『カカオ79%』156:みぞおちに一発【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想156話】~残り21%の甘さ~

 

156:みぞおちに一発

カカオ79%【あらすじ】

2日目の文化祭は色々慌ただしかった1日目と違って落ち着いた雰囲気でスタートを切った。だからと言って何事もなかったとは言えないけど。

朝礼前、勇と翼は1-Bの教室の前で話しをしていた。
「いい?教室に入ったらまず昨日のこと皆に説明して謝るのよ」
翼が勇に言う。
「わかってるって」

ガラッと翼は勢いよく教室の扉を開けた。
クラスメイト達が一斉に注目する。
「あ、あの・・・!昨日はどうも・・・」
翼が言いかけるが、先に話しかけてきたのはクラスメイトの方だった。

「おはよう綾野さん、一ノ瀬くん!あなた達は知ってたの?委員長があの先輩のこと密かに片想いしてきたってこと!」
「え?」
翼がいまいち事態を飲みこめないでいると、クラスメイト達が次々に話しかけてきた。

「昨日すごかったよね~」
「一ノ瀬くんの代わりに私を選んでください・・・!的な~・・・」
「まさかあの委員長があんな大胆な告白してくるとは・・・」
「キャー」
翼はキョトンとしている。
勇も横で一緒に聞いていた。

「焦ったんだろうな、恋敵が一ノ瀬ともなれば~、罪な男よ」
「残念だったな、美人のご主人様に飼われる機会を逃しちゃって」
男子のクラスメイト達も優に話しかける。

「あ、いや実は俺・・・」
クラスメイトにむかって勇が口を開きかけたその時、翼は、左手でドスッと勇のみぞおちにチョップをした。
口からなんか出ている勇と驚くクラスメイトをよそに、翼は笑いながらごまかす。

「あは、あははは、そんなすごいことになってたの?こ、こいつのこと呼びに行ったら委員長から付き添わなくて結構って連絡が来てて・・・そういうことだったのか~、す、すごいな委員長・・・!」
その横で勇はうずくまっていた。利き手でみぞおちを殴られて悶絶していた。

付き合い始め、24時間も経っていないうちに
彼氏となった幼馴染の
みぞおちに一発!

勇の視線に翼は、すまんとおもいながら視線をそらした。

いいじゃないか
いいじゃないか
これで片が付くのなら・・・

***

第二教材室。
薄暗い部屋の中で、翼は勇に壁に追い詰められていた。

「ふ・・・二人でいようとは言ったけど、何もこんな薄暗いところじゃなくてもぉ・・・あと近いです・・・怖いです・・・」
翼は勇から一生懸命、顔をそらす。

「俺が舞台で彼女はいないと言ったことで怒ってたじゃんか」
「怒っ・・・!ては・・・いない・・・ちょっとだけ」
答える翼の声はだんだん小さくなる。
「んで、今は知らされたくないってこと?俺らが付き合ってるって」

翼は顔をそむけながら説明する。
「・・・・・・。昨日今日で翻すことになるから、ちょっと話づらいなと思って・・・ずっと内緒にしたいとかじゃないよ、ただちょっとゆっくり・・・・・・ごめん」
勇は腕組みをして翼のことを見た。

翼は思わず両手で自分の顔を覆った。
「大事にするって言ったそばからみぞおちに・・・」
「本当だよ」
勇はポリッと頭をかいて、トンと壁に寄りかかり、ため息をついた。
「いいよ」

「そうよね、嫌だよね、何か無駄にこんなふうにコソコソしちゃうし・・・・・・うん?」
翼は話しながら、勇のいいよの言葉の意味に気が付く。

「俺はお前の言うとおりにするから内緒にしたければそれでいいよ」
勇が言う。
「す、素直だなオイ、どうしたの?」
「・・・俺は付き合ってもらうだけで十分だからな。嫌なことは無理してまでしてもらわなくていいから」

勇の言葉に翼は、勇の顔を見つめる。

付き合って「もらう」?

「無理」させる?

・・・何だろ、なんでこんな言い方・・・

「それに、こっそり会う方が二人きりになれるからいい気もするし?」
勇はそう言うと、突然翼の背中に腕を回すと自分に引き寄せた。
「な・・・?ちょ」

キスをしそうなぐらい近づいたところで、ヴーヴーヴーヴーとスマホの音が鳴り響いた。

「・・・・・・はい」
誰だよ(怒)の気持ちを込めて勇が出る。
相手は橘君だった。

「もしもし一ノ瀬くん?橘だけど今ちょっと大丈夫!?」
「橘?どうした?声が荒い」
電話で話す勇を翼は近くで見ていた。
「悪いけどテニスコートのところ来てくれない?緊急なんだ・・・!!」
勇は驚く。
「わ、わかった、今すぐ行く」

