『カカオ79％』219：遊園地へ行こう（１）【あらすじ＆感想】

web漫画/カカオ79％【あらすじ(ネタバレ)＆感想219話】～残り21％の甘さ～

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219：遊園地へ行こう（１）

教室で、天童さんは遠巻きに噂されていた。
「ねえ見て天童さん、すごい怪我してる」
「何かヤバイ人達が家に来てて警察を呼んだとかなんとか」
「うわ怖…」

聞き流して席に着く天童さんの机に、トンとノートが置かれた。
「追試だって？」
登校日に揉めたあのクラスメイトだった。

「見れば？私の筆記したノートよ。あんたろくに勉強もしてないでしょう？」

天童さん驚いた顔をしてそのノートを見つめた。

「べ、別に私が貸したくて貸してんじゃなくて、あんたの友達が…その綾野さんだっけ、クラスであんたと一番親しいのが私だとか担任に勝手に言っちゃったみたいで…んで頼まれて」
クラスメイトはちょっと怒ったように説明をした。

天童さんは
「だ…」
と言いかけて、口をつぐんだ。

『だからと言って言われたとおりにやる必要はないしほっとけ』
っていちいち返すのももう…

疲れるな

「…ありがとう」
天童さんが言う。

「ああそうだよね、あんたには全然必要のないお節介で嫌だろうけど…」
クラスメイトはそう言いかけて、
「…え？！」
と目を見開いた。

「追試が終わったら返す、ありがとう」
「ど、どうい…たしまして」
クラスメイトの顔が赤くなる。

＊＊＊

廊下で、勇と翼に
「じゃそういうことで！」
と笑顔でてをふるリナ先輩と、リナ先輩に引きずられる委員長の姿を見つけた天童さんは

何事だ…？

と思う。
「あ、天童さん」
翼が気づいて声をかけてきた。
「悪い、遅くなった」
と言いながら、天童さんは翼と勇の表情がげっそりしていることに気が付いた。

「そんなに疲れるほど待たせるつもりはなかったのだが」

「いや、これには深い事情と理由が…気にしないで帰ろう、早く」
翼が言った。

歩き出す翼と勇に、天童さんは
「なあ、遊園地のことで一つ頼みがあるんだけど…」
と切り出した。

＊＊＊

「ヤッホー！二人のおめかし係で参りました、一ノ瀬蛍でーす☆ご機嫌よろしゅうございます…」

家に帰ってから、翼の家に蛍がやってきて、手には洋服を持っていた。笑顔でそう言いながらも、翼の表情が仏頂面なことに気が付く。

「か…え？…何事？」
蛍が聞く。

リビングの横長のソファの端っこに膝を抱えて座る翼と、反対側の端に座る天童さん。
「私が勝手にもう一人遊園地に誘ったことで怒ってる」
と天童さんが言った。

「違う！怒ってない！びっくりしてるだけだから、こうも簡単に別の友達作ちゃったことで拗ねてるだけだから！私が何カ月かけてやっと手に入れた天童さんを…あの女はいとも簡単に手にするなんて…！」

翼が即座に否定すると、天童さんもすかさず否定する。
「やかましい、私がいつテメェのモノになったよ、3人で行くのかとばかり思ってもう一人誘ってみただけだ」

カップルの間に挟まれて
のこのこついて行くほどKYじゃねえよ

と天童さんは思っていた。そこで、今日声をかけてくれたあのクラスメイトを誘ったのだ。

「これも全部あんたのおかげじゃない。私の周りの人にまで勝手に色々吹き込みやがって、あんたの願い通り周りの人をうまく利用できる人間目指してみるよ」
と天童さんがいったので、翼は泣いて喜ぶながら天童さんに抱き着こうとするが、天童さんは足蹴にする。

「え？今のいい話だったの？利用するとか言ってない？」
蛍が冷静に突っ込む。

「そういや蛍は何しに来たの？おめかし係とか言ってなかったっけ、その服たちは？」
天童さんに頬を足で蹴られながら翼が聞く。

＊＊＊

蛍は色々な服の組み合わせをテーブルの上に並べながら、吟味する。
「あの…蛍さん、遊園地行くぐらいでそんなおしゃれする必要ありますかね、私動きやすい服がいいんだけど…」
翼が聞く。

