web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想93話】~残り21%の甘さ~
93:言行不一致
【あらすじ】
パリス役やめてくれない?
キスシーンがあるよ、パリスとジュリエットの。
翼の家のリビングで、勇が言った言葉。
て事はつまり、
「私とキスシーンやるのが嫌だから、そんなに反対してたの?パリス役やるの」
もうすぐキスしそうな勇に翼が聞いた。
「…はい」
勇はそのまま答えた。
「じゃあこれは今、何をしようとしてたところでしょう」
勇は、この質問にもそのままの姿勢で答えた。
「…思わずキスしちゃうところでした」
翼が赤いクッションを勇の顔面に押し付けた。翼は赤面し、ゴリラ顔になってしまう。
「ま、真顔でそんなこと言わないでくれない!?は、恥ずかしくないの?!」
勇はあれが照れ顔なのか、と若干引きながらも、
「聞かれたから答えただけなんだけど」
とさらっと答えた。
「あんた言ってることとやってることが違いすぎない?!」
勇は赤いクッションを手に持ちながら、考える。そして、俯きながら言った。
「…そうだな、そういえば勝手に触れないようにすると言ってたな」
旅館の廊下での話だ。
…ごめん、勝手に触れるのはこれで本当に最後にする、と勇は言っていた。
翼はそのことを言ってるわけではなかったが、その言葉のことを思い出した。翼が、キスシーンがあるからパリスをやめろと言う勇が、今キスをしようとしていることを指摘しようとしたのだが、勇には伝わっていない。
「悪い」
勇は勝手に触ったことを謝罪しながら、自分と翼の間にクッションを置いた。
クッション分、2人の間に距離ができる。
翼はじっとそのクッションを見つめた。
「今後気をつけるから役もパスして」
勇の鈍感さに、翼は先程からずっと傷ついていた。
「く」
勇の言葉の途中で、翼は、2人の間にあったかいクッションを壁にぶ投げた。
「ださ…るー?」
となんとか最後まで言いながら、勇は、恐怖を感じる。
「ちゃんとはっきりと言いなさい。なぜ私とやるのが嫌なのか」
「ふざけんなよ、てめぇに何回やられてると思う? 2回。2回も勝手に人の唇奪っといて、てめえが嫌なときには拒否るとか、そのくせに思わずしちゃうところでした?」
そう言いながら、翼は左手の拳を握り締めた。
「お前キスシーンやりたいの?俺と」
「そこじゃねーだろうがよ!話そらすなよ!!」
勇の言葉に、翼はますますヒートアップした。
「いや最も大事なとこだ。やりたいの?!え?できんの?!いや無理だろう」
勇は言い切った。
翼がその言葉にひるむ。翼と勇が向き合っていた。
「ほ、本当にあるわけでもないし、いけるもん!!劇だしふりでしょ、ふり」
「あーもういい。キスシーンな?か外してしまえばいいでしょう」
「…なんでいつも肝心なところは言わないの?まぁ聞かなかったこっちも悪いけど」
翼はぶつぶつ言いながら、立ち上がって後ろを向いた。
勇がそんな翼の方をまっすぐに見ながら言う。
「俺のそういう勝手な行動で、いっぱい混乱させて悩ませたから、これからは自重しようと思ってんだ。たとえ劇でふりだとしてもお前に負担を与えたくない」
***
翌日。学校。
「ではこれから門制作会議を始めます」
文化祭実行委員長である、アリザワ先輩が立って、門制作のコンセプトや段取りについて話していた。実行委員の手伝いの子達に混じって、翼はぼーっと座っていた。
***
昨日のことを考えていた。
考えが甘かった。進まずにいると、止まっていると、まだ今まで通りに過ごせると思っていた。
負担。
ついていけてない私は、確かにそう思っていたかもしれない
昨夜、あの後、勇は翼を見ながら言った。
