『カカオ79％』218：ゾッと（3）【あらすじ＆感想】

web漫画/カカオ79％【あらすじ(ネタバレ)＆感想218話】～残り21％の甘さ～

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218：ゾッと（3）

生徒会室の前で、覚悟を決めた顔をして委員長はたたずんでいた。すると、ガララ、とドアが開いてリナ先輩が出てきた。リナ先輩は、委員長の姿を見つけたとたんに笑顔になる。

「あら薫く～ん、そんなところで立ってて何してんの？もううちの生徒会の一員だし遠慮なくどうぞどうぞ～」
至近距離に迫ってくるリナ先輩を見ながら、委員長は翼に言われたことを思い返す。

『リナ先輩は委員長のことが好きなんじゃないかな』

委員長は唾を飲み込んだ。
「あの…松本先輩」
「ん？リナでいいってば」
笑顔のリナ先輩。
「少しお話したいことが…」
「なーに？」

＊＊＊

放課後、翼は廊下で天童さんのことを待ちながら、委員長のことを考えていた。

やっちまった…

今朝
委員長の鈍感さに呆れて
ヒント的なのを与えてやったけど

その委員長の反応が

「それは少々安直なのではありませんかね」

委員長は、カチッと眼鏡を上げながら言った。

「あん…ちょく？」
翼が聞き返す。

「私は学級委員として生徒会に出入りしていたので、松本先輩の噂はかねがね聞いておりました。美男子だけを狙って必ず自分のモノにしちゃうという魔性の女…そんな人がこの私を好きなはずがないじゃないですか！！」

「いや、そんな堂々と言わなくても…？虚しくないのかね君は…」

意外と冷静で現実的かつ悲観的すぎて
驚いた

照れるか驚くかと思ったら
否定派だったか

翼は委員長の反応を観察しながら
「まあ…眼鏡を取った委員長のことが気に入ったのかもしれないし…意外と可愛かったし」
と言った。

「仮にそうだとしても、それが本当に『好き』って言えるもんでしょうか」
委員長はうつむきながら言う。
「文化祭の最中までも一ノ瀬君に夢中だった人に、外見だけ気に入られて好きと言われても何の喜びも湧きません」

翼は、あ、と思い、勇は、そりゃそうだ、と思った。

「むしろ不愉快です」

委員長は、二人から少し顔をそらして言った。

＊＊＊

今朝の出来事を思い起こしながら、翼はスマホを見つつ天童さんを廊下で待っている。勇は横で大きなあくびをしていた。

まさかあの穏やかな委員長が
あそこまで言うとは…

「こうなったからにはこの不愉快さを本人に強く伝えてきます！」
と委員長は言っていた。翼は、えっマジ？と思いながらも、
「お、おう！が、がんばれ！」
と言っていた。

一旦話は一段落したんだけど
今授業が終わって生徒会行ってるんだよね

うまく言えてるのかな

翼が委員長とリナ先輩のことを考えていると、横にいた勇が、ボソッと言う。
「他人の恋愛に直接言葉を挟むのはよくねえよな」
その言葉に翼はギクッとする。

何故悩んでいるとバレた？

「そ、そこには同意見だけど、あまりにも委員長が怖がるから…それにリナ先輩も度が過ぎてる感あるし…」
翼は勇と目をそらしながら言う。
「そーか？俺は別に…」

「自分がやられてた時には嫌がってたくせに」
翼が言うと
「まあな」
と勇が応えた。

「でも私は…あんな執着されすぎるのはちょっと…重い…かな」

翼はそういったあとで、や、やべぇ、言っちゃった…と冷や汗が出る。

これある意味
勇本人に言ったようなもんだよね

あれからギクシャクなままなのに

でも思えば
これは今に始まった話でもない

勇は面倒見がいい割には
他人に冷たいというか

『自分に大事な人』枠にははまらない他人には
一欠片の情もくれやしない

その分『大事な人』だと思う人達には
全力で向き合ってくれる感じ

翼は、勇の大事な人の顔を思い起こす。兄弟の蛍や光、翼の兄の空、そして橘君や天童さん、中学の友達でイツカや高校の同級生の土鍋コンビ…。

その極端さについて
冷たいと思ったことはあっても
悪いとか思ったことは一度もなかったのに

今になって重く感じてしまうのは
その中でも自分に向けられている愛情の大きさを
徐々に感じているから…？

翼は、自分が勇の愛情のハートを背負って押し潰されそうになっているところを想像してしまう。

この前それを真に実感したばかりだから

委員長のことが人ごとには思えないんだよ…

二人の会話が止まったまま、引き続き天童さんを待っていると、廊下の向こう側から勢いよく走ってくる二人の人影がどんどん近づいてきた。

「ねーそこの後輩達～」
話しかけられて翼は驚く。走るリナ先輩と引きずられる委員長だった。

「今週末、皆で遊園地へ行くんだって？私も一緒に連れてってよ～」
満面の笑みのリナ先輩が言った。

超ご機嫌…

どうしてそんな話になった

委員長一体どんな話をしたんだよ

翼が面食らっていると、リナ先輩が畳みかけてくる。
「ねえねえダメかな～亮も行くよね？じゃあ私も行っていいんじゃないかな～」

「亮…？」
翼が聞き返す。

「アリS…ザワのことよ」
リナ先輩は少し言い直した。そう呼ぶように頼まれているのを思い出したのだ。
「あーそんな名前でしたっけ」

…じゃなくて
「あの…実は人数を偶数に合わせていて…リナ先輩まで参加になるとまた奇数になっちゃうんです」
翼が説明する。

「あらそうなの？何で偶数じゃないとダメなわけ？じゃあもう一人誘えばいいんじゃないの？」
リナ先輩が不思議そうな顔をしながらそう言って、そして光の速さで通行人の腕をガシッと掴んだ。掴まれたのは、翼たちと同じクラスの村上さんだった。
「…てことで行こっか💛」
リナ先輩は笑顔で言う。事情を知らない村上さんは
「あ？」
と言っている。

「行こう💛」
「はあ？！どこへ？！」

と言っているリナ先輩と村上さんを目の当たりにしながら、勇と翼は固まっていた。

ドンドン意味のわからない集まりになってきたんですが…

ToBeContinued