『カカオ79%』169:迷子(7)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想169話】~残り21%の甘さ~

「なーるほど、ここが天童ん家なのね」
天童さんのアパートの前で、橘君はいつも通りの笑顔で手を振った。
「じゃ俺は帰るね、おやすみ」
天童さんはうつむいたまま答えない。

重い足取りでカンカンカンカンとアパートの階段を上る。が、途中で口に手をやった。

ウヴ
ちょっと食べすぎて気持ち悪りぃ

今日一日、何がどうなってああなったんだっけ

橘君の家の中はものすごかった。お手伝いさんもいた。出された夕食の鍋も豪華だった。いい肉だった。

信じらんねぇ
あんな絵に描いたようなマジなお金持ち初めて見た
何のつもりで私をつれてきたんだ橘は?

見せつけか?
やっぱり同情か?!
同情するなら金をくれ!!

天童さんは結局鍋をご馳走になったのだ。キイーという金属音を立てて、アパートの部屋に入る。

金持ってるやつらはみんなああなのか?
可哀そうなやつだと思ったら構わずにはいられねぇのか?

小学4年生の頃の、ミドリの泣いた顔が思い出された。

クッソ…橘のせいで思い出しちゃったじゃねぇかよ

でも怒って声を上げてたのは意外

先ほどの、橘君の家の前で話したことも思い出す。

考えてみれば
橘は優しかったけど
どこか線を引いてそれ以上は近づかないようにしていた気がする

私にだけじゃなく
周りの皆に対しても

なのに今更また絡んでくるなんてどういうつもりで…!

いや
やっぱり
知りたくない

どうせもう関わることのない人間だ
もし次また声をかけてきやがったら
今度はブン殴ってやる

***

そう思っていると
会わないもんだな

天童さんは平日の昼間から、ヤンキー仲間とファミレスにいた。くだらない話を聞き流しながら、飲み終わったジュースのストローを咥えていた。

いや
別に会いたいとか
そういわけじゃねぇけど…

天童さんは橘君のことを考えていた。

「おい天童、見ろよ向こうのやつ」
ヤンキー仲間が話しかけてくる。
「あたしら来た時からずっっっと寝てんだけど」
「今人も少ねえし」
「いけるんじゃね?」
と小声で示された視線の先には、席で眠りこけたおじさんと、その横に無防備に置かれたカバンがあった。

***

天童さんはお店をでて歩いていた。

残されたヤンキー仲間が天童について話していた。
「チッ、天童のやつノリ悪いな」
「先に帰るとかつまんないのー」
「最近ずっとあんなだしマジつまんね」

天童さんは、散っていく桜の花びらの中を歩いていた。

いつもなら迷わずヤッてたはずなのに
何故か思い出してしまう

小学4年生の頃、ミツウラに濡れ衣を着せられて指をさされたこと。
クラス中の視線が、疑いの目で自分の方を向いていたこと。

…これも全部橘のせいだろうが
やっぱ次会ったら殴ろう

目を閉じると、あの時の自分と
自分と同じだったであろうクズな親のことが浮かんでくる

気分が悪い

天童さんは、ふと駅の改札が目に留まった。電車に乗る。
ガタンガタンガタン。

どこでもいいから遠いところへ行きたい
そう思ってあてもなく
結構な時間を電車に乗ってた

現在午前11時。セーラー服の天童さんを、一緒に電車に乗り合わせたおばさんが、遠巻きにちらっと見た。

まぁこんな時間に学校サボって電車でぼーっとしてるとか
情けないとでも思われてんだろう

何度か乗り換えをして
適当なところで降りたら
案の定、迷子になった

「…どこだここ」

これ絶対家に帰れないやつだ

とりあえず歩こう
地球は丸いからいつか家にたどり着く

風…気持ちいい
町ごとに空気が違うんだろうか
別に帰れなくてもいいかも

生まれ変わった気すらしてきた

いっそ
死んで
生まれ変わったら
もっといい気分になれるかもしれない

天童さんがそんなことを考えている時だった。
「きゃー、だ、誰か…!助け…」
悲鳴が聞こえた。声をした方を覗くと、路地裏でカツアゲが行われているところに遭遇した。

「お前隣町の超金持ちの女子校生だろ?」
「いいから財布出せっつーの」
「もういいからカバンよこしな?めんどくせーなもう」

天童さんは陰から覗いていたが

この街担当の方なんですね、ご苦労様です
邪魔はしないように…

と同業者への配慮をのぞかせて、その場を立ち去ろうとした。

まあどこでも同じようなやつらがいるもんだな
何か急にここも気分悪い空気してきたようなー

「どれどれ今日の財布ちゃんの名前見てみよーかな?姫川ミドリちゃん?」

その名前を聞いて、立ち去ろうとしてた天童さんの足が止まる。血の気が引いていく気がした。振り返ると、中学生になったミドリが、そこにいた。

***

天童さんは息を切らしていた。左手にはレンガのブロックをもって、カツアゲされているミドリの前に立っていた。
「て…天童さん?」
ミドリは驚いた顔をしていた。

いつか迷わずに
生きていける日が
来るのかな

ToBeContinid

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

天童さんは、やっぱり、あのおじいちゃんと橘君に逆らうことは出来ずに、ちゃんと夕飯をご馳走になったのですね。しかもお腹いっぱい(笑)

天童さんは、橘君が自分に対して診察に接してくる理由をとても気にしていますね。それは、小学生の時に、ミドリは自分のことを可哀想だと思っていたから優しくしていた、ミツウラは利用できる時に返してもらうために貸しを作った(必ずしもそうではなくて、小心者の彼は切羽詰まって結果的にそうなってしまったのかもしれないが)と天童さんは思っていて、そういう打算を警戒しているのでしょうか。

でも天童さんの心のどこかに、橘君だけは違うんじゃないかと信じている部分があって、そうでなかったら、天童さん自身がきっとショックを受けると思うと、本当のところは知りたくないのかな、と思うと、もともと純粋な天童さんは、ヤンキーになっても純粋な部分は残っていて、一生懸命覆い隠してるんだと思いました。

だからこそ、再会した橘君に影響されて過去のこともいろいろ思い出してしまっていますし、ヤンキー仲間からも様子がおかしいと思われているみたいですし。

さて、橘君だけじゃなくて、ミドリとも再会しちゃいました。

最後の3行、『いつか迷わずに生きていける日が来るのかな』はどういう意味なのでしょうか。

ミドリを助けることを迷ったのでしょうか。でも、手段はどうあれ、レンガを手にしていますし、助けることにしたようですよね???

とりあえず、怪我とかしないでね。。。って、天童さんだから余計な心配かな。。。

カカオ79%【ネタバレ/伏線回収班】

準備中

 

 

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