web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想260話】~残り21%の甘さ~
260:迷路(2)
凪はジュースの自動販売機をカン、と力いっぱい蹴った。もう一回蹴ろうとした瞬間、スマホが震えて、凪は足をピタッと止めた。
怒った顔をしながら
「もしもしー?」
と電話に出る。
「まさかあそこに行ってる訳じゃないよね、せっかくあの家から自由にしてあげたのに。わざわざ陰口の餌になってあげに行く必要はないでしょう」
凪の電話の向こうで、女性が窓の外を見ながら話していた。女性は、愛ちゃんのお父さんの再婚相手、清水先生だった。
「は?誰のせいで餌にされてんだと思う?」
凪が言う。
「アンタじゃなけりゃあオレはこの裕福な環境の中で楽に暮らして伸び伸びと生きていけたんだよ、オレに指図出来る口じゃねぇだろうが」
「あの子達には話してあるの?」
女性が言う。
「関係ねぇだろう、アンタは馴れ馴れしく電話かけて来るな」
凪はそう言うと、ピッと電話を切った。チッと舌打ちする。
凪はスマホを見て、着ているメッセージに気が付く。翼からだ。立て続けに着ている。
『今ちょっといい?』
『あのー』
『もしもし』
『おーい、見たら連絡ください』
何だこれは…
凪はスマホの画面を見つめた。
***
降りしきる雨の中、勇はパーティー会場のホテルに到着した。橘君はホテルの入口で待ってくれていた。
「一ノ瀬ここ…!」
「何も直接来なくても…」
と言う橘君に勇は
「あいつ俺に嘘ついてまでずっと隠していたんだ、現場(?)で吐かせないと…」
と答えた。
「とことがそれが…夏目くんもう帰っちゃったみたいで…」
橘君が言う。
「大丈夫、ここには夏目のこと知ってる人が沢山いるってことだろう?」
勇が中に入ろうとする。
「ちょ、一ノ瀬…!待ちなよ、流石に人の家の事情を色んな人に聞いて回るのは…!」
橘君が制止した。
「知ってそうな人だけ話してみるよ。あいつの父親とか」
「待ってそれなら」
橘君は勇の後を追いながら言う。
「俺がすでに聞いてる」
***
降りしきる雨。凪は電車で移動して駅から出て来た。目の前には翼が待ち構えていた。
「何?暇なの?」
パアンと傘を開きながら凪が言う。
「も、元々今日はあんたと会う予定だった訳だから…!時間が空いててもおかしくないでしょう!」
翼は反論する。
「だからと言って本当に出てくるとは」
「話があるなら駅前で待ってろ、つったのもあんただろうが!」
翼が凪に聞く。
「どこ行ってたのよ。今まで誰といた?」
「彼女か」
凪が言う。
「……勇と会っていたり」
「?何故一ノ瀬?」
凪は本当に心当たりがないようだった。
違ったのか、と翼は思う。
「いや、あいつも急に出て行ったみたいで。あんたが私との約束キャンセルしたのってひょっとしたら……」
「何だそれは。俺は一ノ瀬君には夏目愛のこととかこうやって綾野さんと会っていることについて隠したい派なんだよ」
凪が言う。
「そ、そ…なの?」
翼が仏頂面で言う。
「綾野さんが後ろめたさでビクビクしてるところを見るのも面白いし、一ノ瀬は勘がいいから色々感づかれるのもあれだし、俺は綾野さんに先に知って欲しいと思ってるんでね」
凪はいつものイジワルそうな表情をして言った。
「……何を?」
翼は、凪が先に知って欲しいことが何なのか分からない。
「ダイアリー読んだ?」
凪は翼の質問に答えずに、別の質
問をする。
「話を逸らさないでよ、何でそういう曖昧な言い方をするの?何で愛ちゃんのことを私にだけ教えてくれるの?勇に内緒にしてるのも黙っていてくれるし、何か勇が知ったらマズいことでもあるの?」
翼が畳みかける。
「別に。綾野さんに先に知って欲しいだけだって、言ったよね、オレ」
こいつ…今日はさらに機嫌が悪い…?!
翼は凪の返事を聞きながら思う。
「じゃ、じゃあこれだけでも教えてよ…!愛ちゃんは元気?愛ちゃんの気持ちとか…そういうのは直接あの子に会って聞きたい。ダイアリーとか、あんたの口からじゃなく。ただあんたから見た愛ちゃんがどうなのか、それが気になる」
翼と凪。2人は傘を差したまま相対し話す。
「隣で見てきたはずのあんたは愛ちゃんとどんな話をした?そして私達とのことを知って何を思った?とか…『あなたの話』が聞きたいの」
***
橘君の話を聞いて勇は驚く。
「…は?何その話」
ToBeContinued
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