web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想224話】~残り21%の甘さ~
224:遊園地へ行こう(6)
一回転するジェットコースターの前で、絶叫を聞きながら、コースターの風を正面から受けた天童さん、橘君、アリザワ先輩、そして委員長。一同驚きの表情になっている。
リナ先輩が先頭を切って歩いていたが、コースターの前で振り返って手を挙げた。
「はぁい、遊園地と言えばジェットコースター、これに乗らないと始まらないよね」
「まてまてまてまて」
アリザワ先輩が慌てて制止する。
「なーに?何か問題あるの?」
リナ先輩が聞く。
「大アリだよ。何一人で勝手に決めてんだよ。皆の意見を聞こうよ。特に…こっちのメガネかけてる人の意見とか、メガネの意見とか」
アリザワ先輩が指す先には驚愕の顔をした委員長が、メガネのレンズをパリンパリンと鳴らしながら一回転するジェットコースターを見つめていた。
「どっちも聞く必要もないみたいですけどね。メガネも、メガネの彼も」
「他はどうよ」
話を振られた橘君は、
「俺は別に…いいですけど」
と言う。横にいた天童さんも
「私も構わん。一度乗ってみたかった」
と言った。
リナ先輩は、アリザワ先輩の腕を取った。
「じゃあ、私と亮が一緒に乗るとして」
「オイ俺の意見は聞かねえのかよ」
と言っているアリザワ先輩の発言を無視しながらリナ先輩は続ける。
「そこの二人が一緒に乗って」
リナ先輩の言葉に、橘君と天童さんは顔を見合わせた。
「人の話を聴け!」
アリザワ先輩は一人でわめいている。
「薫くんは下でメガネと一緒に待っていればいいんじゃないの~?」
リナ先輩の言葉に、委員長の眼球が飛び出しそうになり、メガネが割れる。
「何っ」
と委員長がリナ先輩とアリザワ先輩の方に振り返ると、すでに二人は委員長から背を向けていた。
ひたすら無視されていたアリザワ先輩の肩をリナ先輩がなだめるようにトントンたたいた。
「たく」
アリザワ先輩は頭をかいた。
委員長が、何か言いたげな顔になる。
***
長髪の骸骨が
「ギャオオオオ」
とカップルの客を怖がらせた。
「キャァ!!ヤダ来ないで!」
女性客は男性客にすがりつく。
「ははは、怖がることないさマイハニー」
男性が言う。
「君のそばにはいつまでも僕がいるからサ☆」
「ハニー❤」
そんな二人に、翼と勇は声をかけた。
「あの…私達、先に進んでいいですか?急いでるんで」
二人の顔をスマホで下から照らして声をかけたため、お化けのように演出されて、カップルは声を上げて逃げて行った。
「イヤアァァ」
「あ」
「驚かせちゃったかな」
勇と翼が話す。
「どうする?やっぱ携帯は閉まっとく?」
「でも早めに進んでるからお化けとか光とか付いてこれてないし」
そんな二人に、骸骨が襲い掛かる。
「ギャオオオオ」
二人は反射的にスマホのライトを向けてしまう。
「ギャオ…!」
「あ」
骸骨が素に戻って注意する。
「お客様、フラッシュのご利用はご遠慮ください」
「すみません、暗かったんで」
素直に謝った。
「暗くさせてるんです…」
「じゃー」
翼と勇は手を振る骸骨に別れを告げて歩き出した。
こんにちは、皆さん
私達は今
お化け屋敷に入っています
ところで
これじゃない
気がします
翼は歩きながら、勇に文句を言う。
「いやいやおかしいでしょ、何でそんなに平気なの、あんた?!」
勇が言い返す。
「いやいやこっちのセリフ!!少しは怖がってもよくね?!俺に頼ってもよくね?!」
翼が真面目な顔をして言う。
「私がこんな嘘っぱちなもんで本気で怖がると思ったわけ?」
勇は思う。
このゴリラめ
思いませんでした
くそ
もしかしたらと思ったんだけど
やっぱりダメか
普通のカップル的なノリを夢見て何が悪い!
