『カカオ79%』166:迷子(4)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想166話】~残り21%の甘さ~

ミドリの割れたヘアバンドについて何か知らないか尋ねられたミツウラが、顔面蒼白で指をさしたのは、教室で一人、席に座っていた天童さんだった
「て、天童が持っていこうとして落としたのを見た」
ミツウラはそう言った。天童さんはゆっくり顔を上げた。教室中の視線が天童さんに集まる。
「…天童さんが」
「そういえば天童さんって体操着持ってないから着替えないし、いつに一番早めに教室戻るんだよね」
天童さんの顔から冷や汗が出た。

天童さんは何も言わずに、ミツウラの方を向く。ミツウラは思わず顔をそらした。
「天童さんっていつも橘君にくっついてたじゃん。橘君からのヘアバンド、欲しかったんじゃないの?」
教室内からはそんな声が上がった。

ミドリは泣きながら、自分の母親に言われたことを言う。
「…天童さんのお父さんってさ…泥棒だってうちのママが言ってたの…」

それは、誕生日パーティー後のことだった。
「ミドリ、この前の誕生日パーティーに来た天童って子、調べてみたら物騒な噂ばかりで…!あんな子と遊んじゃダメよ?両親が前科者って噂も…」
そんな母親の言葉に、ミドリは笑顔で答えた。
「ミドリも知ってるよ」

泣きながらも、ミドリは天童さんに向かって言う。
「一緒に遊ぶなって言ってたのに…私…可哀そうだから一緒に…遊んであげてたのに…」

天童さんは、ガタンと席から立つと、ミツウラの肩をガシッと掴んで教室の外へと連れ出した。
「えっ?!ちょ」
ズリズリズリと引っ張られるミツウラ。

教室では、ミドリの言葉に、クラスメイトたちがそれぞれに反応していた。
「うそ…そんなに悪い人の…」
「だからいつもあんなにボロボロで…」
「うちのママもその話してた」
「ミドリちゃん優しい」
「…怖い」

天童さんは、廊下に連れ出したミツウラを壁にドンっと離す。
「…私じゃ…!」
と言いかけた。
「ご、ごめん!知ってる!!知ってるけど!」
ミツウラは慌てて言う。

「…っお、俺がやったんだ、通りがかりに間違って…て、天童お願い!天童がやったことにしてくれないかな…!橘とミドリに嫌われると…俺もう終わりなんだ…!天童には俺に借りがあるだろ?!は、花貸してやったじゃん。あの花、本当は天童からじゃないって知ったらミドリがっかりするよ?!それでもいいのか?!」
ミツウラの必死な言葉に、天童さんは何も言えなくなる。

天童さんの脳裏には、以前、橘とミツウラ、ミドリと天童さんの4人で並んで下校した時の光景が思い出される。天童さんは唇を噛み締めた。

この人たちの親切は
結局自分のためだったんだ

じゃー
橘は?

笑顔の橘君が思い出された。

クズから生まれた子は
クズな人生しか生きてちゃいけないんだと
神に言われてる気がした

天童さんは誕生日パーティーの時にもらった二つの風船を、自宅のアパートに持って帰ってくると、マジックで赤い風船に『パパ』と、白い風船に『ママ』と書いた。そして、浮かんだ風船の紐を両手で持つ。ミドリが幼いころに、両手を両親に繋がれていたあの写真のように。クラスメイトの女の子が、迎えに来たお母さんと手を繋いでいたあの光景のように。

天童さんは、両手で風船の紐を1本ずつ持って、散らかったアパートの布団の上で一人、涙を流していた。

思い出せばずっと聞いてきたことだ

両親、かなり荒れてるみたいで
あの子は危ない
子供は大丈夫なのかしら
怖い
近づいちゃダメ

クズの子は所詮クズ

じゃ、クズになってあげるよ

ダンッ!
天童さんは、足でミツウラの背後の壁を蹴る。その足はミツウラの顔のすぐ横に。ミツウラはビビッている。
「死ね」
天童さんが言った。

ToBeContinid

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

子供の世界って、自分の立ち位置を維持するために、とても必死なんだということはわかります。特にミツウラは、もともと目立つタイプではなくて、小心者なのに背伸びして目立っていたから、余計にそういう部分があったのだと思います。それでも、天童さんに罪をなすり付けるのは、ひどいです。

ただ、それ以上に、ミドリの言葉や、周りのクラスメイトの言葉もひどい。教室の中の雰囲気は、やっぱり独特で、(翼の過去編でもありましたが、あの時は中学生だったので特に女子特有のいやらしさもありました)きっと当事者になってしまったら、抗えないものだと思います。

翼の過去編では、みんなを巻き込んで愛ちゃんを悪者にしようとする中島がいて、取り巻きがいて、冷ややかに見ている男子がいて、愛ちゃんに味方する翼がいた。でも、このときの天童さんは、きっかけはミツウラが作ってしまったものの、みんなを巻き込んで天童さんを悪者に煽動するミドリがいて、少し距離をおいてみている男子がいて、でも天童さんをかばってくれる翼のような存在はいなかった。

このとき、橘君が欠席していなかったら、この後の展開はちょっとは違っていたのかな、と思うと、タイミングが悪い気もしますが、時間の問題でもあったのかなとも思います。

ただ、天童さん、この事件で覚醒してしまいましたね。純粋な天童さんもかわいかったですが、クズの親を持ち、自分もクズになってやると開き直った小学校4年生。。。ここから、橘君と再会する中3くらいまでは、なんとなく想像がついてしまうのですが、どうでしょうか。。。

カカオ79%【ネタバレ/伏線回収班】

準備中

 

 

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