『カカオ79%』153:意地っ張りの限界【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想153話】~残り21%の甘さ~

153:意地っ張りの限界

カカオ79%【あらすじ】

キャンプファイヤーの会場で、リナ先輩が怒り出す。
あー、もう待てない!!私が直接教室まで迎えに行ってくるわ」
そんなリナ先輩を、勇のクラスメイトがひき止める。
「ま、待ってください、先輩!一ノ瀬は今着替え中…!」

リナ先輩は振り向いて、大人の顔で言う。
だ・か・ら行くんだよ。ここは空気を読んでちょうだい」
それをきいたクラスメイトが呟く。
「…こわっ」
横にいたクラスメイトは言う。
「俺は羨ましいぞ、一ノ瀬のやつが」

その後方には村上さんがいた。以前、村上さんは、自分が勇に告白したときのことを思いだしていた。
「やっぱり…綾野さんのこと好きなの…?!」
「…俺は…」

思い出して、村上さんは独り言をつぶやく。
「もう言えたのかな」
本当ムカつく、と。

***

1-Bの教室では、勇を殴り損ねた翼が、勇に抱きとめられていた。
「好きだよ、翼」
そう言われて、翼は赤くなる。ドクン、ドクン、ドクンと心臓が鳴っていた。

「そ、その一言で許されると思う?てかそれ知ってるし…!そうじゃないとおかしい。でもあんたが、たまぁにそうじゃないような行動とるからこっちはもう…」
翼がそう言って顔を上げると、勇が真っ赤な顔をして翼のことをみていた。

勇の表情を見て、翼がさらにドキンドキンする。

ちゃんと言葉として言われたのは初めて…だよね?

え?この後どうすれば…

「あ、あ」
翼がテンパってごにょごにょしながら目を回していると、廊下から足音が聞こえてきた。
「しっ、誰かこっち来てるような…」
勇が翼の口を押えて言う。

「いーちーのーせーくーん!迎えに来たよ~」
廊下でリナ先輩が大きな声で言う。教室の中にいる翼と勇はびっくりする。
「おいでなさい~!!」
と廊下で言っているリナ先輩に、二人は、魔女降臨という四文字が頭に浮かんでいた。

「り、り、リナ先輩、待てずに来ちゃっ…」
焦っている翼の手を、立ち上がった勇がとった。
「な、何、何すんの?」
「しっ静かにしろって」

リナ先輩が、1-Bの教室のドアを覗く。
「ハロー、まだ着替え中か…な…?」
教室はシーンとしていた。
「ん~いない~?行き違いになっちゃったのかな」
リナ先輩は教室を見回しながら独り言をいう。すると、机の陰に大きな布をかぶった何かを見つける。そして
「ふむ~?」
と独り言を言った。

布を被った二人は、中で心臓がドキン、バクンとしていた。
「何やってんのよバカ!何で隠れるの?!てかちかいわ!!」
と翼。
「い、いや、いきなり来られてびっくりしたっつーか、心の準備が…俺あの人苦手だ。ちかいな?!」
と勇。

リナ先輩は電話をかけだした。
「あ、もしもし?ねぇ下に一ノ瀬くんいる~?誰ってミスフラワーのー。ネクタイつけてって言ったからつけてるはずの背の高い…何で知らないの!もういいよ、下降りるから!」
翼は、布の下で、目の前にしめてある勇のネクタイを見つめた。

リナ先輩は電話が終わると
「今いくよー一ノ瀬くん~、待っててね~」
と言いながら、廊下を元来た方向へ帰って行った。リナ先輩は超笑顔だった。

再び静かになった。勇は、ふいっと、大きな布を外した。
「プハッ、行ったな?!これで少しは時間が稼げたし…あーくそ明日1日中あの人とずっと一緒とかマジで勘弁…」
勇が言いながら、視線に気が付いて翼の方を見た。翼は、じーっと勇を見ていた。
「あ…えと悪い。でも反射的にと言うか、本能的に体が動いてしまって…」
勇がなぜか、隠れたことに対しての言い訳を始めた。

「ネクタイ」
翼が言う。
「ネクタイ?」
勇が聞き返す。
「リナ先輩につけてって言われてつけたんだ」
「あークラスの奴らが必ずつけてくるようにと言われたって…」
勇が答える。

