『カカオ79%』79:夏の風と音と匂い(14)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想79話】~残り21%の甘さ~

79:夏の風と音と匂い(14)

【あらすじ】

3年生に進級した。クラス替えがあって、3ー1には愛ちゃんと中島が、3ー5実は勇と翼がそれぞれ同じクラスになった。

中島が久々に登校してきた愛ちゃんに絡む。
「あらあー!これはこれは、日本を代表するテニス選手になる予定だった綾野さん腕をぶっ壊した夏目さんじゃありませんか〜」
中島は、翼を利用して勇の近くにいようとしていた愛ちゃんが許せないよう。盛大な嫌味を言い続ける。

***

翼は、自分の教室で愛ちゃんが登校してきたことを聞き、愛ちゃんの教室まで走って行った。

春休みに愛ちゃんの家に行くと、母親に親戚の所へ行ってる、新学期には戻ってくるから探さないでと言われたと聞いた。

結局会えなかったのだ。

勇に聞いても、愛ちゃんと連絡はとってない、…今はあんまり夏目の話はしたくない、と言われた。

大丈夫

きっと

また

また

3人で

2-1の教室。
「ちょっと中島さん!それは言い過ぎじゃない?怪我させたのは夏目さんじゃなくて犯人でしょ。そうやってみんなを煽るような言い方はやめたほうがいいよ」
別の女子生徒が中島に口を出した。
「てかさぁ、正直、綾野さんってそこまでの実力でもなかったじゃん。腕の怪我は残念だけど、有名人の妹だからってご機嫌とって仲良くしようとしてたの丸見えなんだけど」
と続けざまに中島に言う。

隣にいた友達が、翼が2-1の教室で来たことに気がついて、止めようとしてくれていた。息を切らして、教室に入ってきた翼は、愛ちゃんを見つけた。

愛ちゃんも翼のことを見ていた。

「あなた、一ノ瀬のことが好きでいつもうちの教室にうろちょろしてたよね?ここぞとばかり綾野さんの悪口を吐き出すんじゃないわよ。私に噛み付くなんていい度胸じゃない」
中島は、口出ししてきた女子の目の前まで来て、顔を近づけながら言った。

そこへ、翼を追って勇も、3-1の教室へきた。
「女子怖」
「1番悪いのは一ノ瀬かもしれない」
その様子を見ていた男子達も、無責任な感想を行っている。

「ちょっと中島やめて!」
翼が声を上げた。
「いっとくけど!愛ちゃんは何も悪くないよ!全部私の不注意のせいだからな!行こう愛ちゃん」
翼は、愛ちゃんを勇の側へ連れて行こうとするが、勇はふいっと離れていってしまう。

愛ちゃんも何も言わない。

3人で、楽しかったじゃん

翼は下を向いた。

***

その日から、翼は愛ちゃんの教室を頻繁に訪れた。愛ちゃんとはつとめて明るく接した。でも、翼が知らないところで、愛ちゃんは様々な嫌がらせを受けていた。ノートに男大好きとペンで落書きされたり、上靴を捨てられていたり、わざとぶつかってきたり。

あるときは、中島に突き飛ばされて言われた。
「男たらしが横取りしようとするから」
そして取り巻きたちも、口々にいろんなことを言う。
「親が不倫してるだけあるわね」
「てか綾野さんはなんでかばうの?むしろ怒るべきじゃない?」
「テニス部辞めるらしいよ」
「でも正直成績微妙だったのも事実だし、むしろ、ラッキーとか思ってるんじゃない?」
その言葉に愛ちゃんは、中島たちをにらんだ。

すると中島は、愛ちゃんの胸ぐらを掴んで言う。
「どうしてくれんのよ。あなたのせいで綾野さんの株がここまで下がってしまったしゃない。このままじゃ私の友達にふさわしい綾野さんじゃなくなるわ。なら、私が優しくしてあげる必要もなくなるし、どうしよっかなー、ぶっちゃけあなたばかり構っててムカついてきたところだったのよね」
「いい加減空気読んだら?皆綾野さんのこと面白くないと思い始めてるのよ。男たらしで不倫親の娘を、しかも自分の腕を壊した女を 一人で庇って良い子ぶりしてんじゃないのかって」

新学期がスタートして、制服が夏服へと変わる頃、こうして、周囲からの愛ちゃんへのバッシングは、翼へと矛先が向いてきた。

***

ある日、愛ちゃんは翼へ決別を告げる。

放課後、二人しかいない、愛ちゃんの教室。
「ごめん綾ちゃん、私…もう無理なの」
夏服の翼、左腕は、上腕から手首にかけて包帯を巻いていた。
「何…よ、いきなり。私のことなら本当に、気にしなくてもいいから…!」

愛ちゃんへは、椅子に座ってうつむいたまま話す。
「いきなりじゃないよ。ずっと…我慢してた。でも、これ以上は…もうあなた達といるのが辛い。私のことはほっといてよ…余計なお世話よ」
「もう全部…うんざりなの」
「な、何を…言ってるの?私の腕のことならほら、もう全部治ってるし」
凍りついた笑顔で翼が言う。
「治ってないでしょ!何で!私を責めないの?!」