「な、何?橘君に何かあったの?」
翼が聞く。
「わかんねぇけど俺ちょっと行ってくるから」
「私も行く!」
翼の申し出に勇はちらっと翼の方を見た。
「・・・テニスコートだけど行けるか?」
翼は、無表情のまま目を見開いた。

脳裏に色の無いテニスラケットとテニスボールが転がった。

冷や汗をかく翼の頭を、勇は優しくトンと撫でて
「連絡するからどっかで待っとけよ」
と言った。

勇が行ってしまったあと、翼は部屋の隅に一人座り込んでいた。左腕を押さえる。

びっくり・・・した
テニスコートか・・・
怪我して以来、行ったことないし・・・
予告もなしにグイッと来るから何か急に
みぞおちに一発くらったような感覚というか・・・
まさかこんな風に返されるとは

・・・そっか
私は・・・まだ
コートへすら
入れないのか

・・・橘君どうしたのかな
気になるけど
・・・
もしかして天童さん絡みとか・・・

待って
色々ありすぎて
天童さんのことすっかり忘れてた・・・!!

あの人大丈夫なの!?
絶対橘君と何かあったよね!?
それに・・・

翼は劇中での勇と天童さんのキスシーンを思い出す。
思い出してまた落ち込んでしまう。
と、とりあえず連絡してみないと・・・!
出てもらえる確率は死ぬほど低いけど

翼は、スカートのポケットを探りながら、スマホを探す。

あれ?私の携帯・・・どこですか?

ない

***

階段に置きっぱなしになっているスマホを、モブ男は拾い上げた。カチッとボタンを押すと、写真を送信しましたのお知らせが、トップ画面に出たままになっていた。

階段を駆け上がってくる足音にモブ男は気が付く。見ると息を切らした翼が到着したところだった。
「あー!!あったー!!私の携帯!!」
モブ男が持っているスマホを見て翼が言う。

「にゃー」
と、モブ男がスマホを見せ、モブ男の顔を見た翼は、ゲッという顔をしてしまう。

何でまたこいつが・・・

「ひ、拾ってくれちゃってるのかよ、あ、ありがたいかもよ」
思わず言った翼の言葉に
「わぁすごーい、全然感謝されてる気がしな~い」
と、いつもの調子のモブ男。

翼は両手を差し出すが、モブ男は笑顔でスマホを引っ込めて、渡す気はないようだ。
翼は苛立ちを隠せない顔をして
「拾って貰えて心から感謝申し上げます。この恩をどう返せば?」
と言った。
「わぁすごーい、全然感謝している顔じゃな~い」
チャラけるモブ男に
「いい加減にしろよ」
と翼はすごんだ。

「ふふふ、ごめんごめん、ほら返すから~、その代わり少しでも感謝してんなら、うむ・・・そうだね、そろそろ俺のことちゃんと名前で呼んでくれないかな
モブ男は、スマホを差し出しながら言った。

こいつ、ごめんって言葉知ってたのか

と思いながら、翼はスマホを受け取る。
「な、名前?えーっと名前・・・」

そういえばこいつのちゃんとした名前未だに知らず・・・!

みんながモブ男って呼ぶから・・・
先生もが・・・

翼は笑ってごまかそうとする。
「実は俺、ちょうどさっきあんたにメッセージ送ってるんだ。それ俺だから登録しといてね
ボブ男が翼のスマホの画面を指しながら言った。

「え?メッセージって・・・あなたが?私に?何の?」
翼が画面を見た。
画面には
「夏目:写真を送信しました」
と表示されていた。
翼はスマホの画面を見開いた目で見る。

ドスッと
それは
みぞおちに一発

モブ男が右手を伸ばしてきて、翼のスマホの画面をスーッと操作した。
表示されたのは、中学の頃、翼と勇と愛ちゃんの3人が写っている写真だった。

「俺の名前、夏目凪だよ」
モブ男が言った。

とても静かに
何事もないように
予告も無しに
来た

 

to be continued

 

 

カカオ79%【感想】

タイトルはみぞおちに一発、でしたが、この話の中で何発か入ってましたね。物理的にも、精神的にも。

教室で翼が勇に、まず一発。次はテニスコートという単語に翼が2発目をくらう。そして、モブ男の名前を聞いて、3発目、これも翼がくらってましたね。

今回翼は初めてモブ男の名前を知りました。勇がモブ男の名前を知ってからけっこうなタイムラグがありましたね。読者も勇と同じタイミングで知ったわけですが。。。

そう思うと、天童さんが橘くんが好きなことも、ずいぶん経ってから翼が後から気がついていたし、まだ天童さんからははっきりとは聞いていないし、勇と天童さんが翼の知らないところで手を組もうとしていたことも、愛ちゃんの本当の気持ちも、翼は知らないことだらけなんだなあと、改めて思いました。

これから2人でちゃんとひとつひとつクリアしていくんですよね。

モブ男、凪って名前なんですね。名前の方は初めて知りました。そんな静かな名前だったなんて、合ってないです笑

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