『カカオ79%』231:夏目(2)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想231話】~残り21%の甘さ~

231:夏目(2)

それぞれ別のアトラクションに並びながら、翼と、勇は、モブ男のことを考える。

 

ふざけて周りは

彼をモブ男と呼んでいた

 

だから

『夏目』という名を耳にした時には

びっくりしたけど

 

それは

いくら何でも

彼をそう呼ぶ人があまりにもいなかったせいだろう

 

勇は、夏の旅行で、委員長がモブ男のことを『夏目くん』と呼んだ時のことを思い出していた。

 

翼は、モブ男本人から、『夏目凪だよ』と言われた時のことを思い出していた。

 

ただの同姓か

まあよくある苗字だし

 

対象にあまりにも興味がなかった勇に対して、翼はこっそりモブ男のノートの記名で確認をした。

 

新木じゃん…!

 

二人は、それぞれの場所で考え込む。

 

***

 

遊園地。メリーゴーランドの白馬に乗って、委員長がすごくうれしそうに周っていた。

あははははははははは

声を出して笑っている。

 

その姿を少し呆れた表情で、天童さんのクラスメイトが、後ろの白馬に乗りながら見ていた。その横の白馬には、天童さんが、馬にまたがらずに、横乗りで乗っていて、そして嬉しそうな顔をしていた。

 

「何あの人」

「恥ずかしい」

並んでいる列からは、委員長に対しての感想がヒソヒソと話されていた。

 

「いやあ、やっと笑ったね彼。ずっとご機嫌斜めだったのに。幸せそうで何よりだ。それに対して大魔王は何故また凹んでんの?彼氏君と仲直り出来てなかったの?」

メリーゴーランドの馬車に乗るアリザワ先輩が、同じ馬車の向かいの席に乗る翼に話しかける。

「え?あ、いや、その…」

翼が口ごもる。

 

「にしてもよく許してもらえたね、別行動。あんなに一瞬たりとも離れたそうになかった風な割には」

アリザワ先輩が言う。

「あのですね、そのことですが、あいつやっぱ傍から見ても執着やばい?」

翼が聞いた。

「『みて』ってことは自分もそう思ってるってこと?」

アリザワ先輩は質問で返す。

「最近ちょっと…」

 

「自分で息苦しいと思ったらそうなんじゃない?それで嫌なの?」

アリザワ先輩が踏み込む。

「嫌…てほどではないけど…」

「んだよ、惚気かよ~」

 

翼はアリザワ先輩の方を向き、頭を下げた。

「でもたまに先輩に失礼なことするし…本当にすみません

「いいよ、嫌がりそうなことやってるし」

 

翼が顔を上げた。

「知っててやってんの?」

 

「でもそれに対して大魔王の方はどうなのよ」

「え?」

翼は気が付いていないようだ。

「あっちの女子二人は全員、一度は彼のこと好きになった人達じゃなかったっけ」

 

***

 

勇は、前に並んでいるモブ男の後ろ姿を見ていた。横にいる村上さんと話している。

 

勇はモブ男の横に、愛ちゃんの姿を想像する。

 

俺の新しい苗字

覚えててくれてたんだ

 

モブ男が言った言葉。勇は考える。

 

新しい苗字…

確か昔夏目が先生と呼んでいた女の人は『清水』だったっけ

 

勇は、自分の隣にいた橘君に話しかける。

「橘ってさ、あのオレンジ野郎のこと以前から知り合いだった?」

「顔と名前だけ知ってたぐらいかな」

急に話しかけられた橘君は、ちょっと考えながら答える。

 

「さっき『夏目』は新しい苗字って言ってたけど、ひょっとして変わる前の苗字って知ってる?」

勇が聞く。

「確か新木くんだったよ。新木凪君」

 

流石に偶然なのか?

何かの都合で苗字が変わった人なんか山ほどいるし

 

そんな珍しい苗字でもないし

でも何かすっきりしないのは何故だろう

 

思い返してみれば

俺達によく

何かと突っかかるやつだった

 

そのせいなのか?

 

やつのふざけには

いつもトゲがあるように感じた

でもそうする理由が一体どこにある

 

自分の思い違いと思っていたけど

 

もし

それが根拠のある行動だとしたら

 

勇は、考えながらモブ男のことをじーと見つめた。並んでいるときも、バイキングに乗るときも、バイキングが動いているときも、モブ男のことをじーっと見つめていた。

 

「見過ぎ」

バイキングを降りたころに、橘君が見かねて勇に注意をした。

「いやつい…」

橘君に肩を叩かれ、勇は我に返った

 

バイキングを降りて、リナ先輩が、

「あー楽しかった」

と伸びをする。

 

モブ男は近くを歩く家族連れを見ていた。両親の間に男の子が笑顔で歩く。3人の会話は弾んでいるようだった。モブ男は思う。

 

俺の親は

何故結婚したのか聞きたくなるくらい

仲が悪かった

 

裕福でもないお堅い父の家柄が

あの女には息苦しくて

居づらかったのだろう

 

結局

先生のくせして

自分の生徒の親と目があって

家を出てった

 

自分しか知らない

その自己中女の新しい家に

 

あいつはいた

 

中学生の、ロングヘアの愛ちゃんの姿が思い浮かんだ。ショートカットで、翼や勇と出会う前の愛ちゃんだ。

 

ToBeContinued

 

 

 

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

モブ男の過去…苗字を3つもあるということは、それだけ家庭も複雑そうで、本人が捻くれて育っているのは仕方がない気がします。さて、どんな過去をお持ちなのか…もし、同情せざるを得ないような過去だったら、ちょっと複雑な気持ちになってしまいそうです。だからと言って、今まで翼にしてきた嫌がらせのようなことは許せないですけど…。

モブ男は、遊園地に来ている両親と男の子の一家に視線をやっていて、まだ、家庭が複雑だったことに対して、心の整理がついていないというか、傷ついたままここにいるのかな、と思ってしまった。

 

最後に出てきた、中学生の頃の愛ちゃん。髪が長くて、息を飲むほど可愛かったです。翼や勇と出会う前の、転校する前の愛ちゃんですね。

 

 

カカオ79%【ネタバレ/伏線回】

モブ男と愛ちゃん→

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