web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想72話】~残り21%の甘さ~
71:夏の風と音と匂い(6)
【あらすじ】
3人でお昼を食べようと屋上に来た翼と勇と愛ちゃん。すると翼が突然、後輩との約束を思い出したと言ってその場を離れる。去り際、翼は愛ちゃんにウィンクをした。
***
翼は中庭で一人で弁当を食べている。勇と愛ちゃんのことを考えていた。
打ち明けてくれたときはびっくりしたけど。
いいことだと思うよ、私は。
これでもし2人が付き合ったら、勇のファン達も諦めがつくだろうし、
何より私の大好きな2人が好き合うって
心から応援したくなるし、
てか幸せになって欲しいし・・・
私、一ノ瀬君が好きなんだ、綾ちゃんはどう?と言った愛ちゃんに、翼は、愛ちゃんの両肩をつかんで興奮気味に言った。
「まじでか!!あいつのこと異性として好きになったのか!!いやでも心配しなくていいよ。私と勇はただの幼馴染だよ。てかそれ以上にみえるか?勇とうまく行きたいなら私手伝うから!」
「私に打ち明けてくれて嬉しいよ」
頼りにされている、信頼されている。
そう思うと、そこに慰められた自分がいて、そっと涙が出た
翼は、ずっと三人で仲良くして行けるといいな、と思っていた。
それから翼は、3人でいる時には隙をみて席を外してあげたり、勇のファンから怒りを買わないように、たまには一緒につるんだりした。
翼は自分のことを、恋のキューピッドとして、いい動きをしていると自画自賛していた。
***
そんなある日、翼は学校の階段で1人でいる時に、偶然勇と鉢合わせした。今日の放課後、一緒に帰ろうと言う勇に対して、翼は何だかんだ理由をつけて愛ちゃんと2人きりにしようとする。
すると勇は、翼の腕をグイッと引っ張り自分に引き寄せた。
「なんで俺のこと避ける?」
翼が否定すると
「・・・余計なことすんなよ」
翼は焦って、してないから・・・!と答えた。
翼はびっくりしていた。自分を引っ張った時の勇が力強かった。手も兄のようにデコボコしてるし、背も今みでよりももっと伸びていた。
そう、私はなめてたんだ
恋愛というものが
女の子と男の子が仲良く手を繋いだだけで成立するものじゃないことを
まだ理解してなかったんだと思う。
***
ある日、中学校の近くの公園で写生大会があった。勇は静かなベンチで一人、絵を描いていた。しばらくすると、背後から声がしてきた。
勇が振り返ると、腕組みをした中島と、その正面に愛ちゃん、そして周りには、中島の取り巻きたちがいた。勇は不穏な空気を感じ取って、愛ちゃんにこえをかけた。
「夏目!俺の絵、見て欲しいんだけど」
勇と愛ちゃんは同じベンチに座った。
「俺余計なことした感じ?」
「中島になんか言われた?」
愛ちゃんは下を向いたまま何も答えない。
「俺ら結構仲良くなってるもんだと思ってたんだけどな。そうでもなかったのか」
「ちが・・・!」
愛ちゃんは否定しようとしたが、勇がそこで思ってもみなかったことを切り出したので、押し黙ってしまう。
「最近妙に二人きりの時も多かったし、なんかさ翼のやつ勝手に勘違いしてるみたいでさ。まさかとは思うけどちょっと気になってさ。
違ってたら笑っていいし違うと思うんだけど」
「お前さ俺のこと好きだったりしてないよな」
愛ちゃんの固まった表情を見て、勇は鉛筆でぽりぽり頭を掻いた。
「だって全然そんな風には見えないし、大体お前俺に翼のこと好きかって聞いてきた・・・!」
愛ちゃんは、ガタンと突然立ち上がった。
そしてベンチに座る勇の前に立つ。
勇の目をじっと見て、顔を近づける。
唇が重なるくらいに。
その2人の様子を、少し離れた木の陰から翼は見ていた。会話も聞こえない。表情も見えないけどわかる。
本気だ
今、あの場面で
私が入る隙間なんかなかった
一人の女と
一人の男と
二人の問題だ
自分だけが取り残された気がして、しばらくそのまま動けなかった。
to Be Continued
【感想】
ついにこの時が来てしまいました。翼が、勇と愛ちゃんが中してるのを見た瞬間です。キスしているように見えるのであって、本当にしてるかどうかは分かりませんが、翼の心が動くのには充分な出来事でしたね。
愛ちゃんの立場からすると、勇の言い分は辛かったかもしれませんが、勇も愛ちゃんと2人にするために翼に2人きりにされて、辛かったと思います。
仲の良かった3人が、誰も望んでいないのに、三角関係になっていき、そして、それぞれに距離ができてしまいていますそれぞれの思いが見事にすれ違っています。
【ネタバレ/伏線回収班】
愛ちゃんに詰め寄る中島
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