『カカオ79%』194:囲い(6)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想194話】~残り21%の甘さ~

「皆さーん、お勉強のところ申し訳ないけど、実はちょーっと勇にぃのことお借りしたくてー」

翼と勇、委員長とアリザワ先輩とリナ先輩が勇の家で勉強会を開催していると、蛍が声をかけてきた。
「あ?」
一同の注目が蛍に集まる中、勇が返事をした。
「オホホホホ、ちょっとこっち来てちょうだい」

勇が言われるままに蛍のそばに行くと、蛍はみんなに見えないような角度で勇のみぞおちを肘うちした。
「オッ」
と痛がる勇に蛍が耳うちをする。
「醤油が切れてるの。早く買ってきてよ、皆夕食食べるでしょ?完璧にしないと…」

「は、はあ…?いや別にそこまで気をつかわなくても」
勇が痛みに震えながら言う。
「お黙り!いきなり客連れ込んで接待させられる主婦の身にもなってみなさい」
蛍が言う。

「あ、そういうのなら私が買って来るよ」
近づいてきた翼が申し出た。
「え、翼ちゃんが?いいよ!勇にぃに頼むから」
蛍が遠慮すると
「いやだって、こいつがいないと勉強が進まないのよね、ほら」

蛍が残された3人を見ると
「これどういうこと?」
「知らね、適当に書いとけ」
「すみません、一ノ瀬君のこと待っときます、聞く人間違えました」
と本当に進んでいなかった。

***

ということで、買い出し中。

翼は蛍の財布を持って買い物に出かける。醤油、醤油~と心の中で呟きながら夕方の街を歩いた。

まさかこんなメンバーで勉強会とはな

想像もしてみなかった組み合わせよ

翼は、以前のテスト前に勇に勉強会で友達を作る競争を持ちかけた時のことを思い出す。
『今週末、一ノ瀬家で勉強会を開催いたします!その時により多くの人を誘って連れてきた人が勝ちよ!』

転校してきたばかりの頃には

あんなこともあったのに…

懐かしい

翼は歩きながら考える。

人はずる賢い

あの時から
そんなに沢山の時間が流れたわけじゃないのに

簡単にも考え方が変わってしまう

勇が彼氏になったことで
友達じゃなくても一緒にいられる

いつの間にか
周りには沢山の人がいる

あんなにも
友達(主に女)に執着していたのは
引っ越してきたばかりの不安の現れだっただろう

いや
それはもっと
深いところからきている

おそらく私がずっと求めていたのは
あの頃の再現

辛いことはあったけど
思いっきりテニスが出来て

勇とも
愛ちゃんとも
問題なく過ごして

あの時が眩しくて
忘れられないでいた

きっと私は
あの頃を求めて
ずっと愛ちゃんの穴埋めを探していたんだよ

その罰
なんだろ

翼は、翼を冷たい目で見たときの天童さんの顔を思い出す。

もう
十分なんじゃないかな

ここまでして
断られて嫌われて
本当に嫌なんだよ
天童さんは私が

なのに諦めずに頑張る理由ってある?
愛ちゃんへの罪悪感を埋めたいがために近づいたにすぎないのに

最初から間違っていたんだ
愛ちゃんへの罪滅ぼしは
愛ちゃんを探してするべきだった

私は天童さんが何を考えていて
どいう人なのかを知る前に
無条件的な親切をあげた後
友達になることを強要した

翼が考えながら歩いていると、ふと通りの先に天童さんの姿を見かけた。しかし翼は、天童さんに背をむけた。

私達はお互いにとって毒でしかなかった

***

天童さんは道行く人にぶつかる。
「おいよく見て歩けよ」
と言われた。

メガネもコンタクトも外したまま出てきちゃった
カバンだけなんとか

お陰でバイトもミスばかりで早上がりさせてもらって…
クソ

天童さんは右手で頭を掻いた。すると、ぎゅるるるるると大きな音でお腹が鳴った。近くのコンビニに入る。

そういえば昨日から何も口にしていない

夕方のバイトしか出来ないから働ける時間が短くて
まかない代もでないし…
もうちょっと時間を伸ばせないものか

天童さんは陳列されたおにぎりやサンドイッチを見て、ゴクっと唾を飲み込んだ。

そういえば
あいつも
昨日から何も…

お父さんの顔が浮かんだ。

何故私がやつのことまで世話をしないといけないのだろう
自分のことでも精一杯だっつうのに

いくらあったっけ…、と天童さんは財布を開けて驚く。100円しか入っていなかった。


何これ
お金が…

あー早く借りを返したくて
先月橘にいつもより多めに渡して…

ガス代と電気代…水道料金に
次のバイト代が…

天度さんがお金の計算をしながら、周りの状況を感じる。店内はザワザワしていて、カップルが商品について話していたり、レジが並んでいたり、立ち読みの客がいたりしてた。

盗むか

天童さんは左手でおにぎりを持って、右肩から下げるカバンにおにぎりを入れようとした。店員さんが接客をしながらもその瞬間を後ろから見ていた。

ガシッ

カバンに入れる手前で、おにぎりを持った左手は、誰かの右手に掴まれた。

天童さんの手を止めたのは、翼だった。天童さんが横を見る。翼が無表情で前を見ていた。

それでも関わらず
ほっとけないのは

あの瞬間もまた
私の人生で

眩しかった一面として
残っているからなんじゃないかな

翼は、初めて天童さんと会った時のことを思い出していた。木に登った天童さんを地上で受け止めようとして、頭をぶつけ合って二人とも倒れた。

ただそれだけの理由だったなら
私達は友達になれたかな

ToBeContinid

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

天童さんを掴んだ手が、翼の手でよかった。

翼の手は、天童さんが間違ったことをしようとしたときに止められる手です。それは、本当の友達の手と言っていいのではないでしょうか。

以前、中学の頃、天童さんにも一緒につるむ友達がいました。私は、小学校の時にひとりぼっちだった天童さんに、一緒にいる友達が出来たことがうれしかったけれど、今思うとその時の友達は、一緒に盗みをするような友達でした。

でも、翼は、盗みを止めてくれる友達です。翼も、天童さんのことを色々考えてる時ではありましたが、躊躇なく、迷いなく止めてくれてよかったです。

天童さんに対してはいつもヘラヘラした顔の翼が、天童さんが横を向いた時、天童さんと顔を合わせないまま、真顔で、多分怒っていて。その顔を、天童さんはどんな顔をして見たのでしょうか。

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