web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想235話】~残り21%の甘さ~
235:深化(3)
翼とモブ男は観覧車の中で向かい合って座り話していた。
「一ノ瀬くんに聞いたけど、二人は今付き合ってるんだって?」
モブ男の言葉に翼は何も言うことができない。
「まさか、こんな幸せな瞬間を夏目愛に邪魔されたくない」
翼は、ドクン、ドクンと自分の鼓動が大きくなるのを感じていた。
「もしくは、出し抜いちゃって合わせる顔がない…とか思っちゃってるわけ?」
モブ男の声がゴンドラの中に響き渡った。
***
翼は帰り道、先程のゴンドラの中でモブ男と話したことを思い出していた。勇に肩を叩かれ、ハッと我に返る。
「翼?」
翼はひきつった顔のまま、勇の方に振り返った。
「どうした?お前、さっきから黙り込んで、顔色が…」
翼の表情に勇も固まってしまう。
***
翼の部屋、お風呂から戻ってきた天童さんが翼に話しかける。
「………おい、今日一体何があったか知らないけど、そこ、私の寝どこ…」
翼は、ベッドの横に敷いてある天童さん用の布団の上で、掛け布団に頭からぐるぐる巻にくるまっていた。
「天童さん…」
布団の中から翼が返事をする。
「隣で寝ちゃダメですか…?」
「いや、狭いし、ベッドもあるし、キモいし、意味わかんない。今も十分隣だろうが」
天童さんは冷たく言うが、翼の隣の、布団の空いたスペースに腰を下ろした。
翼は、天童さんに背を向けたまま、薄めを開けた。
「私…勇に一つ隠してるのがある」
天童さんは、遊園地の帰り道の翼の様子を思い出す。
「確かにさっき何でもなくない顔で『何でもない』、ああ言ってたね」
天童さんは、帰り道の、勇と翼の会話を思い浮かべながら
「あいつ、絶対今夜眠れないな」
天童さんが翼の横で布団の準備をしながら言った。翼は何も答えられない。
「観覧車で何かあったのか?」
翼は布団の中でビクッとする。
「あれを乗ってからなんだか皆黙り込んでた気がする」
またも翼は何も答えられない。
「ちなみに私は何かあったぞ。橘からちゃんとした告白の返事が聞けた」
翼は、布団からガバっと起き上がった。
「えっ、ちゃんとした返事て…え?!返事聞いてなかったの?!え?あれ…!」
翼と天童さんは布団の上に座って話す。天童さんは、観覧車の中での橘くんとの会話を翼に伝え始めた。
***
「文化祭の時は、本当のごめん」
観覧車で少し距離をとって座った二人。橘君が口を開いた。天童さんは少し驚いた顔をするが、特に何も返さず、シーンとした気まずい雰囲気が二人の間に流れた。
「トドメ…?」
天童さんが少し間をおいてから言うと、橘君が
「違う」
とすかさず否定した。
「あの時…天童の気持ちを勝手に決めつけて、否定したことを謝りたい。あれは…天童の気持ちへの答えになっていなかった、俺の考えを押し付けただけだった」
天童さんは、橘君の顔とじっと見つめた。橘君は話を続ける。
「自分は天童を異性としての特別な存在だと思うことが出来ないから…せめて友達、家族として一緒にいたいと思っていた。それが俺の中で分けてあげられる最大限の特別…だったから」
橘君は下を向きながら話した。
「ところがここ最近自分にも分からない気持ちが芽生えてから、自分がどれほど失礼な言葉を口にしたのか気づいて…」
天童さんが口を挟む。
「…自分にも分からない気持ち?」
「そう、自分でも気持ちを理解できてないのに、他人の気持ちを簡単に決めつけて良いものか、これがどんな気持ちなのか理解するために、俺はここ数日悩み苦しんで…天童だってこんなに悩んで出した答えだったはずなのに…!」
橘君は必死で話をするが、天童さんはキョトンとしていた。頭に『?』が浮かんでいた。
天童さんは別に悩んではいなかったのだ。
「と、とにかく…、テニス以外は線引きして深く向き合わないようにしてきた結果がこれだと、反省し始め…」
「その『新しく芽生えた自分にも分からない気持ち』って何?」
天童さんが、口を挟んだ。そして、質問を畳みかける。
「誰への?」
天童さんの言葉に橘君の目が見開かれる。それを橘君を、天童さんは真っ直ぐに見つめた。
「誰への?」
天童さんはもう一度聞いた。
***
「それでそれで?!」
天童さんから話を聞いている翼は続きが気になって仕方がない。
ToBeContinued
カカオ79%【感想(ネタバレ有)】
翼が観覧車でのモブ男斗の出来事を勇にも、天童さんにもなかなか離せない中、天童さんと橘君のゴンドラの中での出来事を天童さんの方から報告してきてくれて、翼も自分のことを一瞬忘れて、天童さんの話に夢中になっていたけれど、私もです。アリザワ先輩と勇の殺伐としたであろうゴンドラも、翼とモブ男のイライラする会話も、委員長とリナ先輩のドン引きの状況とかも全て忘れて、天童さんと橘君の会話に夢中になりましたさ。そして続きが気になる(笑)
布団の上でそんな会話。修学旅行の夜みたいじゃないか!
天童さんと翼がそんな女友達になってるところがまた嬉しい!
そして、橘君が天童さんのことを真剣に考えてくれながら話してくれているの、いいですね。なかなか二人のやり取りも面白いです。トドメ?ってなかなか出て来ないと思います(笑)
翼と一緒で、続きが気になるところでToBeContinuedでした…。
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