『カカオ79%』221:遊園地へ行こう(3)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想220話】~残り21%の甘さ~

221:遊園地へ行こう(3)

こんにちは

皆さん

 

今日の天気は晴れ

ちょうどいい秋の

遊園地日和です

 

楽しみにしていた遊園地のはずが

 

いろんな意味で

怖くなってしまったのは

いつからでしょう

 

アリザワ先輩を誘った時から?

村上さんが加わってから?

 

蛍が協力して、可愛い髪型と可愛い服装で待ち合わせ場所で勇と会った翼は、ひきつった笑顔で勇に、挨拶で手をふった。勇は驚いた顔をしている。

 

「あ忘れもの」

そう言って引き返す天童さんの肩を、翼はガッと掴む。

「待って天童さん?」

 

そして、勢いよく天童さんの顔の前で話し出す。

「忘れ物したのは私じゃないかな、勇気とか覚悟とかそういうの忘れてきた気がする。私が行ってきていい?一緒に付いてっていい?てかこの状況で私を置いてかないでくれる?」

 

「落ち着けアホ」

天童さんは無表情のまま、翼に言う。

「何緊張してんだ。何年も毎日くっついてた仲のくせに。ほら、ポカンとしてるぞ、君の彼氏」

 

勇は、翼の姿を見てから、ずっとポカンとしていた。

 

「で、でもこの格好、どう見ても『あなたに可愛く見られたくて頑張りました』じゃない!恥ずかしいんだよ、制服以外でこんなミニスカート初めてなんだよ、てかまだギクシャクしてんだよ」

天童さんは、コン、と翼の頭にチョップした。

 

「何言ってんだ、その仲直りのための頑張りだろうが、大人しく可愛いの一言でもねだって来なよ」

天童さんはチョップの手のまま、翼に説明をする。

「ガチで忘れ物してきたから行ってくるから」

 

二人きりになる翼と勇。

 

天童さんを元気づけるための遊園地だったのにこれじゃ私の方が

 

その恰好で行くの?」

翼が考えていると、勇が口を開いた。

「そ、そうだけど何か文句でも…」

と言いかけて翼は、ハッとする。

 

蛍の

『翼ちゃんが悪い』

という言葉を思い出す。

 

『勝手に男の人を誘った翼ちゃんが悪い』

蛍の言葉に、天童さんも後ろでコクコクとうなづいていた。

 

「や、やっぱり?」

と歯切れの悪い翼に、蛍の説教は続いた。

『もー翼ちゃん頼むからちゃんと彼女してよー、勇にぃびいきで悪いけどちょっと可哀想になったよ。でもヤキモチ妬いてたってことは素直に謝れば済む話じゃないの?そこに翼ちゃんがちょいーと可愛いとこ見せてあげりゃあ勇にぃなんか怒ってたことすら忘れるかもよ?』

 

蛍の言葉を思い出して、

 

か、可愛いとこ

って何だよ

そんなもんねえよ

 

と思いながらも、スタスタと勇のそばに近寄って行った。そして、チョン、と勇の手に触る。

「へ、変?」

と翼が聞いた。

 

赤らんだ顔で上目遣いの翼、軽く触れてきた手。勇はキューンとしながら、心臓はドクンドクンしながら、いろいろ駆け巡る。

 

いやいやいやいや

だから何でよりによって

今日そんな可愛いわけ?!

 

何その手

死ぬうう

 

他の野郎共も一緒に行くっつーのに!!

俺と二人の時にそうして欲しかった

 

このまま二人で抜けちゃおうかな

 

勇は翼の言葉を思い出す。

『でも私はあんな執着されすぎるのはちょっと重いかな

 

そして、きわめてポーカーフェイスで言葉を発した。

変じゃねぇよ、でもスカート動きづらいんじゃねえかよ」

「え?あ、うん、いや

 

翼とは反対の方を向いてしまった勇の首筋を見ながら、翼は思う。

 

それだけ

 

目も逸らして

ここ最近は避けられてた気もするし

 

その様子を家の玄関のドアの隙間から、蛍と天童さんがのぞいていた。そして、蛍が舌打ちをする。

 

