『カカオ79%』154:蓋【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想154話】~残り21%の甘さ~

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154:蓋

 

カカオ79%【あらすじ】

教室からキャンプファイヤーの会場に戻ってきたリナ先輩は、不機嫌な顔で腕を組んで椅子に座っていた。翼や勇のクラスメイト達が、うちわであおいだり、コーラを差し出したりしながら、リナ先輩のご機嫌をとっている。

「ほ、本当に申し訳ない、すぐに来ると思いますんで…!おい!呼び出しに行ったやつ誰だよ、連絡してみろよ!」
あたふたしながら、クラスメイトが言うと、そこへ委員長がやってきた。委員長は、サングラスをかけている。

サングラスの奥の目を光らせながら、委員長は言う。
「彼は来ませんよ」

「えっ、委員長?何故グラサン…いや、それより来ないって…」
クラスメイトが聞き返す。リナ先輩は、委員長のことをちらっと見ている。
「その代わり、私から一言言わせてください」
委員長が続ける。

「これは間違っている!」
委員長が声のボリュームを上げて言った。
「え?間違ってるって何が…」
「金を払って人を買うなんてまるで奴隷ではないか!この平等世界で、何故、一ノ瀬くんだけが美しいという理由だけで私たちB組の身代わりとなり、大事な文化祭の一日を犠牲にしないといけないのか!」

***

その頃、勇と翼は、B組の教室でキスをしていた。唇を離して、至近距離で見つめ合う。そして、もう一度キスをした。

***

「学級会議の時に、これは儲かるって自分も大賛成していたくせに」
クラスメイトの言葉に、委員長はギクッとする。

リナ先輩は、委員長の方に向き直って立ち上がった。
「あら、言ってくれるじゃない。私と一日過ごすことが『犠牲』と言われるほどの災難なのかしら?」
委員長は、しまった、という気持ちが表情に出ている。

「そりゃあまあ明日一日中お前の委員会の仕事の付き添いにならんといけないわけだから、逃がさねえぞ」
リナ先輩の背後から、トランシーバーを持ったアリザワ先輩が口を挟んだ。今度はリナ先輩がギクッとする。
「あらいたの?」
「委員会のテントの前でそれを聞くか」

「わ、私は!このミス・ミスター大会から繋がる『フラワー争奪戦』の正当性について言っているのです!」
アリザワ先輩とリナ先輩の会話を、委員長が割って入り、自分の意見を主張する。
「全クラス平等な稼ぎの為に現金の代わりにコイン制にしたわけではありませんか?!その趣旨に反するこのイベントは破棄するべきだと思います!」

「いやコイン制にしたのは単純に儲かるからだけど」
リナ先輩が冷静に言う。同意するように、アリザワ先輩も、何も言わない。

まぁ、知ってたけど

委員長陣営にはそんな空気が流れた。

「じゃ、来年から破棄でよろしいのでは?私はちゃんとフラワーを払って彼と一緒に過ごせる権利を手に入れたのよ、今更どうしろと?まさかフラワー返すからこれでよしとしてくださいってわけじゃないよね」
リナ先輩が主張する。
「そ、そんな…!そのフラワーがないとうちのクラスは…委員長…!」
クラスメイトは焦っていた。

「彼の代わりに僕が付き添います」
委員長が言った。
「それでもあなたの言ってる趣旨に反するということには変わりないよ」
とリナ先輩。
「いいえ」
委員長は、リナ先輩の正面に立ち、リナ先輩に顔を近づけて言った。
「私は私の意志であなたと一緒にいたいと思っていますから」
リナ先輩は、サングラスの委員長のことをじっとみつめた。

「……………それは…つまり…」

リナ先輩は、ポロポロポロと涙を流し始めた。
一ノ瀬くんは、死んでも私と一緒にいたくないと思ってるってこと…?」
リナ先輩の涙に、委員長は焦る。
「めめめめめめめめめ滅相もない!!ただわ、わ、私は…!その…!あの…ヌベラバ」

