『カカオ79%』192:囲い(4)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想192話】~残り21%の甘さ~

 

「雫、許してくれ」
天童さんのアパートの前で、天童さんのお父さんが天童さんに土下座をしていた。天童さんの目が見開かれる。
「は…?」

天童さんの頭の中に、幼い頃の父との光景がよぎる。愛されて育った友達の誕生日会から帰ってきた時、お父さんは冷たい視線で幼い天童さんのことを見た。

どうして

今更

急に現れて

「許すって何を?悪いことをした自覚はあった?」
天童さんが言う。
「雫」
「近づくな!」

お父さんは立ち上がる。
「…俺は今からでも父としてちゃんと」
「そんなのいらないし今更迷惑なんだけど。あんたらと生きてきて別に何かを期待してたことなんかなかった」
天童さんが言った。

暖かい手も優しい親も贅沢な夢

天童さんは同級生の女の子が、迎えに来たお母さんと手を繋いで幸せそうに歩いて行った光景を思い出していた。

「でもドン底からさらに落とされた時には私でも結構絶望したよ。そしておかげで一人になれた」
中学生の頃、父も母ももう戻らないことを知った時のことを天童さんは思い出しながら話した。

「私に家族なんていない。今更ままごとでもしたくなったなら新しい女でも探せよ。そして私の目の前からいますぐ、失せろ

***

アリザワ先輩は、天童さんの自宅のアパートの近くで電柱の陰に隠れていた。

…どうやら俺は
また見てはいけないところを見てしまったようだが…

つまりあの人は久しぶりに帰ってきた?てんどっちーのお父さんで

何かもめてはいたけど
殺伐なこと言ってたけど
結局…

階段を上がる天童さんの後ろをお父さんがついていく。お父さんの手を天童さんがふりはらう。そして二人は、アパートの同じ部屋の中へと入って行った。

上手くまとまったってことか?
それとも何か手助けするべきだったのか…

アリザワ先輩は考える。

でも人の家庭の問題に首突っ込むのもな

何か苦労してきたな、とは思ってたけど…

天童さんのお父さんは天童さんに両手を差し出した。振り向く天童さんは何かを言うが、お父さんは両手で天童さんの手をとった。天童さんが歯を食いしばる。

***

学校。翼と勇の教室で担任が帰りのHRで話をしていた。
「さーてと、待ちに待ったテスト期間がきたぞー頼むから俺のところには質問に来てくれるなよ」
そう言ってHRを終える先生。

「え、いいんですか?一ノ瀬君のところで一緒に勉強させてもらって…!」
委員長が嬉しそうに言う。
「いいとも!やろうやろう勉強会!」
翼が応える。

「これでやっと一ノ瀬君の成績の秘密が明らかになるわけですね」
意気込む委員長の横で勇は
「…俺は一言もオケーって言ってねえけどな」
と言っている。

「それにしてもびっくりだよ、委員長結局生徒会に入ったのね」
翼が言う。すると、委員長が急に謝る。
「それに関しては本当に…すみませんでした!」
「いやいやぁ、だからこの前サボったのは生徒会に入るのを避けるためじゃないってー」

てかリナ先輩…
委員長を得るために私を利用したってわけか

まさか委員長に私を無理やり生徒会に入れると脅してたとは…
恐ろしい人
文化祭の時からも思ったけど本当に魔女だよ

「でもこれで私はもう袋の中のネズミってわけですね…」
翼がリナ先輩のことを考えている横で委員長が嘆いている。
「松本先輩って一体何をそんなに怒っているのか…」

「ん?」
翼が委員長を見る。
「文化祭の時には紳士的にエスコートしました!その後もちゃんと礼儀正しく後輩として以前のような関係を守って…!」
委員長は話を続けた。

ん?

「あんまり馴れと馴れしくもせずに、ただの先輩と後輩としての距離を保っているのに!」
そう言う委員長を見て勇は、ここにも恋愛音痴のバカが、と思っていた。

「あれ?委員長ってリナ先輩と元々知り合い?」
翼が聞く。
「まあ生徒会議などで顔を合わせていたぐらいですけどね」
委員長は眼鏡を触りながら答えた。
「でも今は仲良いわけよね」

委員長は翼の言葉に、翼は委員長の言葉に
「??????????」
顔を見合わせてフリーズした。

そこに
「かーおる君、一緒に帰ろう~」
と言いながら、笑顔のリナ先輩が教室に入ってきた。
「うるさい迷惑」
と言いながら、後ろにはアリザワ先輩もいた。

委員長の眼鏡にバキンとヒビが入った。

***

「え?一ノ瀬家で試験勉強?私も!行く行く!」
「俺も俺も」

翼と勇と委員長、そしてアリザワ先輩とリナ先輩の5人が下校を始めると、勉強会の話になった。
「いいですよ」
という翼に
「何でだよ、俺ん家だぞ」
と言う勇。

「いいじゃない、先輩達に勉強教えてもらえるし」
翼の言葉にアリザワ先輩とリナ先輩はうんうんと笑顔で首を動かした。
「その先輩方、成績は?」
勇の言葉に、先輩二人は顔をそらした。
「まあまあそこはどうでもいいでしょ?」
「いや一番大事だろ」

リナ先輩が勇と委員長を連れ立って前を歩く。その後ろを少し離れて翼とアリザワ先輩が歩いた。
「ところで先輩はどうしてまたうちのクラスに?まさかリナ先輩について来ただけじゃないですよね?」
翼がアリザワ先輩に聞いた。
「あ…」
アリザワ先輩は視線をそらして首を掻いた。

アリザワ先輩は、翼たちの教室に来る前、天童さんのクラス、1年E組の教室を訪れていた。
「天童さんなら今日欠席です」
と、天童さんのクラスメイトに言われたのだ。

気になって来てみたら途中でリナのやつに会って何となく…でもあれは言いづらいな、大魔王にでも

アリザワ先輩は天童さんを思う。

あいつ
大丈夫かよ

その頃の天童さんは、自宅のアパートの布団の上で、壁を背に体育座りをして膝を抱えていた。少し離れたところに、天童さんのお父さんも座っていた。

ToBeContinid

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

天童さん、大丈夫でしょうか。。。勇は橘君から聞いて、天童さんの両親との関係とかも多少知っているけど、翼は事情があって一人暮らしをしていることしか知らない。アリザワ先輩が相談するなら、翼でなくて勇が適任なのでは、と思ってしまいました。

勇が、自分と翼がぎくしゃくしてしまう間の友達としてのフォローを、天童さんに頼んだように、橘君に頼れなく成ってしまった今、天童さんに寄り添ってあげられる適任者は勇なのでしょう。

話は変わりますが、翼が転校当初にやりたくて空回りしていた『勉強会』がこんなメンバーで、するっと実現出来て、天童さんのことやモブ男のことは全然解決していませんが、それでも、翼の周りに『友だち』と呼べる人間関係が出来て良かったと思います。

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