『カカオ79%』138:何がしたい?【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想138話】~残り21%の甘さ~

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138:何がしたい?

【あらすじ】

一人でいようと、出たところに

誰かがいるのは悪くないね

青紫の勿忘草の花壇の前で、セーラー服の愛ちゃんと、サブバッグを肩にかけたモブ男が、並んでしゃがんでいた。二人の間には、少し距離があり、後ろ姿のため、表情はわからない。

…うん、そうだね

***

文化祭の真っ最中。クラスメイトが、まだ教室にいたモブ男を、早く体育館に来るよう呼びにきた。
「夏目ぇ!!」
モブ男は、蝶ネクタイをつけているところだった。
「何かさ、ロミオのメガネが…とにかく早く体育館へ…!」
クラスメイトが言う。
「ん?」

***

うさぎの着ぐるみを着ている橘君が、翼たちのクラスのために、メガネを調達してきてくれていた。
「田中くん!これうちのクラスの視力近い子に借りて来たけど…どう?」

「橘君…!」
翼が驚いている横で、委員長が借りてきたメガネをかける。
「うおお、宇宙がみえます」
「ああ、、やっぱ無理かー」
「他のやつらのメガネも借りてかけてみるけどたっぱ他人のはなー」
クラスメイトも周りを囲んで、話し合うが、解決策は見つからなさそうだ。

「こりゃレンズ外してメガネのフレームだけかけてやるしかねぇな」
菊池君が言った。
「頑張ります!任せてください菊池くん!」
委員長は、菊池くんじゃない人に向かって宣言する。
その様子を見ていたクラスメイトが言う。
「終わった、この劇終わったわ」

そこへ、教室から到着したモブ男が入ってきた。
やれやれ誰だよ~、大事なメガネのロミオを壊した人は
「壊されたのはロミオのメガネです」
委員長は、反論するが、モブ男ではなく、椅子に向かって話していた。

「あ…悪い、私が思わず力一杯で委員長の顔面にパンチを…」
実はモブ男は、教室から体育館に来る途中に状況を聞いており、翼がやったことは知っていた。小さく舌打ちをする。
「でも急に委員長が飛びついてくるから…!」
「それは演出のために…!」
「そんな演出いらねぇし!」

周りを囲むクラスメイトが、翼に対して冷たい視線を送る。モブ男はその様子を見ていた。そして、セリフのカンペを取り出して言った。
「ロミオさぁ、セリフの危ういところはこっちから書いて見せることにしてたよね。それどうすんの?」
「ちょ、委員長?!まだセリフ覚えきれてないの?!」
翼が驚く。
「いや!二日も徹夜して覚えてきたんで、きっと大丈夫なはず…!」
委員長はカーテンに向かって言う。

翼は委員長の襟をつかんで、委員長を揺らした。
「バカなの?!どうりでクマすごいし、ふらふらしてんなと思ったら…!」
「ちょ、脳は揺らさないでください。は、吐きそう…」

「やめてあげてよ、綾野さん!」
と声を上げたのは、クラスメイトの、大道具班の3人だった。
「委員長がセリフもちゃんと覚えきれずにいるのは、綾野さんがやるべきだった大道具係の仕事を手伝ってくれてたからだよ」

その様子を、モブ男は少し離れたところから、口角を上げて見ていた。まだ文化祭の準備中であった数日前の事を思い出す。
「あれ?委員長が大道具係りの方やってる」
「綾野が門制作の方で忙しくてさ、代わりにやってあげてるらしいぜ」
「ロミオの準備もしながら、委員長としての仕事もあるのに偉いよね」
「へえ~」

***
「メガネだって綾野さんが壊したんでしょ?あなたに委員長を責める資格はないと思う」
翼は、その言葉に固まった。

村上さんは、準備を手伝いながら、翼やクラスメイトやモブ男の様子を見ていた。
あいつの言ってた悪役にする方法ってこれ?!

さっき話したモブ男との会話

あ、綾野さんに気があるわけじゃないのなら何で…何がしたいの?!

「別にー?」

そう言って、モブ男は不敵に笑った。

ぶっかき回したいだけ…?

***

翼は、クラスメイトに言われて、固まっていた。そして、考える。

…あれ?

全部やってみせるつもりで…引き受けた

全部やるのは無理って勇にも止められてたのに

意地張っといて

私は…

勇のこととか

自分のことでいっぱいで…

何調子こいて天童さんのこと心配してたのよ、自分もうまくやれてないくせに…!

