『カカオ79%』241:悪化(2)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想241話】~残り21%の甘さ~

241:悪化(2)

 

 

モブ男は、中学の頃、自分がかつて愛ちゃんに投げかけた言葉を思い出す。

 

『へぇ、俺の新しい苗字覚えてくれてたんだ』
『気に入ってるんだ、その名前』

 

 

***

 

 

 

目の前の勇が、モブ男に単刀直入に問う。
「お前、夏目愛ってやつ知ってるか
勇はモブ男に単刀直入に問う。モブ男は少しほほえみ、目は見開かれたまま笑わず、勇を見た。勇も、冷たい視線でモブ男を見ていた。

 

「二人って本当にちゃんと付き合ってんの?
勇のモブ男は質問には答えずに、逆に質問をする。
「…は?」
勇は不意を突かれる。

 

 

「全然会話してないのね、それとももう全部なかったことにしたいのかね、彼女は」

モブ男はベンチから立ち上がって歩き出す。

 

 

「!待て、それどういう…」
勇はモブ男の言葉の意味が分からない。その時、丁度、モブ男のスマホのヴァイブレーションが鳴った。

 

モブ男がスマホの画面を確認すると、翼から
『愛ちゃんに会わせて』
というメッセージが届いていた。

 

 

「ふむ?」
スマホに注意を向けるモブ男に勇は慌てて言う。
「おい、話の途中…」

 

「あ!ごめん〜何だっけ?夏目…何さん?のことは知らないや。苗字が被ったから何か勘違いしたのかな」

 

モブ男にしらばっくれられて、勇は言葉が見つからない。
「話はそれだけ?俺もう行ってもいい?」
勇はそれ以上何も言うことができず、
「あ、ああ…いいよ…」
と言った。

 

 

 

 

引き止める口実がなかったのだ。
「じゃーねー」
そう言ってモブ男はその場をあとにした。振り返って、勇の様子を確認する。勇は、手を首に回して、手詰まり、といった表情をしていた。

 

 

 

一人で全部背負っちゃうつもりなのか…

 

なら最後まで一人で耐えてみるといいよ

 

なるほどね

綾野翼

 

 

***

 

 

 

翼は教室で、仏頂面でスマホの画面を眺めていた。

 

クッソ、やつとメッセージのやりとりなんかしたくなかったのに

 

 

 

そんな中、1−Bの教室に、ものすごい速さで廊下を走り飛び込んでくる足音が響いた。

 

タッタタタタタタタタタタタタタタッ

 

 

「綾野さん!」
翼が振り返ると、そこには汗だくの橘くんがいた。

「橘くん、どうしたの?そんな息切らして…勇ならおそらく売店…」
言いかけた翼の方を橘くんがの手が掴んだ。

 

「綾野さん」
橘くんの勢いに驚いて、翼は思わず、自分の肩を掴む橘くんの手に目をやる。
「綾野選手、帰国するんだって?」
橘くんの目が、キラキラに輝いていた。

 

翼は、その件は昨日の帰りに、蛍から聞いた。
「翼ちゃん、空ちゃん帰ってくるんだって?」

 

翼はキスをしたあとで、心が乱れたまま家に帰る途中の時だった。

「見て見て、記事になってんの、今回の大会で準々決勝まで残ったんだからいつもより騒ぎになってるし、前回みたいにドッキリで登場するのは無理ね。フフフ」

 

蛍が翼に、スマホの記事の画面を見せながら言う。

「勇にぃと翼ちゃんが付き合ってんの知ったら、どんな反応するんだろうね」

 

蛍の言葉に、翼は口を開けたままフリーズする。

 

***

 

 

 

 

そういえばそうだっけ

 

翼は、橘くんと話しながら、昨日の蛍とのやりとりを思い出していた。

「それでさーもし綾野選手が忙しくなかったら…そして迷惑じゃなかったら…もう一度会わせてはもらえないかな…」
橘くんのキラキラした瞳に、翼は若干引きながら、
「いいよ、暇な時間聞いてみるわ。でもまだ帰国日がいつになるかわからないから…」
と答える。

 

「へぇ、帰国日が決まってないのに先に記事が出たのか」
橘くんが言う。

 

「いや。日時は多分決まってるんだろうけど、そういった連絡はあんまりしてこないのよ。何ていうかテニスや大会…というか兄ちゃんに関しては、家の家族って私に話すの少し遠慮してるっていうか…」

翼の説明に橘くんは、キラキラした瞳から一転、落ち込む。

 

「ごめん…俺…無神経だったね」
翼は慌てて否定した。

「いやいやいや、私はそこまで気にしてないのよ?!もう全然気にしてないから!!兄ちゃんに必ず時間作ってもらうから…!」

翼は取り繕いながらも、

 

べ、別の話を
別の話を…!!

 

 

と焦っていた。そこに、通りかかるアリザワ先輩が目に入る。
「あ、アリザワ先輩!」

 

アリザワ先輩が翼と橘くんに気がつく。翼は左手を上げて、ここ、ここ!と手を振っていた。

 

アリザワ先輩は、少し間を置いて、Hi〜と手を振った。そしてそのまま通り過ぎて行ってしまった。

「あれ?行っちゃった。いつものように『おう大魔王!』とか言うのかなと思ったのに」
翼は不思議がる。

 

「周りに友達がいるからじゃないのかな?」
橘くんが言う。
「なるほど?」

 

 

そこに、昼休みの終わりを告げる予鈴が鳴った。
「とにかく兄ちゃんのことは任せて!必ず会わせてやるから」
「ありがとう、綾野さん」

翼は内心、よかった、ちょうど鐘がなってくれて、と、ホッとしていた。

 

 

 

兄ちゃんのことはあとで考えるとして

まずは

 

 

翼は、スマホの画面を見る。モブ男とのメッセージのやりとり。

 

『愛ちゃんに会わせて』

と送った翼に、モブ男からの返信があった。

 

『今週の土曜日、午後2時、学校の前で』

 

今週末…

 

 

そしてメッセージの差出人の表示欄に『夏目』と出ているのを見て、

 

あれ?こいつの名前も『夏目』だったっけ

 

 

翼は考える。

同じ頃、モブ男もスマホの画面を眺めていた。

 

ToBeContinued

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

準備中

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