『カカオ79%』248:執着(6)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想248話】~残り21%の甘さ~

248:執着(6)

 

 

「本当に大丈夫だったんですか?綾野さん」
放課後、1-B の教室で、翼は委員長と一緒に作業をしていた。委員長が勇とのことを心配して翼に言った。

「生徒会の仕事を手伝ってもらうのは助かりますが、あんなわざとらしく避けなくても…」

 

「大丈夫、私はまだ怒ってんだから」
翼が言った。

「天童さんは今日、バイト先へすぐ向かうって言ったし、帰り二人きりになるの嫌だし、それに帰ったら帰ったで夕食一緒の日だし、明日学校でまた隣の席だし」

 

 

委員長は聞いているだけでうんざりしてきた。
「そして帰ったらまた家も隣でずっとずっと…」
言いながら、翼の髪が怒りで逆立ってくる

 

 

「あ、綾野さん落ち着いて」
委員長がなだめる。
「気持ちは分かるけど、避けてばかりじゃ何も解決しないのでは…!」

 

 

「リナ先輩から逃げて教室で仕事してる委員長に言われたくナイね」
そう切り返されると、委員長は返す言葉がない。

 

 

 

「分かってるよ、このままずっと避ける気はない。あんなに嫌いだと言ってるのに、意地張ってまた先輩と仲良くするつもりもない。先輩だって距離置いてきてるし。どっちかを選ばないといけないなら私が優先するべきは勇だから」
翼は冷静言う。

ただ今回の件は確実に謝ってもらうまでは許さない。これがうやむやになってまた同じことを起こしてもらうわけにはいかないから、付き合ってるからって私の全てを縛られるつもりはない」

 

 

 

 

***

 

 

 

 

勇は一人、家までの道のりを歩く。神妙な顔をしていた。

 

 

あのヤンキー女め
すっかり翼の肩を持つようになっちゃって

 

勇は先ほど天童さんに言われたことを考えていた。

 

 

『でもそれ『恋心』じゃなくて『情』だよな』
『息苦しくなったら逃げるぞ』
『ちょうど今テメェから人との縁の切る方法覚えさせられてるところだし』

 

 

 

だからと言ってあれはちょっと言い過ぎじゃねぇのかよ
一時は俺とグルだったくせに

 

 

勇はいじけた気持ちになる。

 

 

…俺が間違っているのか?

翼の心を苦しめている?

 

執着男?

 

 

でもあんなうさんくさいやつをほっとく訳にもいかねぇだろう

 

勇の思考はアリザワ先輩の存在へとうつっていく。

 

 

でも翼は
あいつが
メールしてたアリスちゃんということを
全く知らない

 

 

2人のすれ違いのポイントはここだ。勇は、いっそ全部バラしたろうか…という思いに至る。

 

そんな時、中学の同窓生の橋本からメッセージが届き、スマホが震えた。

 

 

『よっ一ノ瀬、元気か?前に頼まれてた夏目さんのことについて調べてみたけど、何の手がかりもなくてな。ワリ―、何か分かったらまた連絡するぞ』

 

 

そのメッセージを見て、勇は、そういや夏目のこと何か知ってるやついるか中学の奴らに頼んでたっけ、と思い出す。

 

勇は中学の頃の夏目愛のことを思い浮かべる。

『本当にバカじゃねぇの?』
中学の頃、勇は愛ちゃんにむかってそう言った。

 

 

もし
夏目が
姿を晦ますぐらのショックを与えたのが
俺だと翼が知ったら

 

何があったのか
全てを知った後にも
あんな風に言ってもらえるだろうか

 

勇は以前、翼に、愛ちゃんがいなくなったのは俺のせいかもしれないと打ち明けたことがあった。その時翼は、勇の背中をポンポンと叩きながら、
「私の怪我は愛ちゃんのせいでも勇のせいでもないよ。何で皆勝手に責任感じるのかしら。今の『ごめん』は私じゃなくて愛ちゃんにしなさい」
と言った。

 

 

愛ちゃんが翼の怪我のあと、勇に発した言葉は、今でも勇の脳裏に焼き付いていた。

 

 

『知ってた?一ノ瀬君、『好き』っていう気持ちって全然綺麗でも美しくもないただの欲望の塊なのよ。あなたも気をつけた方がいいよ』

 

 

だから知ってるって

 

ああ分かった
俺が悪い
悪かった

 

勇は思う。

 

お前に嫌われるぐらいなら

死んだ方がマシだ

 

 

***

 

 

放課後、教室で委員長と生徒会の仕事をしていた翼にメッセージが届いた。仏頂面でスマホの画面を見る翼に委員長は
「もしかして一ノ瀬君から連絡ですか?」
と聞いた。

 

「話がしたいから帰ったら連絡くれって」
翼が伝える。委員長はホッとしたようだ。

 

「それは仲直りしたいってことかも知れませんね!仕事も大体片付いた感じだしもう帰りますか」

しかし委員長は不安になる。
「いやぁでもこんなに遅い時間まで僕と二人きりで仕事してたって知れたら、一ノ瀬君また怒ったりしませんかねえ…」

 

 

「はぁ?」
翼が言う。

「もし委員長にまで何か言ってきたらマジで潰すから」

 

 

「いや、もう喧嘩はやめてくださいね?」
でも大丈夫だと思う、委員長だし、と言う翼に、どういう意味ですか、それ、と委員長。

「わぁ、でも確かに結構暗くなったね」
翼が窓の外を眺めながら言う。

 

 

 

「行きましょう、家まで送りますよ」
「そんな!大丈夫だよ。まだ時間もそう遅くないし」
委員長の申し出に翼は恐縮した。

 

 

 

「いやいや仕事も手伝っていただいたし、綾野さん家は学校からそう遠くないから」

と言うわけで結局翼は、委員長に送ってもらうことになった。

 

 

「いやぁ、何か悪いなあ」
「最近運動不足だったのでいい運動になります。それに綾野さんと話すのは楽しいので…夕食の時間になってからも友達ともっと遊びたがる子供の気分がこんなんでしょうか。今も子供ですけどね。はははは」
委員長はなんだかテンションが高い。

 

 

委員長の言葉は、翼は素直に嬉しかった。

「えー何よ委員長、子供の時に友達と夜まで遊んだことないのー?」
「ないですね」
「えっ」

委員長と翼が肩を並べて歩き、翼の家の前まで来ると、勇がスマホ片手に翼の家の前で待っていた。

 

 

は?

 

 

勇があきらかに癇に障った表情になる。

 

 

なによ

 

 

翼も応戦する。

 

 

ToBeContinued

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

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