そこへ勇が翼を迎えに3ー5の教室へやってきた。

二人の話は続いている。

「何でって…愛ちゃん何も悪くないから…」
「私はずっとあなたを責めてたの。何で私に構ったの?何で?!」
ガタンと音を立てて愛ちゃんは立ち上がった。
「…もう関わりたくない」
そう言って愛ちゃんは走って教室を出て行ってしまった。

被害者になって

背けていた事実に気付いたら

全ての始まりは自分だった

翼はその場で立ち尽くしていた。勇が教室に入ってきて翼に声をかける。

翼はそこで初めて、勇が側にいたことに気がついた。
「翼、帰ろ」
返事をしながらも翼は勇と愛ちゃんのことを考えていた。

そういえば勇と愛ちゃんの関係は…どうなってるの?

もしかしてクリスマスの日、私のせいで…

勇は、下を向いて何やら考えている翼の肩をガシッと組んだ。
「早く来いや。ちょっと会わせたいやついるから」
「え?あ?会わせ…?え?誰?」

***

というわけで、公園にやってきた。
「やほーサプライズーーー」
と相変わらず無表情で挨拶してきたのは、アメリカへ行ってしまった翼の親友、小林イツカだった。

びっくりする翼は
「イツカ?!何でここに?!え?!夢?!え?!」
少し混乱もしていた。
「親戚の結婚式で急遽帰国したさ。夢じゃないで」
「本当に??本物?!」
翼は目の前にいるイツカがロボットなのではと疑いながら、イツカのことをブンブン振ってみる。

イツカはまたしても無表情で怒るぞ!と言っている。翼はイツカの名前を言いながら、とびっきりの笑顔でイツカのことを抱きしめた。

その翼の笑顔を見て、勇はホッとしていた。翼はイツカに近況を話した。

「しゃテニス部はやめたの?まあ卒業まで完治するかどうかわからないし、リハビリに専念した方がいいもんなー」
というイツカに、翼は、きっぱりと否定した。
「ううん、リハビリのためじゃないよ。テニスをやめるの」
その言葉に勇もイツカも驚いていた。
「私は多分もう選手にはなれない。だからここでストップ。これからテニスと同じくらい好きなものを探すんだ

「は…?」
横で焦る勇に対して、イツカは即座に翼を肯定する。
「そうなんだ。私は翼の選択を応援するよ」
それを聞いて、翼はまた笑顔になる。

***

イツカと別れてから、勇は再度翼に聞く。
「…本当にやめんの?」
「うん!」
「お前、今まであれだけ頑張ってきたのに…!もしかしてまだ実力ないねとかダメだとか言われてんの気にしてんのか?!それならまだ若いし…」

翼は純粋な顔をして言った。
「自分の限界は、自分が一番よく分かっている」
「私はここまでなんだよ」
やはり勇は少し焦って
「そんな弱音…!」
と言いかけるが、翼がそんな勇の言葉を遮って話す。
「テニスが!!私を選んでないから…!!」
「だから私も選ばない!!」

勇は言葉を失った。
「選んで…捨てられたくないのよ。捨てられるのはもう!」

翼は愛ちゃんと出会ってからの出来事を次々と思い出す。
「もう…」
と言って涙声になる翼に、勇は頭を掻きながら引き下がる。
「…わかった、もう言わない」
「君の選択を応援しよう」
と親指を立てた。

イツカのセリフを流用した勇に、翼は、その立てた親指をボキッと折りながら、くるりと勇の背中側に回ると、勇の背中を押した。
「さーもー帰る帰る!」
「わかったから押すなて!自分で歩くから!」
それでも背中から離れない翼に、勇は声をかけた。
「おい!ゴリラ…!」

そして勇は自分の背中で、翼が体を震わせて泣いていることに気がついた。勇はは大粒の涙を流す翼の手を引いて、歩き出す。

この日私は

夢と友達を同時に失いました。

家について、門の前で、翼は勇の袖口を引っ張った。
「勇、あんたはずっと…ずっとともだちでいてね」
「もちろん」

そして俺は

守れない約束を

三人から二人になった日、

少し暑い風と 微かになく蝉の音

その夏の匂いを

未だに忘れられず…

***

高校生の翼。

蝉の音が耳について、ふと目を覚ますと、目の前に勇の顔があった
「ん?」

to Be Continued

 

【感想】

愛ちゃんが翼から離れようとひどいことを言ったのは、翼にも嫌がらせが行かないようにという気持ちがあっての行動だったことが、読んでいて切なかったです。でも翼は、そのことを汲み取っていないから、本当に嫌われてしまったと思ったのが、本当に辛かったです。

イツカは結構いいキャラしているので、たまにでもいいので出てきてくれると嬉しいです。イツカに会ったときの翼の笑顔は、勇だけでなく、私もホッとしました。そして、翼にとって、勇と友達でいることこそが、ずっと一緒にいるための選択と、この時に思い込んだのですね。

高校生の翼、ついに目覚めたようですね。2人の関係に変化はあるのでしょうか。

【ネタバレ/伏線回収班】

翼はテニスを自分から辞めている

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