この私がせっかく

あんなに可愛く仕上げてあげたのに

 

天童さんも思う。

 

あのへたれ共が

 

とにかく

遊園地日和です

 

***

 

青空が広がる遊園地。

「えっ村上さん?」

村上さんは、遊園地で天童さんと同じクラスのボブカットの女生徒に呼び止められる。

「どうしてここに?」

 

「そっちこそ私は綾野さん達に脅され誘われて」

村上さんが説明する。二人は知り合いだったのだ。

「私は天童さんに多分一緒の群れだわ、何で私達が誘われたんだろうね」

「本当だよ」

二人は話しながら、遊園地内の待ち合わせ場所に向かう。

 

「でもせっかくだし、楽しもうかなって

天童さんに誘われたボブカットが、少し照れ臭そうに言う。

「私もいざ来てみたら楽しみになってきて

一ノ瀬くんも一緒、と思いながら村上さんが言う。

 

「行こっか!」

「うん!」

二人が待ち合わせ場所に近づくと、橘君が、天童さんと向かい合っていた。橘君は困ったような、戸惑っているような表情をしていた。天童さんは、何とも言えない表情で橘君のことをじっと見つめた。

天童さんの横に、翼と勇が横並びで少し離れて立っていて、勇の横には、アリザワ先輩がしゃがみ込んでいた。

 

その横にはリナ先輩がいて、リナ先輩は横にいる委員長

「薫くんどうしたの?怒ってる?」

と話しかけているが、委員長はリナ先輩から顔を背けていた。

 

これだけ人数が集まっているのに、しーんとしていた。

 

冷たい風が、村上さんとボブカットの周りにも吹いた。

 

その瞬間

二人は気づいた

 

今日が決して楽しく過ごせる日ではないということを

 

二人は困惑していた。

 

何これ

何この雰囲気

 

右の二人(天童さんと橘君)は何をあんなに熱く

睨み合ってんのかな

 

 

 

ToBeContinued

 

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

せっかく翼が頑張ったのに、勇がポーカーフェイスを通してしまったら、仲直りできないというか、ダメじゃん!!って思っていたら、こっそりのぞく天童さんと蛍も同じ思いのようで笑いました。

蛍はともかく、天童さんも一緒にのぞいてくれてて、今までは興味のないふりや、邪魔するふりをしていただけに、なんともうれしいです。おもえば、仲直りさせようとドリンク券をあげたりもしていたので、天童さんの気持ちは十分わかるのですが…

それにしても蛍、勇の心の掴み方、よく心得ていますね。さすが兄妹っていうのもありますし、さすが蛍様。勇、心の中では翼の可愛さにメロメロですし、動揺しまくっていましたね。なんでそこでポーカーフェイスをしてしまうのでしょうか。翼がジャブ程度に放ってしまった「重い」発言が効果ありすぎたようです。

でも、確かに勇の、翼のためなら他の女子とは一切喋らなくても平気っていうのは重いと、私も思います。でも、勇のために可愛いく努力した翼に可愛いっていうのは、言ってもいいのでは?なんだかいつもかみ合わないカップルですね。

ところで、ここしばらく、翼と勇にはさまれた天童さんがずっと同じ表情していましたけど、久しぶりに違う表情をしていると思ったら、橘君と対面していました…この様子だと、橘君来ること知らなかった感じですね。

天童さんも、髪や服装、蛍に見てもらっててよかったですね。

以前、勇とアイスを食べながら話していた内容だと、『これで終わるつもりじゃないから今は口をきかないことにしている』と言っていましたが、それはつまりあきらめていないということで、あの時、傷心から、また一歩踏み出せていたようにも思っていたのですが、実際に会ってみてどうでしょうか。すごく複雑そうな表情していました。

翼と勇も心配ですが、橘君と天童さんからも目が離せません…。

 

カカオ79%【ネタバレ/伏線回】

アリザワ先輩を誘って勇が不機嫌に→『カカオ79%』215:独占欲【あらすじ&感想】

翼の『重い』発言→『カカオ79%』218:ゾッと(3)【あらすじ&感想】

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