のないものであり、思春あるの主人公の僕の心に落とす影のようなものだと捉えることができます。

そんな都会の空気に飲まれながらも、少年時代や故郷に想いを馳せ、明るい未来を考えることは出来ないし、なんらかの答えは出ません。

そしてラジオに繰り返し問いかけているのです。『本当の幸せ』とは何かを。

壊れかけのRADIO【タイトル考察】

壊れかけのラジオは、大人になった僕に音を聞かせてくれなくなった、実は、壊れているのはラジオではなく、主人公の『僕』と捉えることができます。

ラジオの音が、主人公の僕の心にに響かなくなってしまいました。でも、『壊れた』とではなく、『壊れかけの』としているのは、主人公がまだ葛藤の中におり、完全に何も感じなくなったわけではないからではないでしょうか。

つまり、『壊れかけのラジオ』=『大人になっていく僕』のことなのです。

壊れかけのRADIO【データ】

作曲:徳永英明
作詞:徳永英明

1990年7月7日に発売された徳永英明さんの10枚目のシングルです。オリコンチャート上では前作「夢を信じて」に次ぐセールス(36.6万枚)を記録しています。 TBS系ドラマ『都会の森』主題歌に採用されました。そして、徳永英明さんご本人も俳優として出演しています。

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