天城越え【歌詞解釈】石川さゆり 歌詞の意味

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天城越え 歌詞解釈
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歌詞解釈/天城越え【名曲の物語を紐解く】~歌詞の意味を考える~

『天城越え』は紅白でも何度も歌われている石川さゆりさんの名曲です。1986年7月21日に発売され、第28回日本レコード大賞・金賞を受賞しました。 中森明菜さんやPENICILLINさんもカバーしています。

さて、この『天城越え』ですが、歌詞が非常に過激で情念的で刺激的な曲なのです。今回はそんな『天城越え』の歌詞を紐解いていきましょう。

天城越え【歌詞】

隠しきれない 移り香が
いつしかあなたに 浸みついた
誰かに盗られる くらいなら
あなたを殺していいですか寝乱れて 隠れ宿
九十九折り 浄蓮の滝舞い上がり 揺れ堕ちる肩のむこうに
あなた山が燃える
何があっても もういいの
くらくら燃える 火をくぐり
あなたと越えたい 天城越え口を開けば 別れると
刺さったまんまの 割れ硝子
ふたりで居たって 寒いけど
嘘でも抱かれりゃ あたたかいわさび沢 隠れ径
小夜時雨 寒天橋恨んでも 恨んでも 躯うらはら
あなた山が燃える
戻れなくても もういいの
くらくら燃える 地を這って
あなたと越えたい 天城越え

走り水 迷い恋
風の群れ 天城隧道

恨んでも 恨んでも 躯うらはら
あなた山が燃える
戻れなくても もういいの
くらくら燃える 地を這って
あなたと越えたい 天城越え

出典:作詞:吉岡 治

天城越え【歌詞解釈】歌詞の意味

隠しきれない 移り香が
いつしかあなたに 浸みついた
誰かに盗られる くらいなら
あなたを殺していいですか

出典:吉岡 治

冒頭からいきなり過激ですね。まず、この歌詞の主人公は女性です。

歌詞で、『あなた』と言ったら愛する男性、『君』と言ったら愛する女性と相場は決まっています。

『隠しきれない移り香』とは、他の女性の香りのことです。男性は隠そうとしているようですが、主人公の女性は見抜いています。浮気相手の女の香りが男性にしみつくほど長い間、男性は浮気をしているようです。

そして、その状況に対して、人に盗られるくらいなら、いっそ男性を殺してしまいたい、という殺意まで湧いています。

愛するが故の感情ではありますが、その過激さに驚きます。ただし、殺していいですか、と文脈上、許可を求め、お伺いを立てているところに、膨れ上がった恨みの気持ちと愛する気持ちの両方を抱く、女性の複雑な気持ちが垣間見えます。

寝乱れて 隠れ宿
九十九折り 浄蓮の滝舞い上がり 揺れ堕ちる肩のむこうに
あなた山が燃える

出典:吉岡 治

それでも主人公の女性とこの相手の男性は身体を重ねています。しかも相当盛り上がっているようです。

先ほど、男性が浮気をしている、という解釈を書きましたが、実は不倫関係であるのは、こちらのカップルの可能性もあります。男性の気持ちが、どちらが本命かは分かりませんが、世間体的に堂々としていられるカップルではないようです。二人は『天城峠』を旅行しているのですが、『隠れ宿』という表記から、そのことを読みとることができます。

『九十九折り』とは、勾配で急カーブの折り返しで連続しているで山道のことをいいます。『浄蓮の滝』とは天城峠にある有名な滝です。勢いよく滝つぼに落ち、水しぶきが舞い上がています。いずれも、天城峠の風景です。女性はこの地が、思い入れの強い地になっていくのでしょうか、これらの風景を目に焼き付けているようです。

そして、体を重ねる男性の肩越しに、宿の部屋の窓からでも見えたのでしょう、天城峠の山が、紅葉でまるで燃えているかのように、真っ赤に染まっている様子が目に入ります。

何があっても もういいの
くらくら燃える 火をくぐり
あなたと越えたい 天城越え

出典:吉岡 治

主人公の女性の感情としては、自暴自棄、もしくは破滅に向かってもいいと思っているようです。これは、男性のことを殺してしまいたいと思っている感情とも共通しますが、一緒に心中したいとも、真っ当な道を歩けなくとも、困難をくぐりぬけて、すべてを断ち切って二人だけで生きていきたい、とも読み取ることができます。

口を開けば 別れると
刺さったまんまの 割れ硝子
ふたりで居たって 寒いけど
嘘でも抱かれりゃ あたたかい

出典:吉岡 治

女性目線で書かれている歌詞なので、男性の気持ちはわかりませんが、かなり勝手な男性だということはわかります。主人公の女性以外の女、(便宜上『浮気相手』と書きますが、もしかしたらそちらが本妻かもしれません)男性は浮気相手とは別れると言っているようですが、どうやら行動は伴わず、言っているだけのようです。女性はそのことに気が付いています。