「あるわ」

蛍がきっぱりと言った。そして、さすが空ちゃん、いい品揃えてやがる、と続けた。

「あなた分かってるの？彼氏と一緒に遊園地よ？しかも他の女子混ぜて」

蛍が翼に顔を近づけて言う。
「それに私気づいているのよ、最近二人少しギクシャクしてるでしょ？可愛いとこ見せてメロメロにさせて仲直りしちゃいなさいよ」

蛍の言葉に、翼はえっ、と汗が出る。

「そこには賛成」
少し離れたところから天童さんが手を挙げた。

「天童さんまで？！そ、そんなに、バレバレだったかな…」
翼が言うと
「うん」
と、天童さんと蛍がうなづく。
「喧嘩でもしたの？原因って何？」

＊＊＊

勇は自分の部屋で仰向けになって本を読みながら、先ほどの翼の言葉を思い返していた。

『でも私は…あんな執着されすぎるのはちょっと…重い…かな』

勇は起き上がって頭を抱えた。

ToBeContinued

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

翼、また奇数になってしまったことでイライラしているのかと思ったら、天童さんが簡単に他の人にも懐いてしまったように見えて嫌だったのですね。なんともかわいらしい理由です。

天童さんのクラスメイトのあの子、登校日でもめていたり、文化祭で天童さんの手帳を預かったりしてくれた子ですが、名前はまだ出てきていなかったですよね。登校日の日、勇に対して、赤くなって逃げていったのはとても印象的でしたが。

というわけで恒例のおさらいです。遊園地メンバーは9人まで来ました。翼、勇、天童さん、アリザワ先輩、橘君、委員長、リナ先輩、村上さん、天童さんのクラスメイト。

翼→天童さんを元気づけるため

勇→翼とデート

天童さん→翼に誘われた

アリザワ先輩→人数合わせで翼に誘われた

橘君→天童さんへの気持ちを確かめるため

委員長→リナ先輩の件を元カレであるアリザワ先輩に相談するため

リナ先輩→委員長目当て

村上さん→人数合わせでリナ先輩に誘われた

天童さんのクラスメイト→人数合わせで天童さんに誘われた

なかなかカオスなメンバーですね。特に天童さんのクラスメイトは当日びっくりするんじゃないかな、と思います。

ただこのクラスメイト、登校日の日に天童さんに忠告している内容が、橘君が絡まないとやる気を出さない天童さんを注意するものだったので、橘君のことは知っていると思われます。また、翼のことはおせっかいな人と認識するくらいには顔見知りでしょうし、勇に対しては赤くなって逃げてしまうほど、かっこいい人、と思っているような感じもあるので、まったく誰も知らない人という訳ではなさそうですね。

そして久しぶりの蛍さん。確かにデート感を演出しようとしている蛍は、いい案です。そもそも、男女比気にしなかったら、４人目は蛍でよかったのでは？と思わないでもないですが、そこはいつも一歩引いててくれるのですね。

翼の可愛い服装で、勇の機嫌はたしかに直ってしまいそうで、妹って的確ですね。翼のワンピースの写真や浴衣姿、水着姿など、勇はなんだかんだ気に入っていましたし。あんまり可愛すぎると、勇が隠したくなってしまうという、矛盾も生じてしまいそうですが。

空ちゃんがたくさんワンピースを翼にプレゼントしてくれているので、こういう時慌てなくて済みそうですね。当時はワンピースの件はよくわからなくて、エピソードとしてそこまで重要視していなかったのですが、あとあと、突然空が来た時に慌てて蛍がワンピースに着替えていたり、天童さんに貸していたり、デート前のこういうときに買いに行くわけでもなく自然と手持ちのアイテムとして登場してたり、意外と使いどころがたくさんのエピソードだったなと思い返しています。