『カカオ79%』211:感謝と謝罪【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想210話】~残り21%の甘さ~

月曜日の朝の学校。
「へえー、じゃあてんどっちー今は大魔王のお家で過ごしてんのか」
アリザワ先輩が驚いたように言う。
「家の人はなんて?」
「そりゃもう二つ返事でウェルカムだと」
翼は両親の顔を思い浮かべながら答える。両親は、わが娘の友達は娘同然と笑顔で言っていた。

「それにしてもお前が天童の担任に相談していたとはな」
勇が言う。勇はまだ、顔の怪我が治っておらず、右頬と、左目の下に白い絆創膏を貼っていた。
「あー何か起きたら子供だけじゃ解決出来ないと思って…」

翼は、ある日の放課後に担任に相談しに行った時のことを思い出す。

***

「あの…生活が難しい学生が受けられる支援って…何があるんでしょうか」
E組の先生に翼が聞いた。
「?、まあ…色々あるけど、何故担任の先生に言わないで俺に?」
先生は不思議そうに言う。
「……そ、その…E組の天童さんのことで…天童さんのお父さんが帰って来られたことをご存知ですか?」
翼は言いにくそうに、それでも一生懸命話した

***

アリザワ先輩は、それを聞いて、
「それはそれはよくやったな、褒めてつかわす~」
と言いながら、翼の頭をポンポンと軽くたたいた。

そのアリザワ先輩の手を勇の手がパッと振り払った。そして、翼の背後からアリザワ先輩に向けて威嚇する。
「はいはいすみませんでしたー」
アリザワ先輩は棒読みの謝罪をした。

「てかさ、何この集まり。あんた達人の教室で何してんだよ」
と口をはさんだのは、翼の隣の席に座っていた天童さんだった。天童さんもまだ、右頬を絆創膏で手当てしてあった。

実は、天童さんのクラスである1ーEの教室で、朝から翼、勇、そしてアリザワ先輩が集まっていて話し込んでいたのだ。名付けて、『THE天童さんの保護者会』だ。

「何でっててんどっちーを心配してこうやって訪ねてきたに決まってんだろう。大魔王に連絡もらって超心配してたんだから」
アリザワ先輩が、机に肘をつきながら言った。
「何でこいつに報告してんだよ」
天童さんが怒りながら言う。勇は、口には出さないが、そっぽを向いたまま、本当だよ、いつ連絡したんだよ、と天童さんの怒りに同調していた。

うちで週末を過ごした天童さんは
心配していたよりも
落ち着いているように見えた

そして休みを挟まずに
こうやって学校に来ている

翼は天童さんの顔を見る。
「人に話して面白い話ではないだろう」
席に腰を掛け、伏し目がちで天童さんが言う。

「だって先輩に教えてもらったんだから。天童さんのお父さんが戻ってきたこと、心配してんだろうなと思って」
翼の発言に、横にいたアリザワ先輩はギクッとする。
「人の家の事情を言いふらし回ってんじゃねえよクソアリザワ」
天童さんはアリザワ先輩を睨んだ。

「確かにアリザワ先輩の口が軽かったのは反省すべきだたとして、そう責めないでよ」
翼の言葉に、アリザワ先輩はさらにギクッとしている。
「この人のおかげで私と先生にまで事情が伝わったわけだから。つまり私達は天童さんの事情を知っていて、天童さんを心配している、天童さんのことが「好き」な人達なんだよ」
翼が続けた。

「ね?」
と同意を求める翼に、アリザワ先輩も勇も、顔をそらした。答えなさいよ、と視線で迫る翼に、

…好きか、返事しづれえ

とアリザワ先輩は思っていた。勇も

……好き?俺が他の女に好きと言っても構わねえのかよ

と考え込む。「好き」は、男子高校生には重たい言葉でした。

天童さんは少し間をおいてから、口を開いた。
「……ありがとう」
その言葉に、翼も勇もアリザワ先輩も固まる。
「心配かけて悪かった」
と天童さんは続けた。

!?

翼は喜び、勇とアリザワ先輩は驚愕した。

礼を言って
あ、あ、あ謝っただと…?!
あの天童が?!

