web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想147話】~残り21%の甘さ~
147:ミスフラワー
カカオ79%【あらすじ】
フラワー交換所で、リナ先輩がカウンターに財布を叩きつけた。
「残りのフラワー全部ちょうだい」
フラワー交換所にいた生徒が驚く。
「り、リナさん?!どこ行ってたんですか。アリスさんが探してましたよ?!」
その様子を、少し離れたところから、財布を握りしめた村上さんが見ていた。
リナ先輩は、その生徒の言葉には答えずに、独り言のように話を続けた。
「あの小娘…事故とはいえ私の獲物に手出しやがって、興奮するじゃない、私もそろそろ本気ださないとね、早くしてちょうだい、急いでるの」
後半は、フラワー交換所の男子学生に凄む。村上さんは後方でドン引きしている。村上さんはフラワーを買おうとしていたが、踵を返した。
「も、戻ろう…」
しかし遅かったようだ。
「むーらかーみちゃん」
後ろからリナ先輩が飛びついてくる。
「キャー」
村上さんは悲鳴を上げた。
「見た?あのキスシーン」
リナ先輩は村上さんの耳元でささやく。
村上さんはの脳裏には、勇と天童さんのキスシーンが焼き付いていた。舞台袖でそのシーンを見ていた。
「その前の翼ちゃんも今までと一味違ってたし、超燃えるね~」
リナ先輩はハイテンションで言う。
「…燃える?」
村上さんはうつむいたまま聞いた。
「…ヤキモチは妬かないんですか?」
「全然、まだ私の彼氏ってわけじゃないし」
その言葉に、村上さんは顔を上げてリナ先輩を見る。リナ先輩も村上さんを見ていた。
「さあ行こう、決戦の場、体育館へ~、ミスコン始まる~!!」
リナ先輩はそう言いながら、ガシッと村上さんの肩を組んだ。村上さんは、口にこそ出さないが、気持ちの中ではドン引きしていた。
おかしい…
この女まじでおかしい…
そして怖い
普通笑えないよ
好きな人のあんなシーンを見てたら…
でもこんな性格…
ちょっと羨ましい
***
「何それ笑え…ないんだけど」
翼は体育館へと向かいながら、橘くんと話していた。壁には、ミスコン用の掲示、名前と投票のシールは貼られた紙が貼られていた。「ジュリエット」や「さとみ」と書かれている。
「ミスコンで優勝したらクラスで何かもらえる…とかだから、みんなであんなに頑張ってたと思ってたんだけど…」
翼が言った。
「うん、だから一ノ瀬と綾野さんがこのミスコンに何の抵抗もないからおかしいなと思ってたけど知らなかったんだ。このコンテストの後に行われる…」
橘くんが苦笑いで説明してくれる。と、マイクの進行の声が聞こえてくる。
「それでは皆さん!結果を発表致します!最後まで生き残ったこの二人!前年度優勝者で男とは信じきれない可愛さを見せてくれた2年C組の前原智、さとみちゃん!」
金髪に女子高生の恰好をしたさとみちゃんが、ステージの上でウィンクをした。
「新たなる神聖、ビックだけど美しい!1年B組の一ノ瀬勇、ジュリエット!」
ステージ上で勇は、ジュリエットの恰好のまま、もうどうでもいい、と無表情に立っていた。
ジュリエット、ジュリエットと、リナ先輩が目を輝かせながら村上さんの肩を前後にゆする。村上さんの頭は、前後に振り回されていた。ジュリエット、ジュリエットと保健の先生も、翼たちの担任の先生のネクタイの結び目を掴んで左右にゆする。担任の先生の頭は、左右に振り回されていた。
ドドドドドドドドド、と太鼓がなり、ジャン、と鳴りやんだ。
「新たなフラワーの誕生です!ジュリエット!」
歓声が上がる。
「まじ…か」
翼は、体育館のフロアで脱力していた。
「これはおそらく男女の票が分かれたのではと思いますが~それでは、ジュリエットに喜びの声を聞いてみ…」
