web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想182話】~残り21%の甘さ~
放課後を知らせるチャイムが鳴り響く。橘君が勇の家に相談に来た日の翌日、勇は蛍から一通のメッセージを受け取っていた。
『勇にぃ、昨日の洗濯担当替わってあげた代わりにアイス忘れないでね。勇にぃの学校前の超かわいいアイスの店の一番大きいサイズで!』
昨日、勇はずっと隣の翼の家にいたのだ。そのメッセージを見て、勇の目玉は飛び出した。
はあ?!あそこめっちゃ高いところじゃね?!
ここぞとばかりに…!
そして、天童さんのことをイモウトみたいに思っていると言った橘君に思いを馳せる。
橘よ、妹というのはこういうもんだぞ…
助け合う仲じゃなく
こき使い合う仲なんだよ
そう思いながらも、勇は蛍に『わかったよ』と送信する。
***
昨夜、勇の部屋で橘君は、天童さんのことをイモウトみたいに思っていると言った
「イ、イモウト…」
勇は反芻して頭を抱えた。
無理だ…これじゃ脈なんてない
妹だと思われちゃこれは
マジで無理で無理な無理の…
頭を抱える勇に対して、橘君は話を続けた。
「でも俺がそう思っているからって天童の気持ちを押しつぶしてはいけなかったんだ。天童が綾野さんのことを警戒しだしていたころも、俺に聞こえるように一ノ瀬が好きだと言っていた頃も、それが恋心だとは思っていなかった」
橘君は、肝試しのことを思い出していた。それから文化祭の準備期間、天童さんのアパートで雨宿りをした時のことも。そして、先日、文化祭の終わり掛け、天童さんに告白されたことも。
「いや、思わないようにしていたんだと思う。俺は、天童の気持ちには応えてあげられないから…綾野さんに偉そうなこと言える立場じゃなかったんだな、俺も天童と縁切る覚悟ができてなかったんだ。綾野さんと天童の仲の原因が自分なら、なおさら俺は関わっちゃいけなかったのに、のこのこ連絡して…」
橘君は俯いて話した。勇は、何も言わずに聞いている。
「…一ノ瀬、俺はどうすればいいのかな、もう天童に謝ることすらできないよ」
***
学校の前のアイスの店は、ピンク色に光り輝いていた。周りは全員女子。
あ…くそ…しかも俺一人で入んなきゃいけねえのかよ
よりによって今日翼のやつ生徒会に呼ばれちゃってるし
待ってればよかった
勇がアイスの店に近づくと、周りにいた女子達が、ちらっちらっと勇に視線を送ってくる。
入るしかないのか
俺はこれからこのピンクのハウスへ
一人で入るしかないのか
ふと、視線を別の方へ向ける。そこに、天童さんの後ろ姿を見つける。
「!!」
あれは…!あれでも一応女子の…!
そして天童さんに声をかけた。
「やあ!天童じゃないか!こんなところで会うなんて偶然だな!」
と超学校の前で言う勇は白々しい。
「アイスはいかが?」
***
天童さんの目の前には、大きなアイスが、パフェのようなアイスが置かれていた。天童さんは、その豪華さに、怖い顔をしながらも、目はアイスに釘付けになっていた。
「いやあ助かったよ、お前使い所あるじゃねえか。それ俺の奢りだから食べやがれよ」
勇は結構失礼なことを天童さんに平気で言う。
「いや払う、いくら?」
「いいよ、どうせ妹に買っていくついでだし」
勇はそう言って思い出す。
「……妹…」
橘君が、天童さんのことを妹みたいに思っていると言ったことを。
「お、お前は、イ、イモウトのヨウナモン…だから(?)」
そして何か片言で言ってしまう。
「は?テメェみたいなヘタレ兄を持った覚えはねえよ、何言ってんだこいつ」
案の定、天童さんに一蹴された。
高そう、そう思いながら天童さんがアイスを食べ始めようとすると、
「やっと告白出来たんだし、おめでとうってことで奢らせてよ」
と勇が言った。
「……嫌味か?フラれておめでとって?知ってんだろ?その様子じゃ」
「一歩進んだことにおめでとうって言ってんだよ」
勇の言葉を聞いた天童さんは、顔をあげた。天童さんの目に、光がさす。勇は優しく微笑むような表情で天童さんを見つめた。
アイスやさんで、しばらく二人は向き合って座っていた。
***
翼が放課後の学校の廊下を歩いていると、後ろからものすごい勢いで走ってくる音がした。ダダダダダダダダダダ。
「綾野さーん!」
翼が振り返る。
「委員長、何か…久しぶり?」
委員長はゼーゼーと息を切らしていた。
「も、もしかして今から生徒会室に行かれるんですか?」
委員長がきく。
「え?おう、呼ばれてね。委員長も?」
翼が答える。
「行っちゃ…」
息が切れてなかなか話せない委員長に翼が聞き返す。
「ん?」
「行っちゃダメです…!!」
委員長は勢いよく言った。その瞬間、委員長の眼鏡が、パチンと割れた。
?!
ToBeContinid
カカオ79%【感想(ネタバレ有)】
勇の一言で天童さんの目に光が戻った気がします。天童さんと勇の関係は、戦友といっていいのだと思います。幼馴染で距離が近すぎる翼に恋をしていた勇だから、天童さんの気持ちに寄りそうことができるのだと思います。
ちなみに、蛍が、勇一人では入りにくいようなアイス屋さんに行くよう仕向けたのは、翼と一緒にいってらっしゃいというデートのお膳立てだったんだと思います。思惑通りにいかなかったみたいですが、結果として天童さんが立ち直るきっかけとなってくれるのなら、よかったと思います。
でも、また勇の方が天童さんの理解者であったことで、翼がやきもちを焼かないといいと心配してしまいます。
最後、久しぶりに委員長が出てきましたね。トラブルメーカーな委員長、また一人で大騒ぎしています。
カカオ79%【ネタバレ/伏線回収班】
天童さんが翼のことを警戒しだしていたころ→『カカオ79%』37:肝試し(4)【あらすじ&感想】
橘君に聞こえるように勇が好きだと言っていた頃→『カカオ79%』107:恋したい乙女たち(1)【あらすじ&感想】
天童さんの告白→『カカオ79%』145:好きな人【あらすじ&感想】
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