web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想158話】~残り21%の甘さ~
カカオ79%4巻発売決定!
158:様子見【ネタバレ注意】
カカオ79%【あらすじ(ネタバレ有)】
文化祭2日目の真っ只中。勇は何度鳴らしても電話に出ない翼を、朝2人で話していた階段で発見した。
ヴー ヴー ヴー ヴー
震えるスマホを手に、翼は呆けていた。勇が鳴らしたまま翼の目の前に立つ。
「テメェ・・・何度電話しても出ないから探し回ったじゃねぇかよ、見ろよ、ケータイ」
勇が強引に翼のスマホを翼の目の前に持ってくる。
翼は我に返った。
「はっ、ご、ごめん!!あれ!?いつの間にこんなに着信がってかいつここへ!?橘君のところ行ったんじゃなかったっけ」
「何言ってんだよ、とっくに用済まして来たんだろうが。携帯出ないからここに落としてたんじゃないかと思って来てみたら・・・」
勇が言った。
「あ、そ、そうなの、ここに落としてて・・・」
と、説明しながら翼はさっきの出来事、モブ男との会話を思い出す。
あれ?
夢だったのかな
実は朝ここで勇と会話してた時から
ずっとここにいたような
翼は勇を目の前に、少し混乱していた。
「?どうかした?何かあったのか?」
翼のスマホには、先ほどモブ男が送ってきた、中学の頃の翼と勇と愛ちゃんの3人で写った写真が表示されていた。
翼を心配して至近距離に近づいてきた勇を、翼は思わず突き飛ばしてしまう。
「ダメー!!」
「ゴヘッ」
勇の苦しそうな表情を見て、翼はハッとする。ゲホッと腹を押さえる勇に、翼は青くなる。
夢なんかな
わけがない
「ご、ごめん・・・!あの、これは、マジで・・・」
翼は謝る。
「いや・・・こっちこそ・・・ごめん」
なぜか勇も謝る。
「いや、そっちはどう考えても何も悪くない!!」
「今朝からくっつくなってずっと言ってたのに・・・」
勇を目の前にして翼は考える。
・・・話すべきなのか?
夏目凪だよ、と言ったモブ男。
夏目を名乗ったくせに、新木と呼ばれたクラスメイトが何故か愛ちゃんと私たちの写真を送ってきた、と・・・。
「何か未だに現実感がなくて・・・嬉しすぎて突っ走っちゃうんだよな・・・」
勇が目の前で、赤くなりながらそんなことを言った。翼は思わず口をあんぐり開けてしまう。
な、慣れるんだ!
こんなもんだってもうわかったじゃないかい!
翼は震えながらなんとか照れを隠し、思考を続ける。
話してどうするの?
てかあいつ何者?
い、今、この空気を壊したくない。
だいたい私達は引っ越してきたんだよ、そこで愛ちゃんの知り合いに出くわす確率って・・・
様子がおかしい翼のことを観察しながら勇も考えていた。
テニスコートのことでまだ気分が良くないのかな
見るだけならまだしも、コートに入るってなると緊張しだすの相変わらずのようだし。
翼は頭の中に愛ちゃんの顔が浮かんだ。そしてその後モブ男の顔も浮かんでくる。
まず、あいつと話してみて
それから勇に話そう
自分でもこんがらがってちゃ
何も説明できないじゃない
***
体育館の壇上で生徒会長が話しをしている。
「皆さん、昨日と今日の文化祭、お疲れ様でしたー、それではただ今より、学年別フラワーの売り上げの順位を発表したいと思います。」
翼や勇のクラスメイトたちは、ドキドキワクワクしていた。
「一位のクラスには賞金かな?」
「ご褒美って何だろう」
「一ノ瀬と委員長のおかげでうちは上位確実だよね」
生徒会長の話しは続く。
「その前に、規定にしたがってこの順位は文化祭開幕後の経費精算、報酬などに何の関係もなく、無価値ということを前述させていただきます。」
クラスメイト達の表情が「?」に変わる。
「・・・」
「・・・」
「まぁ、稼いだお金って後で経費で使った分クラスに回してもらうってことだよね」
「・・・ね?俺も先輩たちにそう聞いて・・・」
「そして一位のクラスには別の賞品が・・・」
「俺も3年の姉貴に・・・」
2年&3年生側の列を見て、1年生側は異変に気が付く。上級生たちは皆、ゲス顔をしていた。
「報酬ー?賞品ー?そんなのねーよ」
「もうけた金は全額寄付に決まってんだろう、この天使どもが」
「知ってる?青春ペイって。楽しんだらそれでいいんじゃないかな?」
「じゃ、一位のクラスには何が残るのかって?名誉かな」
1年生たちは、口をあんぐりと開けたまま立ち尽くしてしまう。そしてざわざわしだす。
「・・・え?俺たちの頑張りって・・・」
「焼き肉がぁぁぁ」
「何日も徹夜で頑張った・・・のに」
「俺は稼いだフラワー半分貰えるって聞いてんぞ!!」
「私は修学旅行でランクアップのホテルに泊まれる券が手に入るって・・・!」
その様子を、先生たちも眺めていた。
「毎年1年にはモチベ持たせるために賞品やらご褒美やらの噂流すんだよね」
保健の先生が苦笑いをしている。
