『カカオ79%』249:執着(7)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想249話】~残り21%の甘さ~

249:執着(7)

委員長が遅くなった翼を自宅まで送ると、勇が家の前で待っていた。二人並んで歩いて来た様子を見て、イラつく勇と、応戦しようとする翼の二人の間に不穏な空気が流れるのを委員長は察した。
「あ…そ、それじゃ僕はこれで…」
そそくさとお暇する。

「あ、うん、ありがとう委員長、また明日ね」
翼が言う。

委員長はペコっ勇に会釈、そして来た道を戻って行く。委員長は少しだけ振り返って、2人の様子を伺う。

これはちょっとまずかったかな…
綾野さん…一ノ瀬君…
どうか僕のために争わないで←合ってるけど何か違う

***

翼と勇の二人は家の後ろに場所を移した。

「…家に着いたら連絡するつもりだったのに。何も外で待たなくても」
翼が言う。

「…それが、仲直りしたくて待ってた人への言い方かよ」
勇が翼を睨みながら言う。
「その割には表情は全然穏やかじゃなかったがな」

「委員長と何してた?」
「別に生徒会の仕事手伝ってきただけだけど」

勇は手を自分の頭に持って行った。翼は直立不動で話す。
「お前さ…俺ら何が原因で喧嘩してんのか忘れてんじゃねぇだろうな」
「あんたがアリザワ先輩に犯した無礼のせいだな」

翼の言葉に勇の目つきが鋭くなる。翼も負けずににらみ返した。

会話不発

2人はそれぞれの家のドアをバンと開けて家に入った。

「あーもーバッカじゃないの?委員長にまであんな態度取る必要ある?!」
翼は制服のネクタイをほどきながら、大きな声で独り言を言う。

「委員長だって立派な男だろうが!仲直りするために待ってた人の前に男と二人で現れたらそりゃあ嫌に決まってんだろ!」

『なんでこっちの気持ちは分かってくれない?!』

それぞれの家で、2人は同時に叫んだ。翼の家では天童さんが、勇の家ではお風呂上がりの蛍が、うるさい、と呟いた。

勇は少し落ち着いて考え始める。

俺には翼に断られない『確信』があった
でも自分と同じくらいの気持ちを期待するほどの『自信』はなかった
だから『付き合ってもらえるだけ』だけで
十分嬉しかったはずなのに

少しずつ期待し始め
欲を出している自分がいる

ちゃんと付いてきてもらえてるって
俺は一人舞い上がって
自惚れていたのかもしれない

でももし天童の言った通り
翼の性格上、俺を失うことに怯えているだけで

翼の気持ちが『恋』じゃなく
本当にただの『情』なだけなら
俺は
どうすればいいんだ

勇は奥歯を?み締めた。

くそ、謝るつもりが…

***

翌日は雨だった。勇が一人、学校に着くと、委員長が待ち構えていた。
「おはようございます、一ノ瀬君」
「委員長、おはよう」

会話の次が続かず、しーんと気まずい空気が流れた。
「あー、その昨日は…」
勇が言いかけると
「昨日はすみませんでした!」
委員長が先に謝ってきた。
「あ?」

「私が空気を読めなかったせいで一ノ瀬君の気分を悪くさせたと思います。本当にすみませんでした」
「いや…」
勇は委員長の勢いに圧倒される。

「時間も遅くなっていたし、仕事を手伝っていただいたお礼として私が勝手に綾野さんを送らせていただいただけです。誤解はしないでください」

委員長は必死だ。
「私にとって綾野さんはただの友達!異性としての感情は微塵もありません!決してありません!私はどっちかって言うと小柄で可愛い系の女子が好きなんです!綾野さんは絶対ありえない!」

勇は複雑な気持ちになっていた。

ここまで否定されると
これはこれで
なんだかな…
十分可愛いだろうが

「大事な友人に幸せになってもらうためにも私はお二人を応援する派です。綾野さんの周りにいる『男』ではなく『味方』として見ていただけないでしょうか」
委員長が言う。

それでも嫌だ

どうして俺以外の味方が必要なんだ?
…と正直に言ってしまいたい

でも
『委員長もアリザワ先輩も私の大事な友達なんだ!』
『あんたのせいでこれ以上私が友達を失うことになってしまったら、私はあんたのその気持ちに純粋に喜べないで失望するかもしれない』

昨日翼が言った言葉だ。

委員長にまで強い言い方をしてしまったら
お終いな気がするし…

「…委員長が女になっちまえば簡単な話なのに」
勇が言った。
「ちょっと何ってんのか意味が分かりません」
委員長が言う。
「あなた女子相手でもヤキモチ妬いたりしますよね」
委員長の的確な指摘に、勇は素直に
「…うん」
と頷いた。

最初から
俺には勝てない争いだったんだ

『…俺は大事じゃねぇのかよ』
と言った勇に対して翼は
『バッカじゃないの?!一番大事に決まってる!』
と言った。

一番ね…

『俺はお前だけが大事なのに』
『お前もそうならいいのに』

そう言い返していたら
また引いた顔してたかな、あいつは

これが気持ちの差ではなく
性格の差だということを
この時俺はまだ知らなかった

知ってたなら
俺はこの幸せなひと時を
もっと味わえたと思う

***

教室で、席に座っている翼にモブ男が近づいて来た。コンコンと机をたたいたあと、
「土曜日用事が出来てさ、今日学校の後でも大丈夫?」
と翼に話しかけた。

ToBeContinued

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