『カカオ79%』146:好きな人の好きな人【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想146話】~残り21%の甘さ~

146:好きな人の好きな人

カカオ79%【あらすじ】

「フザケンナよお前ら!いい加減にしろよ。女装したし劇にも出た、こんぐらいやれば十分だろ?!」
『1-Bジュリエット』と書かれたプラカードを持ったり、チラシ配りを引き連れて、勇リエットがズカズカと文句を言いながら歩いていた。ジュリエットとその下僕たちは、ミスコンの宣伝をしていたのだ。ドレスのまま、ズカズカ歩く勇リエットに、下僕が注意する。
「その歩き方、やめろって」

「ミスコンとか聞いてねぇよ!何で劇終わってからも女装のままでいないといけねぇんだよ!」
「そりゃ一ノ瀬が…」

クラスメイトは、登校日の文化祭のクラスの出し物を決める時に、びしょ濡れの勇が一瞬教室に戻り、また退室するさいに言った言葉を引き合いに出した。
「別にいいけど文化祭の役割勝手に決めるぞ?」
と言った担任に対して、勇は
「人手の足りないところに全部入れといてもらっていいので」
と答えた。

「…言ってたから」
というクラスメイトに、勇は
「言ってたけど!言ってたけども!!うああああ俺のバカが」
と嘆いた。
「ぶっちゃけると劇なんざミスコンの宣伝のための茶番にすぎねぇ」
「うちのクラスの究極の目標はそのミスコンだからね」
クラスメイトの言葉に、勇は驚きの声を上げた。
「はあ?!」

***

ドンッ

フラワーを三枚、テーブルの上に置いた1年B組担任。
「うちのジュリエットに3万」
カチッとメガネを上げる。先生が座っているソファを取り囲む周りからは、おー、とかへーとかの感嘆の声が上がる。

文化祭数日前の職員室での光景だ。
「1年B組って、あの転入生の」
「ああ、確かに綺麗な顔してたもんね」

先生の正面のソファに座っていたのは、2年C組の担任だった。テーブルの上にはたくさんのフラワーが置かれていた。
「ほお、去年の優勝者であるうちの智に勝てるかな」
二人の間に、稲妻が走っている、少し離れたところで、保健室の先生が
「ジュリエットか~、私もジュリエットにしよっと」
と言っていた。

***

「担任がプライドも財布も全部かけてるって、前に」
クラスメイト達が、勇にそのことを告げると、不機嫌だった勇はさらに怒る。
「知るかよ!!何やってんだよ、教師たち」

「午後のミスコン、ジュリエットに投票お願いしまーす!」
「1年B組のジュリエットでーす」
雑談をしながらも、クラスメイト達は宣伝を続けている。

クッソ…冗談じゃねえよまじで

翼の見ているところで

よりによってあいつとあんな…

勇は、劇中で天童さんとキスをしたことを思い出す。右手のこぶしを握った。

やっと届く距離まで来たのに

異性として見てもらってると

自信持てるようになったのに

文化祭前、風邪で早退した二人は、勇の部屋で、翼からキスをした。劇中ではあったが、翼は勇に、愛しています、と言った。勇は翼の事を思い出す。

翼のやつ

どんな顔してた?

夏休みの旅行先で、酔っ払って寝た翼は、勇にしがみつきながら、愛ちゃんとちゅーしてんの見た…と言っていた。

いまどこで何を考えている?

俺はこんなところで

何をしているんだ?

勇が翼に思いを馳せて歩いていると、後ろからクラスメイトが話しかけてきた。
「そう言えばさ、一ノ瀬ってあの迷いの天童さんとけっこう仲良いの?まじでどんな関係なの?彼女、前にもうちのクラスの前で公開告白…」
話しかけている男子の後ろから、別のクラスメイトが
「KYが」
と言って、口を塞いだ。

そうだ

あのヤンキー女はどうしてるうんだ?

事故だとは言え、俺…

勇は事の重大さにハッと気が付く。

もしかしてあいつあれで初めて…とか…

そんな勇を、クラスメイトは呼ぶ。
「ジュリエット移動するぞ!」
しかし、勇には聞こえていない。

つか橘は?!

あいつやばいんじゃね?

これぞやぶ蛇…!

橘はあの場にいたのか?!

