『カカオ79％』27.5：Valuable【あらすじ＆感想】

カカオ79%

2018.06.12 2017.11.30

web漫画/カカオ79％【あらすじ＆感想27.5話】～残り21％の甘さ～

ただいま、と浴衣姿の翼が花火大会から帰ってきた。翼パパが、娘の浴衣姿をほめ、記念に2ショットで写メを撮って、兄に送信、兄からは即高評価のスタンプが返ってきた。

父や兄の反応を見ながら、翼は少し照れながらも、勇のことを考える。きっと勇も普通にほめてくれただけなのに、不意を突かれたから驚いただけ、と。

あのあと勇は、翼をみんなのところへ送り、そして先に帰ってしまったようだ。翼はちぎれたブレスレットを手に、見つめる。

翼の手を振り払ってしまった後だったので、翼は勇を引き止められなかった。

やつにとって私は　友達？　女？

そして、「友達にきまってんだろうぉぉぉぉ？」と叫んだ。

３月１４日（日曜日）のWHITEDAY、中学を少し前に卒業したその日、翼は風邪をこじらせていた。

この日は、勇の家族と翼で遊園地に行く予定だったが、翼が風邪で行けなくなり、そして勇も（翼の家族が留守にするので）看病のために翼宅に来ていた。

翼ママが作っておいてくれたお粥を温め、翼の部屋に持っていく。

寝ている翼の顔を眺めながら、
「…何弱ってるんだよ　早く起きろや」
翼はうつらうつらしながら、勇の気配を感じとっていた。

かすかに聞こえる　低く心地いい　聞きなれた声。額を撫でる大きく冷たい手。

誰…？パパ？兄ちゃん？家には…誰もいないはずなのに

幼いころの記憶が蘇る。翼は共働きの両親と歳の離れた兄が家にいる時間が短かったことで、一人きりの時間が多かった。寂しさは感じていなかったが、毎日自由に遊びまわっていた。

小１の頃、風邪気味なのに、母との約束を破って、家におらず夕方まで遊んでいたせいで、こじらせた。めったに風邪をひかない翼が風邪を引いたことで 家族全員大騒ぎして看病をしてくれた。

＊＊＊

翼が夢から覚めると、勇が、
「どう？具合は？」
固まる翼。

翼は勇が遊園地に行かなかったことを気にする。勇としては、別に行きたかったわけじゃないから気にするな、と言ってお粥を食べる準備をしてくれている。

勇が水を取りに部屋を出て行こうとすると、翼がゆう、と言った。

勇が振り返ると、翼が泣いている。勇はおどろいて翼にかけよる。どうした？具合悪い？辛い？
「ゆうえんち…行きたい…」
「は？」
聞けば、ホワイトデーイベントで翼が好きなアイドルのKYOICHIが、女性客にお花を配ってくれるのを楽しみにしていたらしい。

今からでも行きたがる翼を強制的に寝かせ、
「あぁ悪かったなあ、こんな日に俺なんかが一緒で！」
と言いながらも優しい言葉をかけ続ける勇に翼は慌ててすがる。
「それは違う…！ごめん…一緒に…いてくれて嬉しいよ。だから行か…ない…」
と言いながら熱のせいで布団に倒れ込む。

翼はそのままずっと眠り続けた。勇は眠っている翼を見つめていた。勇が握る翼の左腕にはブレスレットが光っていた。

「起きたらちゃんと気づけよ　ゴリラ」

翼は勇を男として意識し始めた、というよりは、勇が翼を女として見ている、ということを意識し始めたように思います。

両親や兄と、翼のやりとり、たとえ多忙でなかなか一緒にいられなくても、翼はきっと大切に育てられたのだということがよく分かります。翼の口は悪くても、優しい性格も、きっと、ルーツは家族だと思います。

ホワイトデーのお話は、とにかく勇が優しくて、何度も読んでしまいました。普段は元気な翼が、弱っているというのもなんかいいです。

カカオの配合が多めのチョコに対してのお返しのブレスレット。ゴリラに対しての贈り物を、ゴリラ宛にしていない、というのがまたいいですね。

目を覚まして、中学生の翼はブレスレットに気が付いてどんな反応をしたのでしょうか？

★ここに注目★
・ブレスレットは中３のホワイトデーに勇から贈られた
・ブレスレット自体を直接腕につけて渡している
・翼はアイドルのKYOICHIに会いたかった