『カカオ79%』181:平等【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想181話】~残り21%の甘さ~

「できれば私も邪魔しないようにしたいけどさ、携帯はたまに確認してよね?何をしていたかはあえて聞かないでおくわ」
翼と勇が、内側から玄関のドアを開けると、そこに立っていたのは蛍だった。
「何もしてないから」
と言う翼の横で、勇はスマホを手に
「あー悪い、電源切れてた、で、何?飯か?飯だな?」
と言う。

「勇にぃって本当、飯と翼ちゃんのことしか頭に入ってないよね、このゴクツブシが」
蛍が悪態をつく。
「お客さんが来てるのよ」
「こんな時間に?客?俺に?」
勇と翼がドアから顔だけ出して門の外を覗いた。
「携帯の連絡が繋がらないからお家まで来ちゃったらしいよ」
蛍も同じ方向を見ている。

門の所でもぞもぞと動いていた人影が、ひょっこり顔を出して軽く会釈をする。
「!橘?!」
勇が驚きの声を上げる。翼も驚いていた。

***

勇の自宅。夕食を終えて、翼はお茶を入れて蛍に渡す。
「今日の魚の味どうだった?」
「いつものごとく最高でした、ごちそうさま。お茶をどうぞ」
蛍の横では光もソファーに座ってお茶を飲んでいた。

「ごめん、突然訪ねて夕食までご馳走になっちゃって」
2階の勇の部屋では、勇と橘君がコーヒーを飲みながら二人で話をしていた。
「別にいいけど…まあ橘らしくはない気がするな。会ってきたのか?ヤンキー女と
勇の問いに、橘君はギクッとする。

少し言葉に詰まったあと、大きなため息をつきながら話し始めた。
「ごめん、本当どうしたものか…家に帰りたくなくて、うろうろしているうちに気づいたら一ノ瀬の家の前で…

勇は黙って橘君の話を聞いていた。でも、心の中では

それもしかして俺じゃなく翼の方を求めて来たんじゃ…
とか思っちゃうけど黙っとこう

と思っていた。
「一ノ瀬なら事情を全部知っているから、弱音を吐いても受け止めてもらえると思ったせいかな…」

橘の口から弱音だと?

勇は、声にこそ出さないが、驚いてた、改めて橘君の顔を見た。
「天童には会うべきじゃなかった」
橘君はそう言って、下を向いた。
「俺が軽率だった。連絡するべきじゃなかったんだ」

***

1階のリビングでは、翼がしきりに2階を気にしていた。その様子に気が付いた蛍が
「そんなに気になるなら上がってみたら?」
と声をかける。

「てか何で翼ちゃんだけ残されてるの?」
と聞く。
「あ、いや、勇を訪ねてきたんだから、何か男同士の話があるのではと思って…」
翼が慌てて答える。
「あら、翼ちゃんのくせに気がきくじゃない」
蛍の言葉に翼は苦笑いするしかない。

それに…もし天童さんについての話なら
私は邪魔になるだけだから

***

勇の部屋。橘君が話している。
「ウチでは家の事情が難しい子供達を何人か援助していることがあるんだ。そして天童もその一人と言えばその一人で、違いと言えばの対援助の対象は祖父や親が判断していたけど、天童の場合は俺からの頼みでということと、天童がバイトを始めてからはそれを少しずつだけど返してきているところかな」

勇は黙って聞いていたが、そこまで聞いて口を挟む。
「…橘、その話は…」
「勝手に話すべきじゃないことを言っていることは分かってるよ、聞かされる一ノ瀬にとっても負担になるかもしれないということも…でも、聞いて判断して欲しいんだ。これ以上天童を傷つけないためにはどうするべきなのか」

橘君は、天童さんが先ほど見せた涙の顔を思いだす。
「天童を支援するようになったのは、天童が一番辛かった瞬間、偶然一緒だったし、俺には天童を助ける方法が思い浮かんでいたから…。実は小学生の頃、一度天童の強がりを見て見ぬふりしたことがあってね、その時にはそれが俺にとっての『平等』だったんだ。でも今度また見てみないふりをしてしまったら、それが天童の自尊心を押しつぶすことになるとしても、今度こそ壊れる気がして…そこには正直同情もあったと思うけどそのぐらい天童は辛い瞬間だったんだ」

橘君は淡々と話す。勇は、無表情で橘君を見ながら話を聞く。
「でもその後は天童は怯むどころか強くなって、その必要はないと言っても援助してもらった金を返すと言ってバイトを始めたりして…ああーこの子は俺の助けが必要な子じゃなくて、一緒に歩いて行く子なんだーと思うようになったんだ。俺なんかが同情する子じゃない、そうやってもう一度『平等』になれたんだ」

橘君は、中学の頃、二人で並んで歩きながら話した光景を思い出していた。笑顔の橘君と、少しこわばった顔の、無表情の天童さん。
「でも天童は、『友達』というには俺にこだわりが強くて…所々まだ助けてあげないといけないところもあったから、まるで妹みたいだと思えてきたんだよ」

橘君のその言葉に勇は愕然とした。
「い…!!イモウ…ト」

話終えた橘君はソファーにもたれかかり、困った顔でため息をついた。

ToBeContinid

 

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

ピンポン押したのは蛍だったのですね。。。でも来訪者は橘君。そして、勇を訪ねて来たなんて。前回のピンポンの連打から、思ってもみませんでした。

確かに、橘君は連打しなさそうで、蛍は翼宅にならしそう。。。

橘君も、コミュニケーション能力は高いけれど、こうやって人に頼ったり弱音を吐いたりすることはあまりしなさそう、というのもあって、というか今まではちゃんと自分で解決したり、テニスをやっていることもあって精神的にも強い自分を目指していたから、このような状況で勇を頼ってくれてよかったです。

天童さんのことを思って困った笑う橘君の顔、切ないです。

橘君は天童さんのことをイモウトみたいに思っていると言ったけど、友達を平等に扱うという橘君がイモウト、家族のように思っているというのは、特別だと私は思います。

そして、橘君は天童さんの自分への気持ちが、友達にしてはこだわりが強いという言い方をしていましたが、天童さんの気持ちにいつから、どこまで気が付いていたのかなあと…

勇はずっと翼に、男としてではなく家族のように接されて苦しんできた側だから、天童さんの気持ちがよくわかるのだと思います。

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