『カカオ79%』258:【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想258話】~残り21%の甘さ~

258:雨とピアノの旋律(8)

あれから
ピアノをやめたいと親に話すまで
時間はあんまりかからなかった

俺がビビッていたのは他でもなく
この瞬間だったということに
その時気付いた

ガッカリする両親の顔…
―を見たくないがために頑張ってきたのに

「何だ、そんなことで悩んでいたのか?」
と勇の父は言った。
「やめたいならそう言えばよかったのに」
と勇の母は言った。

「じゃああのピアノは蛍にあげちゃおうかしら」
「お母さんそれいいね」
両親が会話していた。

思ったよりあっさりやめさせてくれて
逆に苛立ちがした

今思えば
あの頃は父も
いっぱいいっぱいだったんじゃないかな

勇は父と二人で過ごした1年間のこと思う。

これをきっかけに
俺の自分勝手ではっきりとした性分が
より強まったんじゃないかと思う

雷に関しては
どうやら誰かに甘えたいだけだったのか
精神的に弱っている時や
一人でいる時以外では
落ち着いてしのげるようになっていた

 

中学2年生のある雨の日。勇は翼にうしろからもたれかかっていた。翼は、重そうに勇を引きづって歩く。

久しぶりにきたなこれ
重いわ

勇は雨にビビッているふりをしながら、翼にひっついていた

雨の日は
今じゃ結構好きだ

翼は勇を引きずりながら
「でも私は、あんたの弾くピアノ好きだったな。あれ以来、弾いてるとこ見たことないや」
丁度、第2音楽室の前を通るとこだった。

翼の言葉に、勇はむくっと起き上がり、何となく第2音楽室へと入って行った。ピアノの前に立ち、ポーンと弾いてみた。

あ…
いつの間にか

勇はメロディーを弾いてみた。

今ならピアノも好きになれるかも

勇が思う。

雨は止んでいた

晴れた空で輝く太陽が
眩しくて
暖かくて
嬉しくて

ずっと浴びていたかったのに

雨はまた降ってくる

このあと、愛ちゃんと仲良くなり、翼の腕が壊れ、そして愛ちゃんは姿を消した

そして花は
暴雨により
一瞬で流されていった

***

今日も雨は降り続ける。土曜日、モブ男は、以前に受信していたスマホのメッセージを眺めていた。
『今週末忘れずに』
モブ男はチッと舌打ちをすると、スマートホンをポケットにしまった。

黒いワイシャツに黒のスラックス。ジャケットは手に持っていた。モブ男は雨の中、フォーマルなスーツを着て外出をした。

一方翼は自宅の自分の部屋のベッドの上で、愛ちゃんの黄色いダイアリーとにらめっこしてた。
「うむ…うむむ……」

こんにちは皆さん
私は今一世一代の難問に
行き当ってます

読んではいけない

でも気になって仕方がない

翼は頭を抱えた

読まないと決めたなら返してくればよかった…!
目の前にあるともっと気になるじゃない!
でもこれは開けてはいけないパンドラの箱!

ああああああ
パンドラさんあなたの気持ちが死ぬほど伝わって
私達一心同体!
じゃ開けていいんじゃ?
パンドラだし
パンドラさん開けてたし…

翼が考えていると、突然、コンコン、と部屋の扉がノックされて、翼は
「ヒイイイ!」
と驚く。

ドアが開いて、天童さんが顔を見せた。
「私これからバイトだけど、傘を一本借りていいか?自分のは昨日置いてきちまって…」
天童さんが話しかけながら、翼の方を見る。
「何してる」

翼はベッドの上で、あぐらをかいたまま、上半身を前に倒していた。
「いあ…まあ挨拶…?いいよ、何でも自由に使っちゃって」
翼のお腹の下にはダイアリーが隠れていた。

天童さんは様子のおかしい翼を見つめた。
「あいつとはまだ喧嘩中か?」
天童さんが言う。
「う、うん」
翼は頷く。

天童さんは腕を組んでため息を吐いた。
「じゃあ今日はずっと家に引きこもりか。雨のせいでジョギングも出来ない」
「留守番って言ってよ…引きこもりって…」

先輩のことで言い争いをしてから
もう数日

『私と先輩にちゃんと謝るまで話しかけんじゃねえよ』

あれから
私達は
ずっと会話していない

雨が続いてるせいで
勇の状態が心配ではあったけど

うまく耐えてるようで
特にフォローをすることもなかった

うっかり抱きついてきたりとか出来ないのかよ
バカみたいにまた無理してんじゃねぇだろうな
何を考えているのか

翼はシャーっと音を立てて部屋のカーテンを開けた。
「雨続いてんな…」
翼は一人ごちる。
「はあぁ憂鬱な土曜日だな」

***

とある大きな高級ホテルのパーティー会場にモブ男は全身真っ黒のスーツを着て来ていた。会場の隅の方に、壁を背にして、一人で立っていた。

「じゃあ今日凪君もきてるんですか?」
「ええあちらに…」
ドレスアップをして、グラス片手に女性と男性が話している。男性が会場の隅に注意を向けると、モブ男こと凪の姿はそこにはなかった。

その頃、凪は会場を出て、腕まくりをしながらホテルの廊下を歩いていた。

くそ、何で俺がこんなところに…

すると、今来た来客の中に知っている顔を見つける。
「おお橘様、ご無沙汰しております。今日はお越しいただき誠に…」

橘君だ。ベージュの色のスーツを着て、おじいちゃんと同行していた。
「ああああ」

***

「暇すぎてもっと気になるじゃない」
自宅で一人留守番をする翼はベッドの上のダイアリーに目をやった。

ToBeContinued

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