『カカオ79%』242:悪化(3)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想242話】~残り21%の甘さ~

242:悪化(3)

 

「おはよ〜」
「おはよう」

 

勇と翼は並んで登校、教室に入る。クラスメイトと談笑するモブ男が、翼の目に入る。翼の横に居た勇も、モブ男の姿を注視する。

 

モブ男と約束した愛ちゃんに会わせてもらえる日まであと数日。いつもと変わらない毎日を過ごしていた。

 

 

***

 

 

今週の土曜日さ
不意にピンポイントでその日について話しかけられて、翼はビクッとする。

 

掃除当番で、ゴミ箱を抱えてゴミを捨てに行く翼と、ゴミ捨てについてきただけの天堂さんが校内を並んで歩いていた。

 

「今週の土曜日さ、私、一日中バイト入れてるから、デートとか行けばどうよ」
天童さんが言う。
「そ、そっか」
と、言いながら、翼はドキドキしていた。

 

 

ビ、ビビッた
バレたかと…

 

いや、別に天堂さんには全部話してあるしむしろ言っていいんじゃない?

 

 

翼は心の中で考えながらも、モブ男との約束の件は伝えなかった。
「でもその日は私も別の用事があって…」
「なるほど。映画の割引チケットを手に入れたからあげようと思って。その日限定だ」

「あっ」
天童さんの説明に、何故 天童さんが『今週の土曜日』をピンポイントで出してきたかが判って、 翼はホッとする。

 

 

 

「私はどうせ行けないからあげる。使えそうな人に譲れば」
翼は
「勿体ない」
と言いながら、チケットを受け取った。

 

 

今日は音楽室の掃除当番だ。翼は空のゴミ箱とチケットを持って音楽室に入って行く。
「誰にあげようかな」
天童さんは、翼の掃除が終わるのを廊下で待っている。

 

 

「お帰り、綾野さん」
「ゴミ捨てありがとう」
同じ掃除当番の班の子たちが出迎える。翼は、音楽室の掃除の続きにとりかかるべく、モップを手にした。

 

 

 

「おってんどっちーこんなところで何してんの?」
「アリザワ」
廊下では、天童さんが、階段を登ってくるアリザワ先輩と遭遇していた。

 

 

「掃除終わるの待ってる」
天童さんは、音楽室の中にいる翼のことを指さした。

 

 

 

「アリザワ先輩」
翼もアリザワ先輩に気がつく。翼はファイルを手にしているアリザワ先輩を見て
「また生徒会の仕事手伝わされてるんですか?あの人達はまた人のことこき使って…」
と言う。

 

 

 

「え?あ、うん」
アリザワ先輩は生返事をした後、
「おっと、俺急がねば、じゃー」
と腕時計を確認して、行ってしまった。

 

 

 

 

「やっぱ…何か変だ」
残された翼は、呟くように言う。
「?何がだ?」
天童さんが、聞き返す。

 

「いつもなら『大魔王!』ってめっちゃ絡んでくるはずなのに、あっさりしてるって言うか、なーんか素っ気ないと言うか…」

「確かに」

 

 

 

天童さんはそう答えながら、自分が遊園地でアリザワ先輩へ投げかけた質問のことを思い出す。
「あんた、あいつのこと好きなわけ?」

単刀直入に、アリザワ先輩に翼のことが好きかどうかを聞いた。

 

 

「あちゃー、てんどっちーにまでそうみえちゃうかぁ」
アリザワ先輩は、質問には直接答えずに、そう言った。結局返事は聞けなかった。

 

 

 

「…大人になったんじゃない?」
学校の廊下で、アリザワ先輩の背中を見送りがら、天童さんが言う。
「?ああ見えても私達より年上だよ」
翼は、天童さんの言葉の真意がよくわからない。

 

 

 

そこに、ピアノの音で、キラキラ星が聞こえてきた。翼と同じ掃除当番の班の子が、遊びで弾き始めたのだ。
「あ!これキラキラ星だ」
翼が言う。

 

 

「あれ?この次どうだっけ?」
弾いていた子が分からなくなって演奏を中断する。

 

 

「私知ってるよ」
そう言って翼はスーッとピアノに手を伸ばして、キラキラ星の続きを弾き始めた。

「わあ、綾野さんピアノ弾けるの?」
「スゴイ!」
周りにいた子たちが、翼のことを褒めてくれる。
「あ、いや、私もこれ以上は…」

 

 

「へぇ、ゴリラ芸のひとつ…」
天童さんが会話に入ってきた。
「ゴリラ言うな」
翼は言い返す。

 

 

翼以外の周りの子たちは、天童さんが会話に入ってきたことに対して驚いていた。

「昔、勇にちょっとだけ教えてもらったんだ」
翼が言う。
「あいつ弾けるの?」
天童さんが意外そうに聞き返す。
「めっちゃ弾ける」

翼たちが話していると、勇がコンコンと開いているドアをノックしてきた。

 

 

 

「まだ?」
「すまん、もうすぐで終わるから!」
翼が慌てて言う。

 

 

 

音楽室の入り口で、勇と翼と天童さんの3人が話している様子を見て、掃除当番の他の3人は、勇がどっちと付き合ってんのか聞いてみたい、と思っていた。それとも本当にどっちとも付き合ってない?

 

 

 

***

 

 

 

「言・う・なー」
翼と勇と天童さんの3人で並んで下校し始めると、勇が怒ったように言った。
「…すみません」
やっぱ聞いてたんかい、と翼は呟きながらも、視線はそらして謝る。

 

 

「知られてマズいことなのか?」
天童さんが不思議そうに聞く。
「照れてるだけ」
翼は小声で天童さんに言うが、3人が勇を真ん中にして並んで歩いていたので
「聞こえてんぞ」
と、また注意されてしまった。

 

 

 

「あれ?またアリザワ先輩だ、何か忙しそー」
遠目にアリザワ先輩の姿を見つけて翼が言う。

 

そういえば、と翼が遊園地での観覧車での出来事を思いだす。

あの時、色々あって、勇はアリザワ先輩と二人で観覧車に乗った。

 

「ねぇ、あんたアリザワ先輩と何かあったの?
翼が勇に聞く。勇は翼の方を見た。

 

あの日、アリザワ先輩が勇を引っ張って、2人で観覧車に乗ってしまったこと、その結果、翼とモブ男が二人で次の観覧車に乗ることになってしまったことを勇が怒った時、アリザワ先輩は、
「でも間違って大魔王の手を引っ張るよりは良かったんじゃねぇか?」
と勇に言った。勇はものすごい形相でアリザワ先輩を睨んだ。

 

 

 

「はぁ?」

 

 

 

 

 

ToBeContinued

 

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