「最初はただ俺に気づいてほしくて、でもそれからは気づいてないフリ、見えないフリをするから、夏目への義理と責任感…?多分罪悪感もあんだろ、知ってるくせに知らないふり…をしてるんだと思ってた」
翼は勇の言葉にビックっとする。
「だからお前が認めるまで…自分で気づいて線を超えてきてくれるまで、無理矢理ここまで来たのに、まさか…本当に誤解をしてるとは思いもしなかったから」
酔っ払って寝ているときに翼が、勇に愛ちゃんとちゅーしてんの見た…と言ったことで、気づいたのだ。
「…誤解…て」
翼は言葉が続かない。
「俺は…夏目と付き合ったことなんかないし、まして好きだったこともない」
翼は門制作の会議に出席しながら、勇のことを考え続けている。
愛ちゃんとのこと、あっさりと聞けた。でもずっと聞きたくなかった。2人が両思いだったとしても、愛ちゃんの片思いだったとしても2人の仲を壊したのは多分私だから。
いろんなことを気づいてないフリしてた
***
アリザワ先輩は、翼が見るからにぼーっとしてるのを気にしながらチーム編成を促すなど、会議の進行していた。
会議が終わり、教室から出て行こうとする翼をアリザワ先輩が呼び止めた。
「ちょっとちょっとちょっと、後輩ちゃん…!これさっき配ったやつ!!早速捨てんのかよ」
「あ…すみません」
翼がアリザワ先輩からプリントを受け取った。
「何ぼーっとしてんのよ。どっか具合悪いの?」
「いいえ…」
「じゃあ何?彼氏と喧嘩?」
「ああ、いや、喧嘩じゃないけど…」
と言う翼に、アリザワ先輩は驚く。
「え?!付き合ってんの?!いつの間に?!」
「あ、彼氏じゃないですね。彼氏じゃないです。」
翼がすぐに訂正した。
そして逆に
「なんでしょう…私の」
とアリザワ先輩に聞いた。
「え?」
アリザワ先輩が知るはずない。
***
今まで通りって何だっけ
「じゃああれは…!私が見た…」
翼は、勇から、勇が愛ちゃんと付き合ったことも、好きだったこともないと聞いた後、あの写生大会の時の2人のキスを、見た事を言おうとしたが、最後まで言う前に勇が口を開く。
「まだ全部はっきり説明できないけど、これだけはいっとく。 俺が好きなのはずっと、赤いランドセルを背負ってた時からたった1人で 今までそれは1度も変わったことがないから」
「ごめん、俺ほんと言ってることとやってることちげな。後で蹴り飛ばしていいから」
***
「何なんでしょう…私の」
そう言って翼が泣き出した。アリザワ先輩は驚き、そして焦る。
「ちょ、ちょ、後輩ちゃん?!」
周りは委員長が女の子を泣かせた、と騒ぎ出していた。翼は泣きながら、自分の思いを口にする。
「何なのよ、負担与えたくないっていとつっといて!!負担しかないのよ!!あの変態野郎が!!そんな昔からだったら何とも言えないじゃん!バカが!バカが!!」
私が目を逸していた長い時間が
拍車をかけて流れ始める
あとで蹴飛ばしていいからと言った勇は、
翼にキスを、翼は、目をつむってそのキスを受け入れた。
【感想】
私は翼の女心が痛いほどわかるのですが、勇はいまいち翼の気持ちをつかめてないですね。そして翼の勇の気持ちがわけわかんないだろうなぁと思います。キスしたいの?キスしたくないの?って(笑)
翼は言葉にこそはしていませんが、自分以外の誰かと勇がキスするシーンすることの方が嫌なのではないでしょうか。
最後のキスは、最高でした。初めて、2人が合意のもとキスしてます。翼、目をつむっていますし、勇が、首に手を回すところ、とてもセクシーです。
【ネタバレ/伏線回収班】
・アリザワ先輩「付き合ってんの?!いつの間に?!」
アリザワ先輩は翼と恋バナをするのは初めてのはずなのに。。。
・勇「まだ全部ははっきり説明できないけど」と前置きしてから告白。
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