web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想54話】~残り21%の甘さ~
54:登校日(1)
【あらすじ】
中学の頃の翼。仲良しだったイツカにしがみついて別れを惜しむ翼とそれをあっさり引きはがすイツカ。中2の頃、イツカが転校。そして入れ替わるように転入してきたのが夏目愛ちゃんだった。
池の淵に立って、沈んでいくノートや筆箱を眺めている愛ちゃん。スカートをまくりあげて池に入り、翼がノートを拾い上げる。
「早く拾わないと沈んじゃないよ?夏目…愛さん?」
***
高校生の翼は、自分の家で蛍と一緒に夏休みの宿題をやっている。捗ってはいない。
8月。まだまだ夏休み真っ最中で、翼は変わらない日々を過ごしていた。空は、テレビや雑誌のインタビューに載ったりして、その度に、蛍が大騒ぎで知らせに来た。
天童さんはバイトに夢中。橘君はテニスに夢中。翼はなんのやる気も出ないまま、家でゴロゴロしていた。
あれから勇とは全く会っていない。二人して会わない宣言をしたからには偶然出くわすこともない。こんなに長い間連絡していないのは初めてかも、と翼は思う。
隣に住んでいるってわかっているせいか、案外顔を見なくても生きていけるもんなんだね、と翼が思っている横で、蛍がおもむろに
「キスされて何とも思えない人なんていないと思うんだけどね。なんで連絡しないのかな」
と呟く。
これはもちろん蛍自身の話。翼は状況が酷似しているので、思わず
「だ、だ、誰の話?!」
と飲んでいた物を吹き出してしまう。その慌てぶりに、逆に蛍が驚いている。
いや、本当は気にならないわけじゃない。会いたくないわけじゃないけど、天童さん、私には自分の気持ちを優先することはできないよ。
翼は、自分に言い聞かせる。
甘えちゃダメだ!
行動をはっきりしないと!
もうガキじゃあるまいし…!
それが勇と愛ちゃんと周りへの礼儀…!
戸惑い
喪失感
罪悪感
こんな中途半端な感情のまま、流されるわけにはいかない。
***
ならないスマホを、目の前にして勇は腕を組み、首をかしげる。
連絡が、来ない。
蛍と2人で食事をする。
嘘だろ、ぶっちゃけ少ししたら何とかしてでも会いに来ると
思ってたけど舐めてた…と勇。
勇も翼も同じことを思っている。こんなにも長い間、翼と連絡していないのは初めてかもしれない、と。覚悟していたはずなのに…とうつむく勇。
一郎(メガネ)を返した日、天童さんが言っていたことを思い出す。
「お前さ、綾野さんのこと甘く見てたのかもしれない。私もだけどさ」
「やり方間違えてんじゃない?」
思い出して苛々もぶり返す。てめぇに言われたくねえよ。そんな勇の正面で、ご飯を食べながら蛍が呟く。
「やっぱ甘かったんだ」
「キスしとけば全部伝わると思うなんて考えは甘かったの」
「だ、だ、誰の話だ」
勇は食べていた物を吹き出して言った。
***
翼はカレンダーのかきこみを見ながら気が付く。
勇はスマホの予定アプリをみながら気づく。
8月6日(月) 登校日。二人して油断していた。
嘘でしょ!?サボるか?!これサボるか?!
と翼は電話をかける。
「もしもし委員長?!登校日行かなかったら欠席になる?なる!?くそ!!」
がらっと変わったようであんまり変わってない距離は、直接出くわすまでは実感できないけど…いざ出くわすことになると思ったより大きく変化しているもんだ
勇は無言で何かを考えていた。
***
登校日当日。先生が本日の予定を話している。朝礼のあと、課題の確認、二学期の文化祭の大まかなことを決めたら終わり、とのこと。クラスの女子たちはちらちらと勇のことを見ていた。
勇は何故か自分の席ではなく、翼の席に座り、勇の隣の席に翼の姿はなかった。
「あ、そして今日サボった奴らに言っとけよ。追加の課題あり&文化祭の色々勝手に決めさせてもらったって」
うつむきながら勇が隣の自分の席をちらっと見やった。
To Be Continued
【感想】
会っていない二人の行動が完全にシンクロしていました。蛍のおもむろな空とのキスに対しての呟きの反応も忘れていた登校日の気づき方も。
冒頭でイツカが、体が離れ離れになったくらいでお互いを思う気持ちは変わらない、と言っていましたがこれは勇と翼もそうですよね。友情ではないですが。そして言うほど遠くもないですが。。。
翼と勇の間では大人びた蛍が、鈍感な空には翻弄されていてとてもかわいいです。不意打ちでキスしたところとか、少しだけ勇と翼の状況と重なっていて、ことらもこちらで見事に兄妹シンクロしていますね。
【ネタバレ/伏線回収班】
★ここに注目★
・愛ちゃんの持ち物が池に。
・蛍「ほっぺにキスは甘かったかなぁ」
・登校日の朝、勇は翼の席に座っている。翼の姿はない。
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