『カカオ79%』261:迷路【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想261話】~残り21%の甘さ~

261:迷路

「あの…青木さん」
橘君がパーティー会場で、凪のお父さんを呼び止めた。
「ん?」
凪のお父さんは、飲み物を片手に振り返った。
「私に何か用かな?橘順くん」
近くには橘君のおじいちゃんもいた。

「失礼を承知でお聞きしたいことがあります。あなたは…『夏目愛』という子をご存知ありませんか?」

***

「待って、それなら俺がすでに聞いている」
橘君はパーティー会場に突入しようとする勇を引き止めながら言う。
「凪くんのお父さん…青木さんに夏目愛という子について何でもいいから教えて欲しいとさっき頼んでみたんだ。そしたら思ったよりあっさりと話してもらえてね」

橘君が、青木さんから聞いた話を勇に伝える。

「夏目…愛、ああ、あの男の娘のことか。何故君がその子のことを知っているんだ?元妻の再婚相手の娘など、俺とは何の関係も…」
凪の父親が言う。

「その子の住んでる住所か連絡先…!何でもいいのでその子に会える方法を教えていただけませんか!」
橘君は必死で食い下がった。

「…?会う?その子に…?」
凪の父親の問いに橘君は
「はい!」
と答える。

「…?俺の弱みを掴もうとしている訳じゃないのか」
凪の父親が不思議そうにしていたので、橘君が説明をする。
「その夏目愛という子は僕の友達の大事な友達で、実は長い間連絡が繋がらず、ずっと探しているそうです。だから何とかしてでも会わせてあげたくて…」

「近況を知らないのか?」
凪の父親が言う。
「え?…はぁ何一つ知っている情報がなくて…」

凪の父親はそれを聞くと
「少し待ちたまえ」
と言いながら、人にグラスを渡し、懐から万年筆とメモ帳を取り出すと手の上で書いてくれた。

「これが最近まで住んでいた住所だ。番号は妻のしか知らない」
そう言いながら、書いた紙を橘君へ渡す。
「本当にありがとうございま…」
お礼を言う橘君に凪の父親は、
「事情はよく知らないけど間に合わなくて残念だったな」
と言った。

***

その話を聞いた勇は、
「…は?…?何その話、何が間に合わなかったって言うんだ?」
勇が橘君に聞く。

「最近まで住んでいた住所って言ってたからもしかしてまた引越してしまったり…」
橘君が言う。
「はぁ?!そんなバカな!住所見せてもらえるか?」

橘君からメモを受け取り、勇はその住所をスマホで調べた。
「…結構遠いな」
勇が言う。
「車で3時間ってとこかな」

「………今から電車で行けるかな」
勇の言葉に橘君は驚く。
「え?今から?!」

「『鉄は熱いうちに打て』と言う。早く夏目を探し出して…」
勇は住所が書かれたメモをギュッと握り締めた。

誤解を解いて
全て打ち明けてしまえば

俺のせいで友達が減っていく訳じゃないと
翼に分かってもらえれば…

勇は思い出す。

―転校してきたばかりの頃の会話。
『お前に友達ができないのが俺のせいだと?』
『女の子の友達な、せいって言うか邪魔って言うか…』

―中学の頃、翼は勇と夏目愛をくっつけようと振舞った。
夏目愛も、勇の事が好きだという風に振舞った。

―先日翼は勇に
『それまで話かけんじゃねぇよ、まだ怒ってんだから』
と言った。

―中学の頃、夏目愛は
『あなたに綾ちゃんのことが幸せに出来るのかしら』
と言った。

橘君から受け取ったメモを握りしめる勇の近くの窓が、雷でピカッと光る。
「一ノ瀬?」
黙り込んでしまった勇に橘君が声をかけた。

ここ数日
頭を抱えて無駄な意地を張っていた

俺が翼とアリス野郎に謝ってしまえば
全部丸く収まる

翼だって俺から声をかけてくるのを
待っているはずだ

でもその次は?
また同じようなことがあっても
俺は文句を言ってはいけないだろうか

彼氏としての俺の言葉は
あいつに届いてないのか?

分かっている

最初から俺に勝ち目なんてない

翼がいないと生きていけないのは俺の方
情に押し付けて関係が進展するよう
仕組んだのも俺の方

好きな気持ちが
もっと大きいのは
俺の方だから…

ガガガガガガガガガガガガガガガ―と雷の音が響いた。

全部理解して我慢するべきだろうか

『友達』にこだわる翼を
振り向かせる方法はないだろうか

夏目

何もかも夏目にかかっている!

夏目にさえ会えれば
翼の『友達』への執着も
夏目が俺のことを好きだという誤解も
全てを解決出来る気がする

橘君は取り乱している勇の肩を掴んで言う。
「一ノ瀬、少し落ち着いて。今からだと着いたら夜になってしまう。連絡もしないで急に尋ねるのは失礼…」

橘君が話す後ろで、また雷が光り、音がなり響いていた。勇は冷や汗をかきながら、焦点の合わない目をしている。

「夏目に会わないといけないんだ…やっと…やっと翼に全ての説明が出来る。やっと夏目に謝れる」

橘君はいつもと明らかに違う勇の様子を目の当たりにして、
「そこまで言うなら…分かった。うちの車で一緒に行こう。夏目愛さんのところへ」
と言った。

ToBeContinued

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