web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想53話】~残り21%の甘さ~
53:認める瞬間
【あらすじ】
「付き合う気がないなら一ノ瀬君とか他の男子と少し距離をおいて欲しいの、自分も一応女子ってこと忘れないでね」
「才能はありますが、全国でも通用するかどうか…やっぱり兄の方が群を抜いてたって言うか…」
「綾野ってやっぱ他の女子と違って話しやすいけど、恋愛対象としては見れないよな~友達友達」
「腕がダメになったらしいですね。まあ、ここがやめるチャンスかもしれませんね」
病室。ベッドに座っている中学生の翼。表情は見えない。
「おいゴリラ!何してんだよ早く来いよ」
勇が、昨日のゲームの続きを誘っている。勇だけは、変わらない。中学の頃、翼はそのことに救われた。
***
「一番嫌なのは何?」
答えは思ったよりあっさり出て来た。
「一緒にいられなくなると私は多分死ぬよ」
***
勇が天童さんに一郎(メガネ)を渡す。天童さんは、一応お礼を言って、そういうわけで送れよ、と。
方向音痴の天童さんなので、勇はムッとしながらも、そのつもりで来ている。
天童さんは少し離れたゴミ箱の方を見やる。翼は出て来ない。出て来ないってことは決心がついたから?それとも逃げた?
そのままバイト先に送るよう言う天童さんに、ご両親が心配するから一度家に寄った方がいいと勇は言ったが
「大丈夫。一人で住んでるから」
と天童さん。
***
一方、その頃の翼。
「ゴミの大魔王!!待って!!追え!!」
と、木の棒を持った男の子たちに追われて逃げていた。翼は、まだ勇には会えないと思い、帰ろうとすると男の子にゴミの妖精様として発見され、騒がれそうになった。騒がれると勇に気が付かれるので、逃げたのだ。
ダッシュしてフェンスに飛びのる。
「ギャハハハッ!これでもまだついて来れるかな?!サヨナラ!クソガキ共…」
と振り返って言いながら、フェンスから飛び降りようとすると、目の前に、アイスを食べながら通りかかる男の人がいた。
男の人目がけて飛び降りてしまう翼。
二人は重なり合って地面に倒れた。
***
実は
「ずっと一緒にいたい」
「離れるなんて嫌だ」
と言いたかったんだ。ちゃんと引越し先も聞きたかった。
でも勇はもしかして私から先に言ってくれることを待ってたんじゃないかな、今みたいに。
だったらずるいよ。あのときも 今も いつもいつも。
転校直後の屋上で。
「俺、彼女作ろうかな」
花火大会の時。
「いいの?俺と一緒に現れるとまた誤解されるぞ?」
そして昨日。
「無理だろうな」
試して、私ばかり答えを求めて
おかげでもう逃げ場もねぇよ。
***
翼はひっくり返りながら、空を見上げた。いい天気だった。
翼が帰ると、いったん荷物を取りに空が家に戻っていた。玄関に入って来た翼は、ゴミ臭く、泥まみれで、服にはアイスクリームがついていた。その惨状に空が驚いていると、翼が
「兄ちゃんって今彼女いる?」
「彼女?いないん…だけど急にどうした?」
翼が役に立たねぇな、という表情をするので、空は思わず謝ってしまう。翼は、恋愛っていうのはやっぱ終わりっていうのがあって…とブツブツ言いながらお風呂へと向かっていった。
空はそんな翼を呼び止めるが、翼が昨日、はっきりと
「あの時も言ったけど私はもう二度と…テニスをやるつもりはない」
と言った事が脳裏をよぎり、何でもない、と続けた。
翼がお風呂を出ると、空がもう家を出ようとしていた。日本での滞在中は、このあとはホテルに泊まるそう。家の外では、マネージャーが車のトランクに荷物を積んでいた。
空と翼はお別れのハグをする。
「頑張ってよ。また負けてバカにされないように」
「ハハッ母さんと父さんにもよろしくな。隣にも挨拶に寄るけど一緒に行くか?」
「行かない。隣にはもう行かない。夏休みの間、勇とは会わないよ」
翼は中学の頃の事を思い返していた。翼が愛ちゃんに言った。
「私と勇はただの幼馴染だよ。勇とうまくいきたいなら私手伝うから」
***
二階の翼の部屋のベッドの上に、箱が置かれていた。黒の、女性らしい靴だった。空からだ。
隣の家の玄関を開けた空は、出て来た蛍に腕を引っ張られ、蛍はそのままほっぺたにキスをした。
「試合頑張って」
空が固まっている間に、ドアが閉まる。
翼はもらった靴を握りしめる。自分で話してきた言葉が、少しずつ嘘に変わって蝕まれる。
「ごめんなさい 愛ちゃん…」
To Be Continued
【感想】
蛍はきっとこの一蹴のために、空が好きそうなワンピースを着て化粧もして、玄関の前で待っていたのだと思うと、さすが兄妹。用意周到なところも似ています。突然、キスしてしまうところも。。。
翼はなかなか乙女らしくは悩ませてもらえないですね。ゴミの妖精様からいつのまにか大魔王に進化しちゃってますし。フェンスに飛び乗る翼の身体能力にはびっくりです。追っかけていた少年たちも、アイスの青年もものすごく驚いていましたね。
翼は男女関係には必ず終わりが来て、その後元には戻れない、ということを恐れているようですが、それにプラスして、中学の頃の友達の愛ちゃんの呪縛からも逃れられずにいるようです。
勇は愛ちゃんのことをどう思っているのでしょうか。
【ネタバレ/伏線回収班】
★ここに注目★
・天童さんは一人で暮らしている
・翼、ゴミの妖精から大魔王に進化。
そのままアイスを持った青年にダイブ
・蛍、空のほっぺにキス
・中学の頃の翼「私と勇はただの幼馴染だよ。勇とうまくいきたいなら私手伝うから」
・女性らしい靴を握りしめて「ごめんなさい 愛ちゃん…」
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