『カカオ79%』215:独占欲【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想215話】~残り21%の甘さ~

215:独占欲

天童さんは、下校時、雰囲気のおかしい翼と勇にバイト先まで送ってもらっていた。無表情に知らん顔をしながら、それでも二人のことを考える。
喧嘩でもしたのか?
朝はあんなにうるさかったくせに
登校時の翼は、遊園地!と言いながら騒いでいた。そのことを思い出しながら、天童さんはちらっと横にいる翼の顔を見る。翼はうつむいて、明らかに元気がなかった。
天童さんは立ち止まる。翼と勇は同時に振り返った。
「あんた達、これ私が以前バイトしてたカフェの無料ドリンク券だけど、これでも使って水分補給してきたらどうだ。カフェは偶然にもこの近くだ」
天童さんは言いながら、カバンから2枚のサービス券を取り出した。そして、無表情のまま続けた。
「別に?感謝の意味とかそういうのじゃないから。帰りも迎えに来てもらうための餌を与えてやるだけだから」
絵に描いたような突然のツンデレ!いきなり?!
突発的な天童さんの行動に、翼は喜ぶ。
「え…いいの?天童さん、私達が使っちゃって」
「いいから渡してるだろうが。あっちの角曲がればすぐだから飲んでいったら?」
天童さんの言葉に、翼は天童さんに飛びつこうとする。
「天童…」
しかし、飛びつく翼を天童さんは途中で遮ってしまう。
「はいはい、それもういいから」
***
「行ってみるか、せっかくだし」
というわけで、喫茶店の扉をチリンと鳴らして、二人はなんやかんやで来た。
「へー天童さん、こんなおしゃれな所でバイトしてたのか、働いてるの見たかったな」
翼は周りをキョロキョロ見回しながら言った。
カウンターテーブルやショーケースに入ったケーキ、そしてレジにいる人は、白いブラウスに黒のベストの制服を着ていた。大人な雰囲気のお店だった。
「使えますか?」
翼はさっそく、天童さんにもらった無料券をレジで差し出した。
「はい」
席は、オープンテラスになっている場所を選んだ。パフェとコーヒーが青空に輝いている。翼と勇は、丸いテーブルに向かい合わせに座った。
ぴゅーっと翼がストローでパフェをすすりあげる。
「おおっうまっ!」
翼は感嘆の声を上げた。
「一番高いもん頼んでみて正解だったわぁ、やばいなこのクオリティ」
その様子を見ていた勇は、息をふーっと吐きながら、笑った
「タダだからって名前も見ないで一番高いのを頼むやつがいるか」
勇の笑顔を見て翼はホッとする。
あ、笑って
少しは気分転換できたかな
ありがとう天童さん
「あのさ…遊園地…もう一人私が誘ってみるよ、だから…ごめん、勝手に先輩誘っといて」
翼が言った。
「…怒ったわけじゃねえよ、こっちだって勝手に橘誘ったわけだし」
勇が言う。
「うん…妬いてるだけだよね」
翼の言葉に、勇は飲んでいたコーヒーを盛大に吹き出した。そして、ケホッケホッケホッとせき込む。
一人で押し潰していた俺の頑張りが…
分かってんならもう少しデリケートに言ってはもらえないのか、コイツ…
勇は、頑張ったようだが決して押し潰せてはいなかった。咳き込んだまま、起き上がりたくないと思った。
「大丈夫?」
翼がのぞき込む。
「俺…あいつ嫌いだ」
勇が言う。
「うん、めっちゃ知ってる。言い方、小学生かよ」
勇は少し黙りこくってから、言葉を選んで話し始めた。
「…もしさ、俺があいつと本気で距離置いて欲しいと言ったら、お前どうする」
ToBeContinued

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

あの天童さんが、翼と勇のカップルに気を使っていると思ったら、ニヤニヤしてしまいます。でも、天童さんはもともとよく気が付くし、優しい性格だったのだと思います。それが、強がっているうちに、表に出さないよう、出さないようとしていて、それでも少し垣間見えていたくらいですから、強がる必要がなくなった今、とても優しく、気づきの多い素敵な女性です。…翼と勇が分かりやすく雰囲気悪くなっているというのもあるのだとは思いますが。

勇を不機嫌にさせるのはたいてい翼ですが、勇の不機嫌を治してしまうのも、翼の言動だったりする。確か、登校日の日もそんなことがあったように思いますが、翼のひょんな行動、勇がこいつ可愛いな、と思うツボに遭遇すると機嫌が直る、なんとも難しいタイプですね。

アリザワ先輩について、勇がアリザワ先輩のことを不信感でいっぱいなのは、アリザワ先輩の名前が本当は有栖川なのに、周りを巻き込んで翼に隠していること、そして翼のなんでも相談できるメル友のアリスちゃん、翼は女の子だと思っている相手が、アリザワ先輩であるということに気づいているということに端を発している。

それ以外にも、翼に対しての接し方などで、恋のライバル的な感じで警戒をしているというのもあるのだとは思うのですが、アリザワ先輩が有栖川で、アリスちゃんという件を、勇だけが知っていて翼は知らない、つまり、翼は何故、勇がアリザワ先輩を嫌がるのかがわからないわけで、何故、勇は言わないのだろうかと不思議に思っている。

話は違うが、愛ちゃんの真相、愛ちゃんは本当は翼が好きだったということも勇は翼に言わない。それは、何となく、愛ちゃんの恋心を勇から言ってはいけないという義理立てみたいな、不文律みたいなものがあるのは理解できなくはありません。(それでもそろそろ時効で、愛ちゃんを探し出せなかったら勇から説明してもいいような気もしないでもないと私は思っている)しかし、アリザワ先輩に対しては、何故、勇からばらさないのか、それでいて、翼に距離を置いて欲しいと言い出すのか、わかりません。

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