司会が、話しながらステージの勇の近づいたが、突然踵を返す。
「…る前に!!皆さん長らくお待たせ致しました」
司会の目が光る。客席の目も光る。リナ先輩の目も光る。リナ先輩の手元では、チャリンと、袋に入ったフラワーがなった。
「ふふふ…この瞬間だけを待ったわよ」
そのリナ先輩のことを、村上さんは呆れた顔で見ている。
「この文化祭の花とも言える!フラワー争奪戦を始めましょう」
司会が言うと、大歓声が上がった。その声に翼は圧倒されていた。
***
このコンテストの後に行われる大戦争(?)。全ての金をフラワーで管理しているこの文化祭では、結果的に全学年、全クラスが平等な利益をあげるシステムになっている。その中で唯一、個人(クラス)の稼ぎとして認められるのが…
橘くんが説明してくれた。
「ぶっちゃけ言うと、競売」
「きょ…?!」
「残りの文化祭を、優勝者のミスミスターフラワーと一緒に過ごせる権利をかけて、競売するの」
「何それ笑えないんだけど」
翼が言った。
「おそらくこの学校の生徒達の余りのフラワーを処分するために遊び半分で始めたものの、今じゃこの文化祭の花になってしまったと兄ちゃんが…」
橘くんのお兄さんも、この高校の卒業生のようだ。
***
ステージ上の勇は、かなりイライラしていた。
何だ?フラワー争奪戦って
何かまだあるのか?!
もう終わりでいいんじゃね?!
翼はステージ上の勇をみつめて、心配している。
こんな非人道的なイベントに許可出す先生達は何考えてんの?!
何で…何で…
勇がここまで…!
そして、2人同時に思い出した。登校日の日に、勇は文化祭の出し物を決めている教室を出ていきぎわに、自分で言っていた。
「人手の足りないところに全部入れといてもらっていいので」
勇、あ
翼、あ
自業自得である。
翼の近くでは、カップルが会話をしていた。
「へぇ、さとみちゃんは可愛すぎる感じだったけど、この子は普通にかっこいいかも~」
「お前、それ彼氏の隣で言うことかよ」
「だって~」
「てかさ、これをきっかけにカップルになっちゃう場合も多いって」
「1日ずっとくっついて一緒だもんな」
か、カップル
- 翼は衝撃を受ける。振り返ると、会話をしていたカップルは、仲好さそうに男子の腕を女子が掴んでいた。一その男子が翼には勇に見える。二人とも笑顔だった。
翼は、さっきの、勇と天童さんのキスを思い出してしまった。ドクン、ドクンと心臓がなる。
「ではここで、まず確認と言うか~大事な質問、いきまーす。ミスフラワージュリエット…一ノ瀬くんは、彼女はお持ちですかぁ?」
To Be Continued
カカオ79%【感想】
リナ先輩みたいな性格は、まさに「無敵」と言うのですね。勝手に敵にしてしまう村上さんとは、正反対です。でも、村上さんが、そんなリナ先輩の性格を、ちょっとうらやましいと感じているところが、可愛いです。この人には敵わない、と思わせているのでしょう。
ここ数日の勇の不機嫌&仏頂面ったら・・・状況が状況なので仕方がないのですが、笑顔やかっこいい顔がそろそろ見たくなってきました。翼の勇を心配そうに見つめる視線は、少し前なら、家族の視線でしたが、恋する女の子の視線に変わっていて、早く、勇と翼がゆっくり話ができたらいいのにと思えてなりません。
さて、ステージ上で彼女の有無を聞かれた勇、なんて答えるの?!と気になったところで終わってしまいました。気持ちは確かめ合っているわけで、勇、なんて答えるのでしょう。ぜひぜひ、ここ数回の鬱憤を晴らすがごとく、すぱっと答えてほしいです!!
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