「いや…てんどっちーが無事で本当によかったよ…」
アリザワ先輩は、鼻の下を指でこすりながら言った。内心は、これで少しは人間らしく生きていけるようになれそうだな、と思っていた。
「ああ…」
勇も鼻の下を指でこすりながら、アリザワ先輩に相槌を打った。内心は、翼のやつしっかり慣らしてんじゃねえか、と思っていた。

「テメエら今絶対失礼なこと考えたんだろう」
天童さんが言う。

1-Eのクラスメイトは、驚きながら四人のことを遠巻きに眺めていた。
「B組の一ノ瀬くん」
「天童さんの周りに…」
「2年の先輩だ」
その視線を、四人は気にしていない。

「あれからてんどっちーのお父さんは?何か連絡あったの?」
アリザワ先輩が聞く。

天童さんは少し遠い目をした。

実は、翼たちに助けられ、警察や近所の人に囲まれながら手当をされているときに、天童さんは少し離れた人波の中に、お父さんの姿を見ていた。

見間違いかもしれないけど
あの時
あいつの姿を見たような気がする

本当に仕事に行ってただけかも知れない
顏は見えなかったけど
戻って来てた

それだけで
心のどこかで
ホッとしている
自分がいる

「天童さん?」
黙り込む天童さんに、翼が声をかける。
「…まだ連絡はない。多分今後も連絡があるとは思ってないし、もともとそういうやつだったし、いつかこうなるかも知れないと思ってたから、そんな可哀想な目で見るな」
天童さんが静かに笑う。
「えっあ、いや…」
翼は慌てているようだ。

天童さんは、父が天童さんに土下座をした時のことを思い出していた。

私の前でいってたことが本心だったのか
逃げ場を得るための嘘だっただけなのか
当分分かるはずないけど

今なら焦らずに
あんたを許すべきか
もう少しじっくり
悩める気がするんだ…

天童さんが、翼を見ながら口を開く。
「でもあいつがここに来ていたことが借金取りのやつらに既に知られてるかもしれないから、当分は世話になるよ」

デレ期天童さんマジ最高、と翼はあからさまに嬉しそうな顔をした。
「うん!いいとも!バイトに行く時や出かける時も必ず誰かに話してから動くのよ!」

「大魔王?一人で他の世界行ってない?魔界?
翼の表情に対してアリザワ先輩が言う。
「昨日からああなんでほっとけばいいです」
と勇が答えた。

「私か勇がいない時にはアリザワ先輩を呼んでー」
「えっ俺?」
翼の言葉にアリザワ先輩は驚く。
「わーここで身を引くとは」
勇が冷たく言い放つ。
「先輩ガッカリです…」
と翼も続ける。
「いや俺生徒会の仕事で帰りとか遅いから」
「生徒会員でもないくせに」

***

天童さんの教室を出て、翼と勇は学校の廊下を並んで歩く。
「あのさ勇」
翼が話し出す。
「今度さ、天童さん連れてどこか出かけない?遊園地とか」
勇は翼の顔を見ていた。

「天童さんは気にしないと言うけど、今回のことできっとひどく傷つけられたと思うし、何か…元気づけてあげたい」
翼の言葉に勇は、少し間をおいてから、
「それは別にいいけど…お前忘れてねえよな」
と言った。翼が不思議疎な顔をすると、勇がすぐに答えを言う。

俺ら試験終了日に実は、前に住んでたところへ行く予定だったってこと」
翼は目が真ん丸になり、歩き方がぎこちなくなり、冷や汗を吹き出していた。

忘れてたな、まあ俺も忘れてたけど

「でもまあ状況が状況だし、しばらくは天童に構ってあげた方がいいな…遊園地か…」
勇は少し考えこむ。
「行くのはいいけど3人では絶対嫌だな」
「え、どうして?」
勇の意見に翼が不思議がる。

「何故あのデートスポットにコブ付きで行かないといけないんだ」
勇が言った。コブとは天童さんのことだ。
「あんたたまに天童さんに容赦ないよね」
「いいから人数合わせろ人数!!形だけでいいからせめてダブルデート感味合わせろ!」
「ええぇ、人数か…」

***

予告よろしく、遊園地の映像…

数人の後ろ姿・・・

おそらく

リナ先輩

委員長…?

天童さん

勇…?

村上さん…?

E組の天童さんと喧嘩した女子生徒…?

橘君…?

そしてモブ男…

この時はまだ知らなかった

勇のこの発言が

とんでもない
波乱を巻き起こす
ことになるとは……

ToBeContinued

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

なんだか蚊帳の外になっていたアリザワ先輩に報告していましたね。遊園地で何かが起こる伏線の中に、アリザワ先輩がガッツリと絡んでくる予定なのかと思うと、少しほっとします。

というのも、おそらく敵はモブ男。頭はいいけど視野が狭いというか、翼のこととなると周りが見えなくなりがちな勇だけでは心もとないし心配ですが、アリザワ先輩はおそらく翼の力になってくれるはず・

今回、アリザワ先輩と同じく、橘君も蚊帳の外になってしまっていますけど、また戻ってきそうな感じですね。橘君は、翼の事情をほとんど知っていますし、モブ男との関係も、写真を見たりで何となく感づいている風なので、きっと翼のことを助けてくれるはず。

遊園地編は、今まで出てきた主要登場人物が総動員する予定なのでしょうか。

でも、きっとその中に翼の力になってくれる人がいるから、中学の時とは違うから、そう思うと、遊園地編、怖いけど心強い気もします。

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