web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想84話】~残り21%の甘さ~
84:誰にも言えない話(5)
【あらすじ】
空は車の運転席に座っていた。助手席には、アメリカのテニスアカデミーのパンフレットと、何やら、月日が書かれたメモが置いてある。
空はそのメモを手に取って、電話をかけ出した。
「はい、はい」
「もしもし?蛍ちゃん?」
空は蛍が家にいることを確認すると、外に出てくるように言った。
「今、家の前に来てるんだ」
蛍がびっくりして、カーテンを開けると、空が車の横に立っていた。今まで、白のTシャツとショートパンツだった蛍は急いで、赤のフリルのついたワンピースを着て外に出てきた。
「また急に現れて…忙しいんじゃないの?何してんの?ここで」
「まぁ、すぐ戻らなきゃいけないんだけど、そこで蛍ちゃんにちょっと頼みごとがあります。…うちの家の鍵…持ってない?俺まだ持ってないんだ…」
***
蛍は無表情で、翼の家のドアの前の植木鉢を横にずらした。
「はい、鍵、どうぞ」
空はその不用心な隠し方に呆れている。
立ち上がった蛍は、腰に手を当てて、かがんでいる空に言う。
「その前に、私に何か言いたい事、ないのかな?」
空は蛍に圧倒されながらも
「ご、ご協力ありがとうございました?」
蛍が空の胸ぐらをつかむ。空は冷や汗をかいていた。
「ごめん、ごめん!本当は言いたいこともうひとつある!だからちょっと離してよ」
「何よ、言いたいこと!」
蛍は手を離しながら言った。空は、言いにくそう。
「えーっと…今日俺がここに来たことさ、翼とみんなに内緒にしてくれない?」
蛍は、いらっとしながら「…なんで?」と問う。
「忘れ物取りに来ただけだから、余計な心配かけたくないというか…」
「…わかった。ただしその代わり、空ちゃんの1つ私のお願いきいてね」
じゃないと今すぐ翼ちゃんに連絡する、との脅しつき。空は、蛍の迫力に押されながらも、…まぁ内緒にしてもらえるならいいか、と家の中に入る。
***
翼の部屋へ来た。相変わらず京一の大きなポスターが貼ってある。
空はは本棚から、『楽しいテニス』と言う、京一が書いた本を取り出す。
空は病院で翼の腕の具合を聞いてきた。
「選手が復活できる位の完治は難しいと見てたし、本人も諦めていたように見えました。それが怪我をして半年くらい経った頃、急にリハビリにやる気を出して、奇跡的に少しずつ回復に向かいつつあるということです。完治も遠くないでしょう」
本に挟まれた、破られたノートを読みながら、翼のことを考える。
それでもテニスができない、いや、やりたくないのは、俺のせいか。
空は本をパンと閉じた。
「隠す場所が緩いんだよ、鍵もそうだし」
と独り言を言う空に、蛍が後ろから突然話しかける。
「楽しいテニス」
「何?忘れ物ってそれ?」
空は、空が怪しいので詮索しようとする蛍をごまかしながら、慌てて本を元の位置に戻して、部屋を出ようと促した。
「待って、お願いごと今聞いて!」
「おお、何?」
蛍は空の腕を両手で掴んで言う。
「キスして。今すぐ」
空は思わず吹き出してしまう。
「パードン?」
「キ・ス・し・て」
蛍はもう一度言う。
「この前は私が勝手にやっちゃってごめんなさい。だから今回はお互いの許可の下でやるの」
「待って待って待って、蛍ちゃん、そういうのはそんなに軽く言うもんじゃないよ。特に初めてのちゅーは大切にしとかないと…」
空はちょっと大人ぶって言う。
「初めてじゃないもん」
空は驚いて
「どこのどいつだよ?」
と相手を気にする。
「それは今関係ないし、やってくれないと翼ちゃんに連絡するよ」
空はそれを聞くと、焦った顔をしたり、困った顔をしたりしながら、
「ほら早く」
と言う蛍に真剣な目をしながら手を伸ばした。なかったことにされたくないと強く出る蛍は、腕組みをして、目をつむっていたが、空の手が頰に触れると、ビクッとして目を開けた。
「後で泣き言、言うなよ」
そう言って、空は蛍の両頬を、両手で触れて、
ぐいっと自分の方へと引き寄せた。
To Be Continued
【感想】
空は翼がテニスを辞めた事を、探っていましたね。いくら兄でも、日記の、しかもよりによって隠しているページの部分を見るのはどうなんでしょう?
蛍ちゃんは、完全に恋する乙女ですね。空に外に出てきてと言われ、ちゃんと空好みのワンピースに着替えて出て行くとかって、可愛すぎです。窓から外を驚いて見ている顔に比べて、表に出てきた顔は、完全に女の顔ですね。
空は蛍のこと、どう思ってるんでしょうか?年上の空に一生懸命、背伸びをして接している蛍の気持ちに気がついているのでしょうか?まさか、翼と同じ鈍感で、気がついてないとかは、ないとは思います。。。
この話のタイトルが『誰にも言えない話』で続いているところがおしゃれですよね。
【ネタバレ/伏線回収班】
・空はアメリカのテニスアカデミーのパンフレットを持っている
・蛍に驚き、楽しいテニスの本を本棚に慌てて戻す
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