『カカオ79％』118:地固まれ(お願い頼む)【あらすじ＆感想】

web漫画/カカオ79％【あらすじ＆感想118話】～残り21％の甘さ～
118:地固まれ(お願い頼む)

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118:地固まれ(お願い頼む)

【あらすじ】

勇が翼の後ろ姿を見ながら、今までのことを思い出していた。

＊＊＊

文化祭の準備中に、女子に囲まれながらも、視線を感じて、ふと見上げると、 二階の校舎の廊下を翼が 駆けていくところだった。

劇の練習中にふと翼のほうに視線を向けると、 翼は委員長たちと楽しそうに 話をしていた。

告白しようとしていた翼と 2人きりになるも、 気まずい会話のまま クラスメートに呼ばれてしまう。

「つ、付き合おう!!」
ファイティングポーズをとりながら翼が言った。

すがりついてるだけなんだ

子供みたいに

そう思って
「なんで?」
と聞き返した

なんでこうなったっけ

夏休みにキスをしたり、登校日に無理をさせたり、そして、付き合おうといった翼。

「俺のことが好きだから断り切れないんだよ、あいつは。それが異性としての好きかどうかは差し置いてな」
勇はかつて天童さんにそう説明していた。

あ、俺がこうさせたっけ

こうなって欲しいと

ずっと

こうだけはなって欲しくないと

ずっと

ずっと
ずっと

ハンバーガーショップの外で、大好きと言った翼

自分の胸に抱きついてきた翼

＊＊＊

玄関で振り返った翼の笑顔は、ゴリラのようなぎこちなさだった。
「お、おは…よ」

その精一杯の笑顔見た勇は、思わず吹き出してしまう。

ずっとずっとずっと思ってたんだ

翼は勇をリビングに通すと、キッチンで深呼吸した。

平常心。

コーヒーを淹れて、リビングにいる勇の前に置く。

「ソノ様子じゃ、マダ風邪は治ってナイミタイダネぅ！」
調節を失敗した。ぎこちない笑顔と喋り方になってしまう。

「キョウハお家で休むんデショウ？ 　ワタシハ見ての通りもう元気でね! 　学校行こうと思ってね! 　ッテコトデ部屋で用意してくるから! 　ドウゾくつろいで!」

そう言って翼はダダダダダダダダダとリビングを飛び出していってしまった。
と思ったら、また同じように走って戻ってきて、勇の前に座った。

翼は勇の前で、冷や汗をかきながら座ると、目をつむり、歯を食いしばって心の中の自分に言い聞かせた。

馬鹿野郎!!ここで逃げてどうするんのよ!! 恥ずかしいけど!

こんなに早く出くわすと思ってなかったから、まだ心の準備何かできてないけど…!!ぶっちゃけこいつも私位に恥ずかしいと思うから! こいつは泣きよったから! 泣いたから…!

逃げてばかりの私のせいであんなにも泣いたんだから

しっかりしろよ私

愛されたければその分努力をするんだよ

言葉だけじゃなくてちゃんと

そんな翼に勇が近づいてきた。すーっと手を伸ばして首に触れるから、翼はドキンとする。

正座をして向かい合わせに座る2人。

カチカチのいい姿勢の翼と、咳をケホケホしながらの勇。

勇は、自分の部屋に翼が置いていった制服のネクタイを翼の首に巻いた。

「急に襲ったりしないからそんなに緊張しなくていいよ。いやどっちかって言うと、昨日襲われたのはこっちの方だから…」
翼は途端に顔が赤くなる。
「その節に関しては誠に申し訳ございませんでございまして…!!」
「だから謝るなって言ってるじゃん」
と言いながら、ぺちぺちとき勇はネクタイの先翼の顔を叩いた。

「人が謝る時って相手の気を悪くさせた時だろうが。だから謝らなくていい、つか謝るな」
翼はじっと勇の顔を見つめた。
「………ちゃんと理解した?」
「は?!ははい!」
「嬉しかったってことだろうが!!」
「はい…!」
「したくてやったのか、試しでやったのか、熱で気が狂ってやったのか分かんないけど、俺は…!」

勇は、そこまで言うと、真横を向いて、顔を赤くした。

手は震えていた。

あーこういう時に言うのかな

愛おしいって

翼は、そんな勇の頰に、チュッとキスをする。勇は放心していた。

翼は、ぎゅっとネクタイを締めて、立ち上がった。

「今のはやりたくてやった。帰ったらあんたの家寄るからおとなしく寝てろや! 話の続きはそんときに!ちゃんと起きて待ってろ!いや寝てろ！」
翼は顔が赤い。
「泣くんじゃねーぞ!」
の翼の言葉に
「な?!」
と勇は言葉にならない声を出した。

晴れた空の下を走って破裂しそうな心臓の音をごまかす

私ね、もしかしたら

本当はずいぶん昔から

あんたのことが好きだったのかもしれない

と伝えたら今度は笑ってくれるかな