「その真実を知って絶望する絵面が地獄って言われてるし・・・黙ってた私たちも共犯なんだけども」
横にいた先生もうなずく。
1年生たちはため息をつく。
「はは・・・は・・・楽しかったから・・・いいんじゃないかな」
「だよ・・・ね、楽しむための文化祭だし、別に代価を望んでのためだけに頑張ってきたわけじゃ・・・」
「・・・まぁ・・・楽しかったし・・・いいか」
生徒会長の話しは続いている。
「え~と、それではまず1年の第1位のクラスの発表を・・・」
「いや!諦めるのはまだ早い!」
勇たちのクラス、1-Bのクラスメイトが声を上げる。
「忘れてはいないか!?俺ら1年B組にはミスフラワー個人の稼ぎとして認められる分があるってことを!あれがあればうちらの一位は確実・・・!そのお金も一ノ瀬個人に・・・!」
「第1位のクラスは1年C組!」
1年B組のクラスメイトは唇を噛んだ。
「なお、1年B組に関してはクラスの出し物に許可なく他のクラスの生徒を出演させたことが確認され、順位対象から除外されました。では続いて2年の・・・」
クラスメイト達はショックの表情を浮かべる。
「ま、まぁ、順位は無価値ってさっき言ってたし・・・お、俺たちには一ノ瀬の稼いだフラワーが・・・」
そこで、サングラスをした委員長がすかさず説明をする。
「あ、それなら松本先輩に全部お返ししてます。」
クラスメイト達は委員長を見て、そして勇を見た。
「だって俺何もやってねぇから、もらうの悪いじゃん」
勇が言う。
「そうですね!?なんて律義で健気なミスフラワー!?」
「でも代わりに委員長が・・・」
委員長もすかさず言う。
「金で人を買うようなイベントに賛成してはいけないと思うのです!!」
「そうですね!!なんて律義で健気な委員長ォォー!?」
「クラス会議の時には大賛成してたくせによ」
クラスメイト達からは不満の声が飛んだ。
「じ、自分の過ちを隠すのではなく正す人間になるよう、生きていきたいです。」
委員長はサングラスをずり上げながら言った。
「・・・マジかな・・・うちのクラス・・・」
クラスメイト達は嘆いている。
こうして文化祭は終わった。
***
1-Bの教室。クラスメイト達は、教室へと引き上げてきた。
「・・・と思うのはまだ早い」
そう言って眼鏡をカチッと上げたのは、担任の先生だった。
「この俺があるルート(賭け)で入手した所定のお金がここにある。お前らの頑張りで稼いだのも同じようなお金だ。しいて言えばミスフラワーの座を手に入れてくれた一ノ瀬のおかげが大きいんだがつまり、俺の奢りで今から打ち上げだ、支度しろ」
クラスメイト達は大喜びで盛り上がる。
「キャオー!?」
「イェアー」
「先生最高!!」
「勇リエット!!勇リエット!!」
勇は内心ホッとしていた。
よかった・・・責められるかと思ってビビった。
ありがとう先生、と。
こうやって文化祭は
2日目も終わり、無事終了した。
勇は無言で翼のことを見ている。翼はモブ男の方を見ていた。モブ男は他のクラスメイトと談笑していた。
「いやー天童さんのこと俺が勝手に決めたことだから悪いなーって」
「いいっていいって!」
「行こうよモブ男爵」
「モブじゃねぇよ」
to be continued
カカオ79%4巻発売決定!
カカオ79%【感想(ネタバレ有)】
勇は翼の様子から、大方察してきてはいるものの、こうして2人はすれ違っていくんだな、と思いました。翼、全部言ってしまえばいいのに、と思わずにはいられません。
でも、勇も翼に言ってないことって実はいっぱいあるんですよね。そもそも、勇もモブ男が夏目という苗字なことは夏休みの旅行の時から知っているものの、翼には言っていません。ですから、翼は、勇がモブ男は夏目と知ってることすら知らないのです。
でも、愛ちゃんを探そうとしてるのは勇ですし、モブ男と愛ちゃんに接点があるのではと思っている今、動き出すのは勇の方では???と思っていますが、モブ男がアクションをかけてきているのは翼になので、翼の行動力が勝りそうですね。
それとも、勇は翼と前に進めたから、愛ちゃんを探さなきゃ、というのは、もうそんなに、熱が冷めてるのかな、という気はしないでもありません。。。
担任の先生、思ったより生徒思いというか。もっと適当な感じでしたが、賭けに勝ったお金で打ち上げを開催してくれるなんて、粋ですね。
カカオ79%【ネタバレ/伏線回収班】
●文化祭2日目の朝、翼と勇が階段でイチャイチャ話し込む話→『カカオ79%』155:違う空気の中で【あらすじ&感想】
●勇が橘くんに電で呼び出された話→『カカオ79%』156:みぞおちに一発【あらすじ&感想】
●担任の先生が実は賭けをしていた話→『カカオ79%』146:好きな人の好きな人【あらすじ&感想】
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