web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想57話】~残り21%の甘さ~
61:そして再び夏休みへ
【あらすじ】
教室からセーターを取ってきた勇は、チャイムの音に足を早めた。ブラジャーーが透けるほど、びしょ濡れの翼を廊下で待たせているからだ。
廊下で翼は、違うセーターを着ていた。
勇は無言で翼に近づいて圧迫する。翼は勇から、極力目をそらしながら、今着ているセーターが通りすがりの先輩に投げつけられたこと、チャイムが鳴ってみんなが出てくるから、手元にあったやつを急いで着ちゃったと弁解した。
勇は黙って、自分の紺色のセーターを翼に合わせて、両袖をぎゅっと頭の上で結んだ。
***
保健室。タオルで髪をふきながら、翼は勇の紺色のセーターと、先輩の白のセーターをベットに並べて考えていた。無言で自分のセーターを頭に結んできた勇の行動は、まさか無駄足させられて怒っているわけではない。
ヤキモチ?なんとなくそれがわかってきたから、また知らないふりをするわけにはいかない。
「私の勇なのに」
翼は先ほど自分が言ってしまった言葉を思い出す。そして慌てて、一緒じゃない、と自分に言い聞かせる。
「ふぁああああああ」
翼が奇声をあげる。保健室のベッドのカーテンを閉めて着替えていたのだ。カーテンの外で、保健の先生がお茶を飲んでいる。
「どうしたの?」
「なんか・・・居苦しいです」
「そうかい、青春だな。彼氏は外で待ってるよ」
気にもとめずに、保健の先生が言った。
「彼氏じゃないです・・・」
***
保健室の外では、勇が、壁に寄りかかって、翼のことを待っていた。
翼が悪いわけじゃない
この気持ちは俺の事情
翼には・・・関係ない・・・そう・・・悪いのはセーターの野郎
勇は自分に言い聞かせていた。翼にセーターを貸してくれた男は、翼の透けた下着を見ていることが気に入らないのだ。
「面倒臭い奴だな、俺って」
そこへ、着替えを終えた翼が保健室から出てきた。紺色の勇のセーターを着ている。翼は両腕を広げて見せた。
「ほら、借りる?」
勇が無反応だったので、くるんとひとまわりして、もう一度言う。
「借りる!」
そして、バシッと、無理矢理勇の向きを変え、
「よし、教室行こう」
と後から、勇の背中を押した。これでもういいってことにしてくださいよ、と勇の背中にひっつく翼。そんな翼の様子を見て、勇が吹き出してしまう。
「あーもう今日は本当完敗だよ。わかった、わかったから押すなゴリラ!」
「ゴリラ言うな!てかあんた体冷えてんじゃん!通りすがりの先輩のセーター着て」
「え」」
***
2人が教室に戻ると、文化祭の出し物が決まったようで、黒板に詳細が書いてあった。
演劇「ロミオとジュリエットとパリス」、そして、ジュリエットには一ノ瀬勇の名前が、ロミオには、田中薫、委員長の名前があった。
固まる勇と吹き出す翼。
その後の勇は、帰る時も帰った後も変な顔をしていた。
家に帰ってから、翼に橘君から電話があった。旅行の誘いだ。橘君のじいちゃんの旅館を貸し切りにするらしい。翼は「行く!」と即答した。
***
そして旅行の日。天気は快晴。浜辺で委員長が文化祭の劇の練習をしている。
「おおジュリエット、あなたは何故ジュリエットなのだ・・・いやそんな事はどうでもいいんだ、私が今欲しいのは、あなたの真実の愛の誓い・・・!あなたも私と同じ気持ちでしょ?!」
上半身裸の水着姿で顔を赤らめながら1人盛り上がる委員長。向かいには、半袖Tシャツに水着にウィッグのつもりでわかめを被った勇が、あぐらをかいている。
「知るかボケェェェ!!」
「なんで俺がジュリエット?!野郎と野郎のロミジュリを誰が見るのかああ!!」
「一ノ瀬くんが何でもやるって言ったじゃないですか」
少し離れたところで、翼が、女子の友達と体育座りをしながら、その様子を眺めていた。ごめん勇、すげーみたい、と思いながら、翼が笑いをこらえている。翼は大道具係だった。隣にいる女の子は、口を開けて笑っていた。
「だからってこれはねーだろ!?てか遊びできたんだから普通に遊べぇぇぇ!!」
海へ来た一行。勇が先叫んだところで To Be Continued
【感想】
今まで何度か保健室の場面がありましたけど、先生が出てきたのは初めてですね。結構好きです。勇が、自分のセーターを翼が着て、ちょっと照れた顔して教室へと押すシーンで、久しぶりに勇の笑顔が見れてほっとしました。
ずっと不機嫌そうな顔してたのに、たったそれだけのことで、とびきりの笑顔になってしまうので、翼パワーは偉大ですね。
勇と翼の距離が変わった夏休み。旅行でも何かあるのでしょうか?楽しみです。
【ネタバレ/伏線回収班】
★ここに注目★
・先輩のセーターは勇が着る
・橘くんのじいちゃんの旅館へ旅行
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