web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想145話】~残り21%の甘さ~
145:好きな人
カカオ79%【あらすじ】
メガネは傍らの台に置かれ、委員長は保健室のベッドに寝かされていた。突然、ガバッと起き上がる。
「!?ロミ…?!、?!」
付き添いをしていた男子のクラスメイトは、突然飛び起きた委員長に驚く。
「うおっ?!」
「オ…は…オレ…あれ?」
「委員長!気が付いた?ここ保健室だよ。大丈夫?」
クラスメイトが委員長に声をかける。
「げ、劇は…」
「覚えてばいの?無事終えたよ、いや、無事…とは言えないけど…まあ一応…」
そう言われて、委員長は覚えている最後の記憶を思いだす。天童ロミオが勇リエットにキスをするふりをする瞬間に、委員長は、後ろから天童ロミオに飛びついた。結果、天童ロミオと勇リエットは、本当にキスをしてしまったのだ。
委員長はそのことを思いだし、青くなり、震えだした。
「い、一ノ瀬君達は…!!」
震える声で委員長が尋ねた。
「あ、今「あれ」の準備で立て込んでるから会えないと思うけど…」
***
掲示板には、「ミス・ミスターコンテスト」と書かれたポスターが貼ってある。翼は、掲示板の前のベンチに、一人でぼーっと座っていた。廊下では、行きかう人たちが、それぞれに文化祭を楽しんでいた。
劇が終わった
委員長に(物理的に)背中を押された天童ロミオは、勇リエットにキスをした。翼は、その時の光景が、頭の中で再生される。
その後は、ナレーション野郎が素早くまとめてくれた。
「なななな、、何と!タイミングよく無事目を覚ましたジュリエットのおかげで、2人は死なずに済み、パリス伯爵とも再会することができました!」
客席はざわざわしていた。
「何今の?!本当にやったの?!」
「て、天童…」
モブ男のナレーションは続く。
「そのまま二人で村から逃げるようにとパリス伯爵は進めるが、ここまで手助けしてくれた伯爵に感動し、ロミオは追放から戻してもらえる努力を、ジュリエットは親と一族の説得を、自分たちの力で立ち上がると決めます。このお話では、誰の恋も叶ってないけど、誰も死んでいない。熱い恋は美しく見えるけど、その熱さで、自分も周りまでも燃やしてしまったのがロミオとジュリエットなら、この3人は他人の幸せまで考えていたから悲劇に落ちなかった。メガネロミオとジュリエット、そしてパリスでした!」
***
翼が座るベンチの前を、先程の劇をみた観客たちが、話しながら通る。
「ねえ、昼のB組の劇見た?」
「ロミジュリ?」
「超カオスだったけどそれがなかなか面白くてさー」
「最後にさ、マジでチューしたんだって?」
「そうそう、そのロミオ役をさ、E組の天童さんがやってたんだよね、マジびびったわ」
「噂に聞くと、その天童さん、文化祭の前に今回ジュリエット役の人に告ってたらしい」
「ウソ、じゃあの二人って、付き合ってんの?!」
「えー」
翼は、ベンチでぐったりとしていた。
「お待たせ、翼ちゃん~、フラワー交換してきたよー」
と言いながら、離れたところから蛍が手を上げた。横には光もいる。
「…て翼ちゃん、まだ落ち込んでんの?」
蛍が翼のところに来ると、翼は膝を抱えて、膝に顔をうずめて泣いていた。翼の涙は、膝から脛に、滝のように流れ落ちていた。
「落ち込んでない」
それでも翼はそう答えた。
「涙拭いてから言えば?」
と蛍が言う。そして、蛍は、ベンチに座る翼の横に座った。
「機嫌直しなよ、あれは事故だったじゃん。複雑な気持ちはわかるけど」
と蛍は言いながらも、多分勇にぃの方が泣きそうな気持だと思うし、と思っていた。
「…知ってる。天童さんは困ってたうちのクラスを助けてくれたし、おかげで無事劇も終えたし」
翼は蛍にそう言った。
観客のなかなかいい反応に
思わずのハプニングに驚きながらも
喜ぶみんなを見ると
私がこれを台無しにしてはいけないんだなと思った
カーテンコールに、役者をやったクラスメイト達が舞台でお辞儀をする。翼はその時、複雑な表情をしながら勇を見ていた。勇も、翼と目があったことに気が付いた。
「つば…」
勇が呼びかけようとしたその時、
「ほら一ノ瀬君!この後、ミスコンだから準備しなきゃ…!」
と言われながら、勇は他の人に引きづられる様にして連れて行かれてしまった。
「うんうん、えらいえらい。勇にぃはミスコンの宣伝で連れ去られたし、天童さんもどっか消えちゃったし、それでも一人で気持ちを沈めてる翼ちゃんえらい」
蛍が、翼の肩をポンポンと叩いた。
翼は、天童さん家で、天童さんに宣言された時のことを思い出していた。
「私の好きな人、一ノ瀬だから」
翼は少し顔を上げた。
「…まさか…本気…とか…ないよ…ね?」
翼の独り言に、
「ん?何が?」
と蛍が答えた。
***
盛り上がる文化祭真っ最中の校内を、天童さんが息を切らして走って行った。
「…った、橘…!!」
ウサギの着ぐるみを着た橘君を追いかけていた。橘君は、天童さんに呼ばれて、立ち止まり振り返った。天童さんは、膝に手を当てて、はあはあと息をしていた。
「は…話が…」
ゼーゼー言いながら、話し出す天童さんの言葉を、橘君が制する。
「劇見てたよ」
「!さっきのは事故で…!」
天童さんが顔を上げた。
「一ノ瀬のこと、本当に好きなの?」
ウサギの着ぐるみの橘君が聞く。天童さんは、瞬きも忘れて、橘君を見た。
「…わ、私の好きな人が気になる?」
橘君は、無表情で、真っ直ぐに天童さんを見ていた。天童さんは、少し泣き出しそうな表情になる。
「…私の好きな人は橘だよ。ずっと…ずっと好きだった。あの時から…助けてもらった時から、ずっと…」
天童さんは、拳をぎゅっと握りしめていた。
「違う」
橘君が口を開く。
「違うよ天童」
天童さんは、呆然と橘君を見つめている。
To Be Continued
カカオ79%【感想】
委員長、無事でよかったです(笑)橘君の目の前で勇とキスをさせてしまった天童さんと、翼の目の前で天童さんとキスをさせてしまった勇に殺されかねない・・・と思っていました。保健室で目覚めて、ことの重大さに気がついて青くなっていましたね。
勇と天童さんのキスを見て、滝のように涙を流す翼。ひところの翼を思うと、ずいぶん素直になったなって、可愛くて仕方ありませんね。勇はミスコンの準備に連れて行かれてしまったわけですが、そのミスコンでもひと波乱ありそうです。リナ先輩も出るのかな。
そして、ついに、天童さん、告白しましたーーー!!ウサギの橘君に(笑)でも、「違う」って何のこと?助けてもらったとき、というのは、両親が夜逃げしたときのこと?
劇が終わって、一気に動き出した感じですが、まだまだ続きが気になります。
カカオ79%【ネタバレ/伏線回収班】
勇→ミスコンの準備
掲示板→ミスター・ミスコンテスト
天童さん→橘「ずっと…ずっと好きだった。あの時から…助けてもらった時から、ずっと…」
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