そして翼は、委員長に向かって、頭を下げた。
「ご、ごめん委員長!私のせいで?!そんな迷惑をかけてたとは…」
そして、クラスメイトにも頭を下げた。
「みんなもごめん…!あの…サボるつもりは……ごめん」

***

勇が体育館に戻ってきた。トイレに行っていたのだが、ドレスのせいで時間がかかってしまっていたようだ。そして、橘君を追ってきていたメガネをかけた天童さんと鉢会った。

向かい合って、お互い誰だかの顔認識を数秒した。
「…んだよ、ヤンキー女かよ。何見てんだよ、通りすがりのジュリエット初めて見るか?ああん?」
慣れない女装で、勇はスーパー機嫌が悪かった。天童さんは無視していこうとする。
「おい待てこらぁ、その誰か気づかなければよかった的な面やめろ。この美しいジュリエット様の写真一枚も撮らないでどこ行く気だ。このメガネヤンキー…」

「メガネを壊したのは!」

そんな2人にも、委員長の声が聞こえてきた。
「お、俺の不覚からです…。綾野さんの仕事を手伝ったのは委員長としてのやるべきことだと思ったから…友達として当然のことだから…!」
委員長が冷や汗をかきながら言う。翼はそんな委員長をじっと見つめる。
「最初、無理やり役割を沢山押し付けたのは僕たちの方です。綾野さんはそれを全部引き受けて頑張ってくれたじゃないですか」

放送が入る。
「11時30分より体育館において1年B組の劇公演「メガネロミオとジュリエット、そして…」が始まります。繰り返し……」

委員長は続ける。
「でも今は誰かを責めるより!目の前の劇を成功させることが大事でしょ!俺らここまで頑張ったじゃないですか!」

委員長の言葉に、クラスメイト達が、先程までの怒った表情から、申し訳なかったな、という顔に変わっていく。

モブ男は下を向く。

いい人たちに恵まれていやがる

あいつにも最後までこんなやつらがそばにいてくれてたら…

***

委員長は、突然顔が青くなり、吐いた。
「…メ、メガネェェ!!じゃなくてロミオォォ!!」
クラスメイトが叫ぶ。
「委員長?!」
翼も叫ぶ。

ToBeContinued

【ネタバレ/伏線回収班】

大道具作業を手伝う委員長の話→『カカオ79%』111:恋したい乙女たち(4)【あらすじ&感想】

翼が委員長のメガネを壊す話→『カカオ79%』136:発端【あらすじ&感想】 

役割をいっぱい押し付けられる翼の話→『カカオ79%』90:そういうこと【あらすじ&感想】

★ここに注目★
・モブ男と愛ちゃんは、愛ちゃんが転校前の中学の頃同じ学校
・メガネをかけた天童さんも体育館にいる

【あらすじの続きはこちら】

『カカオ79%』139:大事なメガネの友人【あらすじ&感想】

前話はこちら→『カカオ79%』137:嫌い【あらすじ&感想】

 

【感想】

少しではありますが、モブ男と愛ちゃんが一緒にいるシーンがでてきましたね。制服から、翼たちの中学校に転校してくる前の学校なんじゃないかと推察します。でも、どんな関係だったかとかは分かりませんね。

そして、何を考えているかイマイチわからなかったモブ男の翼への気持ちが、悪意であると明確にわかりました。でも、翼は最後の最後まで愛ちゃんを守っていたわけで、実態は、どちらかと言うと勇の方が愛ちゃんを追い詰めたはずなのに、モブ男の敵意は、勇より翼に向いている気がします。逆恨みです。

そして、委員長は、本当に素敵な友達ですね。頑張っていたとはいえ、翼にも落ち度はありました。でも、翼を庇い、クラスメイトを諌めてくれました。顔はがり勉っぽいけど、成績はそこまででというわけではなく、なんとなくそこまで目立つ存在でもなかった委員長が、クラスの委員長をやっている理由がなんとなくわかった気がします。

委員長のおかげで、翼へむいた不満がおさめられました。委員長のおかげでもあるけれど、翼も、きちんと頭を下げてみんなに謝罪したこともよかったのだと思います。翼は不器用ですが、ずるくないし、真っ直ぐですよね。ピンチは脱していませんが、劇、成功するといいですね。

 

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