web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想253話】~残り21%の甘さ~
253:雨とピアノの旋律(3)
翼は、モブ男が読み上げる愛ちゃんの日記の内容を聞いて、かつて、愛ちゃんが話していたことを思い出していた。
「私、一ノ瀬くんのことが好きなんだ。綾ちゃんはどう…?」
愛ちゃんは、翼が腕を怪我した時の病院で、勇に
「私だって綾野さんが好きだから…!!」
と叫んだ。しかし翼はそのことは知らない。
『どっちか奪ってしまえば』
『残されずに済むのかな』
「は……?どっちか…?って」
翼は困惑して、思わず反応してしまう。
「どう?読みたくなった?面白いんだよこれ」
モブ男は、左手の人差し指をこめかみのところでクルクル回した。
「あいつ結構クレイジーなんだから」
***
翼はモブ男のマンションを出た。雨が強く降っている。手には愛ちゃんの黄色いダイアリーを持っていた。放心状態だった。
『夏目愛が本気で一ノ瀬君を好きだと思ってた?』
『本当に名にも知らないのね』
モブ男はそう言った。翼はダイアリーを見つめて考える。
……これはどういうことだ?
愛ちゃんは勇のことが好きじゃなかったってこと?
一人残されるのが怖くて嘘ついたってこと…?
『どっちか』を悩んだあげくそれが勇になっただけで……
翼は理解に苦しむ。
いや、普通そこ悩むか?
普通に考えて勇だろう
私を奪うってどう奪うんだよ
女同士だぞ?
モブ男が言っていた。
『あいつ結構クレイジーなんだから』
ちょっと同意しちゃう…!
翼は改めて愛ちゃんのダイアリーを見つめた。
持たされてはしまったけど
呼んでいいものか
てか渡すだけなら学校でよかったんじゃないのかよ
翼はモブ男に苛立ちつつ、ダイアリーをカバンの中に仕舞った。そして水色の傘を広げて、マンションをあとにした。
勇のピアノの話をしたのが
いつだっけ
その後愛ちゃんが
本当に勇を好きになったかも知れないじゃない
あのオレンジヤロウ
わざと勘違いしそうなところを選んで
読み聞かせてくれたに違いない
あれもこれも全部
愛ちゃんに会いさえすれば
分かること
ありがとう凪君
おかげで迷いなんか
全部なくなったよ
今すぐにでも早く愛ちゃんに会いたくなった
***
翼が返った後、モブ男の須磨夫にメッセージが届いていた。
『今週末、忘れずに』
モブ男はそのメッセージを見ると、チッと大きく舌打ちをした。
***
雨と雷の中、翼は自宅に着いた。
「ただいま」
玄関を入ると、家の中はやけに静かに静まり帰っている。
「あれ天童さんいないのか」
すると外がピカッと光った。ガガガガガガガガ。翼は少し驚いて、窓越しに外の様子を伺う。
勇のやつ…大丈夫か?
勇がピアノを弾いてることを知ったのは
小学校5年生の時
そして雷を怖がる理由を知ったのは
中1の時だった
ガガガガガガガガガガガガガガガガガガ
雷の音が響く。勇は、椅子にうずくまって耳を塞いでいた。
「翼……」
ToBeContinued
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