『カカオ79%』237:発展(2)【あらすじ&感想】

スポンサーリンク
カカオ79% カカオ79%
スポンサーリンク

web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想237話】~残り21%の甘さ~

237:発展(2)

 

『今日は私、天童さんとデートするから!』
勇が目覚めると、翼からメッセージが届いていた。寝ぼけた顔でボーっとスマホを眺める。

 

「他のやつとデートすんのに報告すんなよぉ…」

 

ベットの上で膝を抱えて突っ伏す勇に、妹の蛍が容赦ない。
「日曜14時まで寝てる彼氏への嫌がらせじゃないかな」

蛍は、カーテンをパッと開けて部屋に光を入れる。

 

「さっさと起きてご飯食べてお風呂掃除してね。今日勇にぃの番だから」

そして、まだベッドの上にいる勇に提案をする。

「その後、やることないなら髪でも切ってきたらどうよ。伸びてるじゃん」

そう言われて、勇は、自分の前髪をつまんでみた。

 

 

***

 

 

 

 

天童さんのバイト先のハンバーガーショップで、バイト上がりの天童さんと翼は、テーブルに向かい合って座って、話し込んでいた。

 

 

ポテトをつまむ天童さんと、ジュースを飲む翼。

「…つまり」
天童さんが今聞いた翼の話をまとめる。

 

「以前話てた私と似てる(状況が)やつが夏目愛というやらで、そいつのame 姉弟というやらがオレンジヤロウで、そいつがいきなり出てきて、夏目愛というやらに会わせてやると。で、悩んでる理由は、一ノ瀬勇と夏目愛が昔良い感じだったのかが気になるから?あんた達だけちゃっかり結ばれて幸せにしているのが後ろめたいから?」

 

 

天童さんの言葉に翼はギクッとする。

 

 

まぁ、良い感じだったというのは絶対こいつ一人の勘違いだろうけど、と天童さんが考えていると、翼がふと
「…卑怯だよね」
と呟く。

 

 

「友達だと思わせといて本当に大変な時には見捨てて…今じゃ会えるというのに、ヤキモチなんかで迷ってるって…恥ずかしくて勇にも言えないよ」

 

天童さんは少し考えてから口を開く。

「私が何度関わるなと言っても馬鹿みたいに押し付けたあんたの暴力的優しさ」
「言い方」
翼は注意するが、天童さんはかまわない。

 

 

 

「でもそれがなかったら、私は今ここにはいないかも知れない。私にそこまでしてくれたのは、その夏目というやらの側に最後までいてやれなかったのを後悔していたからじゃないのか?それが挽回できる機会が来た、またそれを逃したら絶対後悔すると思うけどな」

 

天童さんは、優しい表情でそう言ったあと、急に無表情になる。

 

 

「男の問題は仕方のないことだ。土下座して一発殴られとけ」
翼はびっくりする。
「えっ待って、天童さんそんなんでよかったわけ?私は一発では済まなかったような…」

天童さんはかまわず続ける。

 

「そしてテメェの彼氏を信じろ、やつが他の女に振り回されると思うか?」

 

 

天童さんの問いに翼は反論の言葉がなかった。

 

「それよりも気になるのはあいつのやり方だ。夏目の弟というやつ」
天童さんがジュースを飲みながら言う。
「今更写メール一枚送っといてこっちの出方をこそこそ伺うようなやり方が気に食わん」

 

 

 

天童さんがモブ男の顔を思い出しながら言う。
「あいつだけはあんた達に対して良い感情を持っている訳ではなさそうだな」

 

翼も頷く。
「愛ちゃんからすべての事情を聞いて、私を敵視するようになったのかも知れない…勇よりは私の方を嫌ってる気がするの」

 

 

翼は自分のこぶしをギュッと握りしめた。

「ありがとう天童さん、天童さんのおかげで決心がついた」
翼は少しだけうつむきながら言う。

 

「私、愛ちゃんに会うよ」

 

 

 

天童さんはジュースを飲みながら、翼について思いを馳せる。

 

 

腕の怪我でテニスも出来なくなった
それをきっかけで友達も失うことに…

 

何かを失うことに
恐れすぎる性分なのも納得だ

 

 

「もし愛ちゃんと会えたら、天童さんにも紹介するよ。意外と二人、よく合うかもしれないし。何かワクワクしてきた」

 

翼が震えながら言う。いや、オロオロしてるし、と天童さんは思った。

 

 

天童さんは、翼が夏目愛のことは『愛ちゃん』と名前にちゃん付けで、自分は、苗字にさん付けなことに気が付き、少し面白くなさそうな表情をした。

 

「…断る」

「えっ何でー」
どういう経緯で断られたか分からない翼。
「…クソが」
悪態をつく天童さんに驚く。

「何で?!何で暴言?!」

 

 

 

***

 

 

 

ピンポーン。

 

 

その日の夜、翼が隣の勇の家に来た。
「お邪魔しまーす…」
とリビングに顔を出す。

 

「いらっしゃい翼ちゃん」
蛍が笑顔で出迎える。

 

 

「勇にぃは部屋にいるよ」
「あ、うん、すぐ帰るから…」
と翼は言うも、
「別にずっと居てもいいんだよ?ふふふ」
と蛍は意味深に笑う。

 

「ハハハ…」
翼は笑うしかない。

 

 

***

 

 

 

昼間、天童さんと話した時に聞かれた。
「一ノ瀬には話さないのか?」
「うん、私が先に愛ちゃんと会ってみたいの」
翼は答えた。

 

「今勇と一緒に会ったら頼ってしまうかもしれないし、女同士の話も…あるわけだし、勇と付き合ってることとか」

 

 

すると天童さんは、真面目な表情で助言をしてくれた。

 

「でも何かフォローは入れてやった方がいいと思う。昨日のテメェのツラは確かに『何かあった』人のツラだったから」

 

 

 

***

 

 

確かに天童さんの言う通り、まだ内緒にするからには心配させてはいけないし、と考えながら、翼は勇の部屋のドアをノックしてから開けた。

「じゃましまーす」

 

翼がドアを開けると、目の前にいたのは、髪を切って少しかっこよくなった勇だった。

 

「あ…?」
翼に気がついて、勇がこちらを向く。
「あれっお前今日はあのヤンキー女と遊ぶって…まあいいや、どうした?連絡もなく」

 

勇は言うが、翼は短くなった勇の髪に目が行って驚いた表情をしていた。

 

ToBeContinued

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

準備中

カカオ79%【ネタバレ/伏線回】

 

 

 

 

カカオ79%【次の話し】

『カカオ79%』238:発展(3)【あらすじ&感想】
web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想238話】~残り21%の甘さ~ 238:発展(3) 翼がドアを開けると、目の前にいたのは、髪を切って少しかっこよくなった勇だった。 「あ…?」 翼に気がつい...

カカオ79%【前の話し】

『カカオ79%』236:発展(1)【あらすじ&感想】
web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想236話】~残り21%の甘さ~ 236:発展(1) 「その『新しく芽生えた自分にも分からない気持ち』って何?」 観覧車の中で、天童さんがたたみかけるように...

 

コメント