焦る委員長を見て、リナ先輩は心の中でにやりとする。

少しドキッとしたけど、あなただと大金払った意味がないのよ、ごめんね

アリザワ先輩は、その様子を後ろで見ながら、嘘泣き、と見抜いていた。
「会長捕まえてきました」
と、生徒会役員からの報告に、アリザワ先輩は
「ご苦労」
と返事をする。

村上さんも、その様子を眺めながら、リナ先輩のことを、改めて思う。

魔女だ…

委員長は、少し落ち着きを取り戻した。そして、ゆっくりとサングラスを外した。
「そう…ですか、やっぱり…私じゃダメなんですよね」
委員長の素顔をみて、リナ先輩の動きが止まった。

なかなか好み

キュンとしている。周囲も、驚きのあまり固まっている。

1年B組のメイク&ヘア担当の二人は、両手を握り締めて喜んだ。
「YES!!!」
「ねえ、委員長どうしたの?!何か…か、格好良くない?」
事情を知らないクラスメイトが聞く。
「それがね、さっき、急に来て…」

***

実は、少し前に委員長は、メイク&ヘア担当のところに相談に来ていた。
「一ノ瀬くんなみに…!あ、いやそれは無理か。と、とにかく僕のこと出来るだけ格好よくしてもらえますか?!」
委員長の頼みに、メイク&ヘア担当の二人は困惑する。
「え、どうしたの、急に」
「え?!あ、いや、えーと…好きな人に今日告白します!」
委員長の言葉に、二人は驚き、そして張り切った。
「えええ?!マジ~?!」

***

その時の様子を、二人は得意気にクラスメイトに説明していた。
「メガネを外した委員長が結構イケてたから頑張ったと言うか…」
「サングラスは私のアイデア」
事情を聴いていたクラスメイトは、キャーキャー喜ぶ。
「じゃ、委員長はずっとあの先輩のことが好きだったの?!」
「高校文化祭って本当、恋のイベントって感じだよね」
「青春だわ、あーうらやまし」

委員長の腕を、リナ先輩が組んで、ハートマークを飛ばしていた
「ほ、本当に私でいいんですか」
という委員長に
「そんなくだらないことはどうでもいいからまずグラサン外そっか」
とリナ先輩。

***

翼のスマホが鳴った。キスを続けようとする勇の顔を翼は手のひらでおさえて、スマホをみた。委員長からのメッセージだった。
「一ノ瀬君の自由確定!松本先輩のこと説得成功!明日も付き添わなくてOKです」
翼は喜んで、そのことを勇に説明した。嬉しそうにスマホの画面を見る翼を勇は見つめた。そして思う。

可愛い

そして突然、翼にキスをする。不意打ちに、翼は驚く。

***

橘君は通りがかりに、暗くなった校舎の陰に座っているモブ男に気が付いた。
「夏目…君?」
橘君がモブ男に声をかけて、隣に座った。

「こんなところで一人で何してるの?」
「あー様子見て適当に帰ろうと思って」
「劇のナレーション、大変だったね、お疲れ」
橘君の言葉にモブ男が答える。
「どうも」

橘くんは、モブ男の横顔をちらりと見た。モブ男は、真っ直ぐ前を見ていた。
「昼間のハプニング、パリスとジュリエットのキスシーンから、ロミオとジュリエットのキスシーンに変えたのって、夏目君が決めたんだよね
橘君の言葉に、夏目君と呼ばれたモブ男も、橘君の方を見た。

***

天童さんは、一人暮らしの真っ暗なアパートに、一人で帰ってきた。手には、黄色い風船を握っていた。目は赤く腫れ、傷ついた顔をしていた。

***

「そうだけど」
橘君の問いに、モブ男が答える。
「あ、もしかして天童さん?!仲良かったっけ!」
モブ男の目が見開いた。
「そうだね、仲良かったよ
橘君は、立ち上がりながら言った。
夏目君は仲良くしなよ、一ノ瀬君達と。あんまりいじめないで、二人ともその名前の人には嫌われたくないと思ってんだろうから、じゃー」
立ち去って行く橘君の後ろ姿を、無表情で真っ直ぐに見つめていた。

