web漫画/カカオ79％【あらすじ(ネタバレ)＆感想178話】～残り21％の甘さ～
天童さんを尾行していた翼は、突然振り向く天童さんに見つかってしまう。はあ、と天童さんはため息をついた。
「…本当…性懲りも無く、性懲りも無く、…あんたさ、どうしたら私から離れてくれるの？」
街中だったこともあって、周りはザワザワしていた。
翼はゴクッと唾を飲み込んだ。そして、耳に手を添えた。
「ご、ごめん！声が小さすぎて聞こえなかった、もっかい言って？」
天童さんは怒った顔をする。
タッと翼の前まで来て、左手で翼の口をふさぐように、両頬をつかむ。ぎゅーと力を込められて、翼が少しのけぞる。
「一回だけ、一回でいいから殴らせて」
天童さんが言った。
「こ、これも殴る範囲にはいるんじゃ…てか既に殴られたことあるし」
踵を返して行ってしまう天童さんを翼は走って追いかけた。
「天童さんちょっと待って！！」
「バイト先まで付いてくるつもり？」
翼が顔を上げると、すぐ近くに、天童さんのバイト先のハンバーガーやさんがあった。
あ
翼が立ち止まる。天童さんも足を止めて話した。
「今日学校でも休みの時間の度に覗きに来てたよね。何？この前迷惑って言ってなかったっけ」
バレてたことに翼は一瞬絶句した。
「お、お粥！の…弁当箱返してもらおうと思って！蛍のなんだ」
翼が言う。天童さんは面白くなさそうな顔をする。
どうよ、この文句のつけようのない理由
ちょっと翼が得意になっていると
「捨てたけど」
と天童さん。翼の表情が固まる。
「冗談だよ。自分で捨ててもいいつってたくせに」
天童さんは、背負っていたリュックの中から、弁当箱の入ったバックを取り出した。
「一ノ瀬の妹にありがとうって伝えといて」
そう言って天童さんは翼に、弁当箱の入ったバックを投げるようにして渡した。
ハッこんなに早く返されるとは
翼は少し驚いた。
「じゃこれでもう関わることないようにして欲しい、さようなら」
そう言って天童さんは踵を返していってしまう。残された翼は、弁当箱のバックを胸に抱きしめたまま、しばらくその場に立ち尽くしていた。
＊＊＊
天童さんはバイト先のロッカールームで、着替えたり手を洗ったりと身支度をしながら考えていた。
まさかこの前の言われようでまた私の前に顔を現すとは
でもこれでもう最後だ
これからは後をついて来られようが
話をかけられようが
無視すればいい
そうしたら諦めがつくだろ
一体何故あそこまで私に執着するのか
出会ったばかりの時に少し優しくしてやったくらいで？
でもその後は酷い扱いにされてるのに
学校で浮いてる私が可哀想だから？
これだな
でも普通ここまでされたらビビッて逃げるだろ
ミツウラも
その他の子も
そうだったし
まさか本当に私のことが…
いや
そんなはずはない
橘でさえ私を同情して助けてくれてるんだから
ちゃんと私を理解して同情してくれてるのは
橘だけだから…
天童さんは、夏休みのある雨の日、バイト帰りに勇に傘を貸されたことがふと頭に浮かんだ。
？！
いやいやなんであいつが？
あいつも同じだろ
＊＊＊
翼が、天童さんから返してもらったお弁当箱を持ってトボトボと自宅に帰ると、玄関の前で勇が座って待っていた。
「お帰り、弁当箱返してもらってんじゃん、早かったな」
勇はそう言いながら立ち上がった。
「会話してもらえたか？」
勇の問いに翼は無言で顔をそらした。
「あそー」
勇は翼と肩を組んだ。
「まあ焦らずにゆっくりやっていこうよ。あいつにも時間が必要だろうから。今日みたいな無意味なストーキングはやめてさー」
勇は言いながらど、玄関のドアノブを回す。口には出さないが、翼じゃ火に油、傷に塩にしかならないし、と思っていた。
「何でうちへ一緒に入るの？てか何で外にいるの？」
翼が勇に言った。
「ダメかよ、待ってたに決まってんだろ、お前が捨てて行くから」
「別にいけど」
勇は少し上を見て言う。
「…あの先輩にセーター返したよ。名前…なんだっけ」
「アリザワ先輩？」
翼は思い出した。
「あ、ごめん…!一緒に返しに行こうって話だったのに…え、どうやって返したの？クラス教えたっけ？」
「偶然廊下で会って返したんだ、アリザワ？先輩？」
勇が聞く。
「それ変な名前だと思ってたらあだ名だったのか？」
「いや、名前だと思うよ？前に配ってもらったプリントにもそう書いてあったし」
翼が不思議そうに答える。
勇は、ちょっと間をおいて、そして
「ほお？」
と言った。
ToBeContinid
カカオ79%【感想(ネタバレ有)】
怪しい怪しいアリザワ先輩の素性に頭を巡らせる勇の、最後の「ほお」の顔がよかったです（笑）
天童さんはきっと、心のどこかではすでに翼の真っ直ぐな部分に気が付いているように思います。でも、小学校の頃から何度も経験してきたように、また裏切られるのが嫌で、傷つくのが怖くて、翼のことをシャットダウンしようとしているなら…少しでも、ほんの少しでも翼に心を開いてほしいです。
天童さんが翼を信じられるようになるまで、翼は辛いかもしれませんが、めげずに天童さんにアプローチし続けて欲しいです。
天童さん、勇に心が傾きつつある？？？よりによって、勇なの？これは、翼に思いを寄せた橘君のこともあったし、翼からしても、友達の愛ちゃんが、勇のことが好き（と翼は思い込んでいる）だったことのトラウマがあるので、天童さんからしても翼からしても、天童さんの次の恋が『勇』というのは…なんていうか、翼と天童さんが仲良くなるのに都合が悪い…です。
天童さん、恋も大事だけど、今の天童さんに必要なのは『友達」だと思います。
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