***

空は、夕方になっていた。
「体育館、ミスコン始まるって」
「行く行く」
他の生徒たちがみんな、体育館の方へ向かっていく。

橘君は、生徒たちの中に翼の姿を見つけた。
「綾野さん!」
そして、一緒にいた人たちに一言言って抜け、翼に走り寄った。

「橘くん!もうウサギじゃないいんだね」
「うん、後半はテニス部の方手伝ってたの」
翼も橘君も制服姿だった。
「だから蛍達と橘くんのクラスに寄った時に見えなかったのか」
「一ノ瀬の妹達はもう帰った?」
「そろそろ一般客は退場の時間だからね、今見送って来たところ。劇終わっても勇のやつ、ミスコンの準備で忙しくてね、結局まともに話も出来ず帰っちゃったよ~」

橘君と翼は向かい合って話していた。
「そう言えば劇見たよ」
と橘君は笑顔で言った。
「うおっ本当?!ありが…」
と言いかけて、2人の脳裏に浮かんだのは、勇と天童さんのキスシーンだった。

「げ、劇だから仕方ないとは言えびっくりしたね」
「げ、劇だから仕方ないとは言えびっくりしたな!」
翼と橘君は、無理矢理な笑顔を作りながら、同時に言った。

「大丈夫?無理してない?」
橘君が言う。
「えっ」
「悪い、やっぱ天童が劇に出ないように防ぐべきだった」
「そんな…!橘くんが謝ることじゃないよ!」
慌てて言う翼に、橘君は少しうつむいて話した。
「……天童はさ、自分の目的のためなら手段を選ばないところがあるんだ、だからこんなことになる前に俺がちゃんと止めていれば…」

橘君は、天童さんのアパートで、翼が帰った後に天童さんに言われた言葉を思い出していた。
「綾野さんのこと好きなくせに」

「橘くん!天童さんの行動で橘くんが責任を感じる必要はないよ、どうしていつも橘くんが謝るの?」
翼はそういながら、橘くんの肩に手を置いた。
「確かにちょっと…いや結構…いや、かなり衝撃ではあるけど、事故だったし、天童さんを責めるつもりもない…ただ、私が嫉妬で…狂いそうになってるだけだから」
翼は顔を真っ赤にしながら、照れて、自分の髪の毛を弄びながら言った。くっそはずかしいし、なさけないし、と思っている翼に対して、橘くんは一瞬驚いた表情をしたが、少し上を見ながら言う。

「…今のそのまま一ノ瀬に言えば全部解決すると思うよ」
「へ?!いや、それはちょっと。へ?!」
「ちゃんと伝えることがどれほど大事なことなのか、骨にしみるほど分かって来てるんじゃないの?」
橘くんは、恥ずかしさで下を向く翼の顔を覗き込んだ。

そう、元はと言えば

これは私が招いた結果なのかもしれない

天童さんが勇のことを好きだと言ったことも

私が振られてうずうずしてたから…

…のはず!!

と翼が考えていると、橘くんは
元はと言えばこれは俺のせいなのかもしれない。俺がずっと中途半端やってるから…いや、これでもはっきりしていたつもりだけどね」
と言う。翼はびっくりする。
「えっそれ今私が頭んなかで考えていた言葉…えっテレパシ?!」
中途半端?何を?とつばさが混乱していると
「ごめん」
と橘くんが翼に謝った。

「……あの…天童さんは今…どこか知ってる?」
謝る橘くんの表情に、翼は混乱を押さえて、聞く。
「…天童は」

 

劇の終演直後。ウサギの橘くんを天童さんは追いかけてきた。そして告白をした。橘君は、違うよ、天童、と言った。

そして、その後、ウサギの橘くんは、天童さんに何かを言った

それを聞いた天童さんは、泣きそうな顔をして立ち尽くしていた。橘くんが、踵をかえして立ち去ると、天童さんは少しだけうつむいた。寂しげな表情をしている。

 

「…天童は、先に帰ったよ」
橘くんが翼に言った。
「帰っ…?!」
翼は言いかけて、橘くんの顔を見た。傷ついた後のような、優しくほほ笑むような表情をしていた。

橘くんの

初めてみるその顔に

それ以上のことは聞けなかった

「行こう、体育館」

To Be Continued

カカオ79%【感想】

橘君と天童さんが結局どんな話をしたのかはわかりませんでした。何が違うかもわかりません。でも、天童さんがとても悲しい気持ちになったことはわかりました。つらそうです。

タイトルの好きな人の好きな人、とは天童さんから見れば、橘君の好きな人で翼のこと、少なくとも天童さんはそう思っています。また、橘君から見れば、翼の好きな人で勇、になるのでしょうか。

翼と話す橘君が優しくて、いつも以上に優しくて、それは天童さんが勇にキスをした原因という自覚があるからなのだと思いますが、とても切ない顔をしていました。

事故でキスされた勇に落ち度はありませんでしたが、それでも、自分や翼のことだけじゃなくて、橘君に見られたかもという天童さんの状況に思い至っていました。言ってみれば、天童さんの暴走の結果だし、自業自得の部分もあると思うので、かつての勇だったら、気にも留めなかったと思います。

 

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