傷ついて、修羅場を迎えたこともあるようです。『刺さったまんまの割れ硝子』が、いつ、誰のどこに、どのような経緯で刺さったものなのか、明らかにはされていませんので想像するしかありません。

男性の浮気に対して、硝子が刺さったままのように心が傷ついている、という比喩表現とも読み取れますし、実際に硝子で自傷して男性に浮気相手との別れを迫ったのではないか、とも想像できます。ただし、どちらにしても、解決していないまま、女性は傷ついたままの状態です。

男性がのらりくらりとしているので、主人公の女性は自分が男性を思っているほど男性は自分のことを愛していないと気が付いています。その心のずれが、二人でいても『寒さ』を実感させています。それでも『嘘』とわかっていながらも、体を重ねることで埋まらない心の温度差を埋めているかのようです。女性の哀しさが伝わってきます。

ちなみに『山が燃える』=紅葉、『寒さ』などのキーワードから、この歌詞の季節は秋、それも冬に近い頃であると推察されます。

わさび沢 隠れ径
小夜時雨 寒天橋

出典:吉岡 治

天城峠の景色を歌っています。『わさび沢』『寒天橋』は、天城峠にある名所で沢や橋の名前です。隠れた道を通って、人目をはばかりながら旅行をしたのでしょう。小夜時雨とは夜に降る雨のことです。冬の時期に使います。

恨んでも 恨んでも 躯うらはら
あなた山が燃える

出典:吉岡 治

『うら』でを踏んでいますね。気持ちは恨んでいるのに、抱かれたら身体は男性のことを許してしまうようです。

戻れなくても もういいの
くらくら燃える 地を這って
あなたと越えたい 天城越え

出典:吉岡 治

主人公の女性は、元の生活に戻れなくてもいいと思っています。きっと主人公の女性にも家族がいます。女性にも夫や子供がいて、この旅行がw不倫旅行、とまではいかないかもしれませんが、少なくとも両親がいて、普通の社会生活を送っていたはずです。その生活に戻れなくてもいい、破滅の道をえらんでもいいという気持ち、覚悟があるのです。

残念ながら、相手の男性にはなさそうですけどね。。。

走り水 迷い恋
風の群れ 天城隧道

出典:吉岡 治

天城峠の景色を歌っています。女性の頭の中に、天城峠の景色がを挟むことで少しだけ心が揺れるのでしょうか。『走り水』とは、田んぼに水を引くのにかんがい方式で行う時の特殊な風景です。『天城隧道』とは天城トンネルのことです。

恨んでも 恨んでも 躯うらはら
あなた山が燃える
戻れなくても もういいの
くらくら燃える 地を這って
あなたと越えたい 天城越え

出典:吉岡 治

サビの部分で繰り返し、しかも印象的なメロディで出て来てる言葉があります。『あなた山が燃える』です。これは、もちろん紅葉に染まった天城峠のことですが、それ以外にも、メタファーになっています。二重の意味を持つ、ダブルミーニングになっているのです。

『あなた山が燃える』は身体を重ねる上での身体の絶頂や、気持ちの高ぶりをも表しています。またその燃えている天城峠を、主人公の女性は愛する男性と一緒にこえたいのです。それは、二人の関係における大きな壁を越えたい、という気持ちもあるのでしょう。

天城越え【タイトル考察】

『天城峠』という静岡県にある山を歩いて越えることを『天城越え』といいます。

自分以外にも女がいて、それがバレていてものらりくらりとかわし、体だけはしっかり求めてくる最低な男性を愛してしまった主人公の女性は、その男性と天城峠に旅行に来ています。

天城峠の燃えさかるような紅葉の風景自分の感情や身体を重ねている状況を重ねて表現しています。天城越えは、男性と乗り越えたい恋愛の壁や体の絶頂、感情の高ぶりなどのメタファーでもあるのです。

天城越え【データ】

作詞:吉岡 治
作曲:弦 哲也

「天城越え」(あまぎごえ)は、石川さゆりが1986年7月21日に発売した曲。第28回日本レコード大賞・金賞受賞曲。

当時のカラオケブームの最中に、「石川にしか歌えない、難易度の高い作品を」ということで制作された楽曲である。

年末恒例の『NHK紅白歌合戦』では、1986年(第37回)で初披露。その後も1997年(第48回)、1999年(第50回)、2002年(第53回)、2005年(第56回)、2008年(第59回)、2010年(第61回)、2012年(第63回)、2014年(第65回)、2016年(第67回)、2018年(第69回)と、合計11回も歌唱した。これは紅白史上最多記録となっている(次点に石川自身の「津軽海峡・冬景色」の10回が続く)。

Wikipediaより引用

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