翼の後ろで頭を抱える勇をよそに翼はどんどん歩いていく。
「あーもーこれ全然面白くない、超つまんない。あんたがそんなに冷静だから、もっとつまんなくなってんじゃんかよ」
ん?
勇は気が付く。
こいつ…
ひょっとして本気で俺が怖がって
抱き着くのを待ってたわけなのか?
もしかして今朝から…
勇は、待ち合わせした時に、翼が恥ずかしそうに自分の手に触れてきたことを思い出す。
いやでも俺が抱きつくのは
絵的にどうかと思うんだけど
そういう彼氏でいいのか
お前は
テメェこそこんな嘘っぱちなもんで
俺が怖がると本気で思ったのかよ
翼も、勇の前をスタスタと歩きながら思いを巡らせる。
くそ…!
今朝から何もかもうまくいかないじゃない!
せっかく二人きりでいられるチャンスだっていうのに
そりゃ考えてみりゃあ
ゾンビ映画とかホラーゲームとか
一緒にやってきた仲だし
こんなのでビビるわけないってこと
お互い分かってんだよ!
でもそーっと手ぐらいは
握ってくれてもいいんじゃないの?!
ここってそういう仕組みじゃないの?!
テメェこそ彼氏の役目サボってんじゃないの?!
翼が思いを巡らせていると、目の前に妖精の格好をした蛍が出てきた。
「ツッツッツッ」
人差し指を立てて振っている。
「違うよ違うよ翼ちゃん」
バーチャル妖精蛍が言う。
「そうじゃないでしょ?勇にぃがビビらないなら翼ちゃんがビビればいいだけの話」
バーチャル妖精蛍は、翼の眉間をトントンと人差し指でたたいた。
「今日は翼ちゃんが頑張る日、じゃなかったの?」
翼は、ゴクッと生唾を飲み込んだ。
「グオオオ」
顔を上げると、いつの間にか目の前にガイコツがいた。
「ぎゃ、ぎゃああ、びっくりしたあ」
翼は言って、後ろを振り返る。
「ゆ、ゆう…」
そして一歩踏み出したとたんに足がもつれて、バタっと転んだ。
「あ」
勇が驚く。バイトの骨吉さんも驚いていた。
***
モブ男が青空の下、スマホ片手に周りを見渡した。
「ワー超楽しそー」
カカオ79%【感想(ネタバレ有)】
委員長のその表情はリナ先輩が自分を置いて、アリザワ先輩と乗ることに対してのヤキモチでしょうか?それともプライドが傷つけられた?いずれにしても、委員長の気持ちが動き出していることは確かです。それもリナ先輩の作戦のうちなのでしょうか?それとも無意識になせる業なのでしょうか。
リナ先輩が、気まずそうな二人の橘君と天童さんを、さっさと二人で乗るようにくっつけてくれてよかったです。天童さんには、チームアリザワでよく知っているのだから、アリザワ先輩と乗るという選択肢もあったし、リナ先輩と橘君も今日初めて会った仲ではないのだから(文化祭の準備の時に親しげに話していたし)リナ先輩と橘君で乗るという選択肢もあった。でも、それぞれの思いを伝えていないはずなのに、橘君と天童さんに的確に二人一緒に乗るよう指示できるなんて、空気が読めるというか、絶対色々察していそうですね。
おそらく天童さんは初めての遊園地、初めてのジェットコースター、いろいろと起こりそうな今日この頃ですが、天童さんだけでも遊園地をたくさん楽しんでほしいなあと思わずにはいられません。
そして、翼と勇ですが、二人ともお化け屋敷は全然平気でしたね(;’∀’)
二人とも今更感満載のやり取りでした。でも、バーチャル蛍が可愛かった!!妖精さんで、ピーターパンのティンカーベルみたいでしたね。可愛いです。そして的確な助言・・・まあ、その助言を実行しようとした瞬間、翼がドジってしまいましたが、素直になろうと翼が努力しているのが勇にも伝わって、よかったと思います。
最後、嫌な感じでモブ男が出てきましたね。この人さえいなければ…楽しい遊園地で終われただろうに…
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