「私が制服だからちゃんとつけよって言った時には、首元苦しいからって嫌がってたくせに」
翼がブスッとして言う。
「お前は毎日つけろってことだろうが。無理だっつーの、息苦しい」
勇が言うと、翼は黙り込んでしまった。すると、勇は翼に顔を近づけてきて
「……ヤキモチ?」
と聞く。

翼は怒り出した。
「ヤキモチ?!嫌なキモチだクソが!!人のこと何度無視すれば気が済むんだよ?!」
そしてパァンと、勇の顔面をはたいた。
「行けよもう!これ以上リナ先輩待たせるとわるいし!」
翼は立ち上がって、プンスカ怒りながら行こうとする。

「待ってよ、おい!」
勇が翼の手を掴んだ。
「何よ!」

「行かないでつったら行かないって」
勇は必死の顔で翼に言う。翼は振り返った。
「じゃないと行くぞ?マジで行くぞ?!っ…言ってよ、行くなって」

翼は今までのことが蘇る。

***

転校したての頃、放課後に村上さんに屋上に呼び出された時、先に帰ろうとした翼を勇は引き止めた。
「すぐ戻ってくるから待ってろ

中学の頃、女の子に告白される勇を、校舎の陰から翼は見ていた。

転校してきたときの、クラスメイトへの自己紹介の時に、翼は勇について
こいつただ今彼女募集中なので」
と言った。

***

翼を引き止める勇の手が震えた。
「…いや、だ、だからそれ無理って…待ってるんだよ?リナ先輩…大金払って…」
翼の言葉に、勇がスネた顔をする。そして舌打ちをしながら言う。
「…わかったよ、行けばいいんだろ」
「…おう、舌打ちをするな」

「いくよ」
と勇。
「おう」
と翼。
「本当に行くよ」
と勇。
「早く行きなさい」
と翼。

勇が立ち上がって、翼の前を通って、教室の出口へと向かう。翼は、

好きだよ、翼、

と言った勇の言葉を思い出す。

また後悔する気?

「…い…で」
勇は、シャツの裾を引っ張られる。振り返ると、翼が、勇のシャツの裾を、うつむいたまま握りしめていた。
「……何?」
翼の顔が赤い。しばらく押し黙ったあと、勇を見た。そして、一言
「行くな!」
と言った。

勇は、そんな翼に、ちゅっと優しいキスをした。右手で、翼の首のあたりを触る。
「行くかよ」
勇が言った。

中学の頃、愛ちゃんと勇を二人きりにして、翼は笑顔で手を振っていたことを、勇は思い出していた。

「やっと、引き止めてもらったんだぞ」
そして勇は、翼にもう一度キスをした。

To Be Continued

 

カカオ79%【感想】

リナ先輩・・・布の下の気配に気がついてましたよね?そして、気がつかないふりをしてくれていましたね。なおかつ、あのリナ先輩の電話で、「教室にはいなかった」ということを、生徒会の人を通してキャンプファイヤーの会場の人たちに伝えたのかな、と思います。それはどういうことかと言うと、教室の人払いをしてくれたのかな・・・と。

リナ先輩、むっちゃいい人じゃないですか。。。出てきた当初は、翼と勇の仲を引っ掻き回す小悪魔キャラ?で振り回されちゃうのかなと心配していましたが、村上さんを制御(?)してくれたり、翼の気持ちを後押ししてくれたり、強引な部分もあるけど、ナイスアシストです。

ずっと引っ張っていた、翼の「いつも後から後悔する」という後悔の教訓が、やあああああっと生かされてくれました。後悔ばかりしていたから、だから言えたのですよね。「行くな」って。

行くかよ、って言った勇、色っぽ過ぎです。ずっとずっとずっと抱えていた切ない気持ちが報われた瞬間でしたね。私としては、もう、感無量、です。

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コメント

  1. 妹子 kiki より:

    さちさん
    コメントありがとうございます。
    褒めていただき、本当にうれしいです。
    最近体調が悪く更新が止まっているのですが、やめたわけではないのでまた見に来て下さると嬉しいです。
    コメント、本当にありがとうございました!!