『カカオ79%』170:迷子(8)【あらすじ&感想】

スポンサーリンク
カカオ79% カカオ79%
スポンサーリンク

web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想170話】~残り21%の甘さ~

「それじゃまたー」
橘君がテニス仲間に挨拶をして岐路に着こうとすると、路地裏から逃げるようにして不良たちが出てきた。
「マジで頭おかしいって…」
その様子を見ていた橘君の頭の上には、『?』が浮かんだ。

***

「ねえ姫様、早く財布よこしなよ、声出しても誰も来ねえし」
「もらうもんさえもらえれば帰してやるから」
不良たちは、視線に気が付いて振り返った。路地の入口に、天童さんが立っていて、不良たちの方を見ていた。

「……何だ?テメエ何見てんだ?テメェも財布の寄付がしてぇのか?」
「今のうちに逃げた方がいいよ?この子の次じゃあたしらあんたの財布で満足できないかもしれないし」
「確かに(笑)」
不良たちは天童さんに言うが、天童さんは微動だにしなかった。

「まさか正義のヒーローみたいなマネしたいんじゃねぇだろ…」
不良の一人がそう言いかけた時だった。シューと、その不良の顔のすぐ横を何かが通り、トリゴッと音を立てて後ろに落ちた。不良は固まった。
「……え、今の…レンガ…」
「ねえその子私に譲ってよ、そうしたらお前らは大人しく帰してやるから」
天童さんが、二つ目のレンガのブロックを手に持ったまま言った。
「は?」
不良たちが言い返す。

そこから肉弾戦になったが、レンガのブロックを手に持った天童さんを後にして、不良たちは逃げて行った。息を切らす天童さんに、座り込んだままのミドリが声をかける。
「………て、天童…さん?」
天童さんは、体の向きをかえてミドリにスーと近づいた。ミドリはビクッとなる。

不良が出てきた路地の入口に、通りかかった橘君が近づいてきて路地を覗いた。
「た・す・け・て、さっきみたいにそう言わないの?私はあいつらと同じ部類の人間だよ、お前の知っての通り」
ミドリは真っすぐに天童さんのことをみていた。
「まさか助けてやったと思ってるわけじゃないよね」

「天童?」
そこへ、橘君が後ろから話しかけた。天童さんの動きが止まった。

…と姫川…?!

ミドリの顔を見て、橘君は小学校の時のクラスメイトの姫川緑にも気がつた。ミドリも橘君に気が付いた。
「どうした?何か言いなよ。どう?昔同情してたやつに同情されたあげく、たかられそうになった気持ちは?」
天童さんは橘君に構わず続けた。

ミドリは、スーっと自分の財布を天童さんに差し出した。
「あなたも私の財布が欲しいのならあげるわ、そしてよく考えてみなさい、本当に可哀想なのは私とあなたどっちなのか。さっきの人たちにもそして今のあなたにも同情するわ」
天童さんはその言葉を聞いて、一瞬固まったのち、拳を握りしめた。しかし、握りしめた拳の腕を、橘君がとっさに掴んだ。
「天童帰ろ、送るから、ごめん姫川さん」
ミドリを残して、天童さんは橘君に引っ張られていった。

***

帰りの電車、橘君は天童さんに何も聞かずに自分の話をした。
「あ、俺があの街にいた理由はな、テニス仲間とそこのコートでよく練習しててー」
天童さんは、何も答えなかった。橘君に促されて、電車を降りる。

今の私に
なめてかかってくるやつは
あんまりいなかった

なのに

「同情するわ」
というミドリの言葉。

あいつも
そして
こいつも

「着いたよ、よかった、天童の家知っといて」
天童さんの自宅のアパートの前で橘君が言った。

ここからもっと強くならないといけないのか?

そう思いながら自分の家のドアを見ると、家のドアが少し開いていることに気が付いた。カンカンカンカン、とアパートの階段を駆け上がる。
「えっ、天童?どうした?」
橘君が驚いていた。

ガタンと音を立てて扉を開ける。

服と物が少しだけ減っている

「……てん…」
後ろから着いてきていた橘君が声をかける。
「雫ちゃん?帰ってきてるの?」
その橘君の後ろから、初老の女性が声をかけた。
「!大家の…」

どうやらアパートの大家さんらしい。
「両親から話聞いてる?この家の契約、今月までにしてもらことになったのよ
大家さんは言った。
「は…?」
無表情のまま天童さんは聞き返す。
「家…片づけてもらわないと…」

一瞬で状況が理解できた
いつかはこうなるんじゃないかとずっと思っていたんだ
私は

捨てられたんだ

ToBeContinid

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

橘君やらミドリと再会して、これからもっと強くならないといけないのか、と思った天童さんのこれまでの人生、どうあっても強くならざるを得なかったんだろうと思うと、いたたまれません。

ミドリの可哀想発言は、橘君の姿を確認して、自分の身の安全を確認した上での発言で、そのあたり、ミドリのしたたかさが垣間見えるわけですが、橘君が駆けつけなかったら、ミドリはヤンキーになった天童さんに対して、そこまで強気に出てはいなかったと思います。

それにしても、橘君、本当にいいタイミングで偶然通りかかりましたね。しかも、自宅から結構離れた別の街の路地裏で(笑)

高校生の天童さんも、今のアパートに住んでいましたね。翼と橘君と天童さんのアパートで雨宿りした時に、同じアパートでしたし、橘君が中学の頃から一人暮らしと翼に説明していた場面もありましたし、追い出されずに済んだってことですよね。

追い出されそうになっている今日、居合わせた橘君がなんとか話しをつけて助けたのでしょうか???でも橘君もまだ中学生。。。

今月の分と言って橘君に封筒を渡す場面もありましたし、おそらく橘家が賃貸契約を継続して、天童さんはアルバイトして家賃を払ってるのでしょうか。

これから、天童さんと橘君が、中学生になって再会してから、偶然会うことしか出来ない、という関係から、それ以上の、幼馴染と呼べる関係になっていくのでしょう。

カカオ79%【ネタバレ/伏線回収班】

準備中

 

 

カカオ79%【次の話し】

『カカオ79%』171:迷子(9)【あらすじ&感想】
web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想171話】~残り21%の甘さ~ 橘君は大家さんの横で立ち尽くして茫然としていた。 「じゃ、じゃあ私は伝えたから…」 大家さんは気まずそうに帰って行った。天童さんもまた、ゴミが散乱した...

カカオ79%【前の話し】

『カカオ79%』169:迷子(7)【あらすじ&感想】
web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想169話】~残り21%の甘さ~ 「なーるほど、ここが天童ん家なのね」 天童さんのアパートの前で、橘君はいつも通りの笑顔で手を振った。 「じゃ俺は帰るね、おやすみ」 天童さんはうつむ...

コメント