***

アリザワ先輩は、校舎のまわりをキョロキョロしながら歩いていた。

ふーむ、リナのやつはともかく、一ノ瀬っつーやつはどこ行ったんだろ。
大魔王も見えねぇし、どっかでドンパッチやってんじゃねぇの。
彼女はいないって宣言されちゃったわけだし、絶対気にしてると思うんだよな…
意地張ってまた関係悪化になってたりとか…

考えをめぐらせながら歩いていると、校舎から出て来た翼と勇に、アリザワ先輩は気が付いた。
「あ、アリザワ先輩」
翼も、アリザワ先輩に気が付き、勇の横から、ひょこっと顔を出した。

「よ!久しぶりって感じするな」
アリザワ先輩が右手を上げながら言った。
「今日全く顔合わせてなかったんですもんね、委員長やっぱ忙しかったんですか?」
翼が、勇より前に出て、アリザワ先輩に駆け寄りながら言う。
「死ぬほどには忙しかったかな」

「すみません、劇終えてから手伝えばよかったのに…」
「本当だよ、なんなら明日働いてくれるか?」
アリザワ先輩の言葉に、勇は、後ろから翼の顔面を、手のひらでアリザワ先輩から遠ざけた。
「無理です」

アリザワ先輩は、ブスッとした顔をする。翼は、自分の顔を押さえていた勇の手の甲をギュッとつねった。
「おいおい、彼氏でもないのに縛りすぎじゃね?」
勇と翼は、アリザワ先輩の言葉に、揃ってビクッとする。

翼につねられた勇の手の甲は赤くなっていた。翼は、涙目になった。

そんなにはっきり言わなくても

「彼氏ですが何か」
隣で勇が言った。
翼が固まる。アリザワ先輩も、翼も、勇の方を見た。
「………へぇ」
アリザワ先輩が真顔で呟く。
「へえええ」
そして、至近距離で翼の顔を覗き込んだ。勇は、そんなアリザワ先輩の顔面を、翼につねられて赤くなった手で、ガッと掴んだ。

「それでは末永くお幸せに」
アリザワ先輩は退散していった。勇は、フンと鼻を鳴らし、翼は無表情で手を振った。

アリザワ先輩が行ってしまうと、翼はちらりと勇の方を盗み見た。
「……………………………………………………………………か」
翼がやっと口を開こうとすると、勇がかぶせて言った。
「彼女。俺の」
翼を指さしている。

翼はいっぱいいっぱいの顔で、勇を見つめた。勇は涼しげにほほ笑んで、翼を見つめる。いつの間にか手も繋いでいた。

「……ま、まじ?」
翼の問いに、勇が答える。
「めっちゃマジ。大マジ。マジゴリラ」
「……ゴリラいらなくない?」

文化祭1日目終了

To Be Continued

カカオ79%【感想】

ついに、ついに見ることが出来ましたー!委員長の目!!素顔!!

メガネが割れても、目のところだけ隠されていた委員長、想像以上にかっこよかったですね。それでもやっぱり勇の端正な顔立ちは別格ですが、委員長も十分イケメンでした。

そしてもう一つ念願が叶いました。翼と勇が、晴れてカレカノに。それでもまだ全ての障害がなくなったわけではありませんが、確実に一歩前進しています。

少なくとも今日の回は、ほろ苦くない恋愛マンガでした。

最後に、天童さんと橘君、やっぱり心配ですね。モブ男と話す橘君の表情は、気持ちが読み取れません。橘君は天童さんとか恋話が絡んでくると、時折こういう表情をします。もうこれ以上踏み込めない、というような顔ですね。

ロミオとジュリエットのキスを決めたモブ男に対しても、怒ってるわけでもなく、茶化してるわけでもなく、淡々とはなしています。その話をした目的がわからないくらい、フラットに話しています。

そんな橘君の態度、天童さんはきっととても傷つきますよね。天童さんは、橘君がちょっとくらい動揺してくれていたら、たとえ事故で勇とキスしたことも、少しは救われたのだと思います。

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