『カカオ79%』165:迷子(3)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想165話】~残り21%の甘さ~

「今週の日曜日、私の誕生日パーティーやるんだ。天童さんも来ない?」
教室でミドリが天童さんに笑顔で言った。

***

誕生日パーティー当日。ミドリの家へと、天童さんは同級生たちの一番後ろを歩いていた。
「たかーい」
「ミドリちゃんのお家、あそこだって」
「行こう」

姫川緑の家は見上げると
首が痛くなるほどの高級マンションだった

マンションのエントランスホールで、天童さんにミツウラが声をかける。
「へーイ天童YO!もしかして手ぶらか?」
天童さんが黙っているとミツウラは続けた。
「ダメだぜ、人の誕生日会に呼ばれたら、プレゼントを持って来るのがレイギってもんだ。まあでもそうだと思ったぜー、これ持っとけ」
ミツウラは赤い花を天童さんの前にバサッと出した。

「俺様の用意したプレゼントのち、花を貸してあげよう。それをプレゼントとして渡せばいい」
天童さんは黙ったまま、その花を受け取った。
「………おいおい俺様のセンスの高さに声すら出ないってか?お礼くらい言えよ…まあいいか、これは『借り』なんだから後で返せよ?」
ミツウラは話し続ける。

そんな二人に、少し前を行く橘君が声をかける。
「おーい、早く来ないと自動ドア閉まる!」
「NO—待って今行く!」
ミツウラはダッシュした。

4年生になったこのクラスでも中心は橘だった
そしてその次に目立つ二人のうちの一人が
この光浦清

1、2年の時にはそこまで目立つ感じではなかったけど
去年の運動会
橘と一緒にリレーの選手に選ばれて
1位をとってからは鼻が高くなったと
姫川緑は言った

リレーの後、橘君は、当時黒髪のミツウラに声をかけた。
「ありがとう!光浦のおかげで勝てたよ、借りができたね」
ミツウラは舞い上がった。

橘が僕に借り…
女の子達の歓声…

そして金髪になった。

僕は…いや俺はもう昔の俺じゃねぇ

***

「みんないらっしゃい」
玄関からミドリの家に入る。

そしてこの姫川緑こそ
この誕生日パーティーの主人公であり
女の子達の中心であった

「今日は来てくれて本当にありがとう」
赤いワンピースでドレスアップしたミドリが笑顔で迎えた。
「わーミドリちゃん可愛い!」
「誕生日おめでとう」
招待されたクラスメイトたちが口々に言う。

ミドリの家は、風船やごちそうが並んでいた
「さあみんな、お腹すいたでしょ?ママが出張バイキングを呼んでくれたの。いっぱいあるから食べて食べて」
ミドリの言葉に一同ヨダレが出てくる。

彼女の父は有名な会社の重役らしくて
棚には賞碑とか賞状がいっぱい並んであった

天童さんは壁に飾られた、ミドリの幼いころの写真に目が釘付けになった。その写真は、両親に左右の手を繋がれて、笑顔のミドリがうつっていた。

食事がはじまると、天童さんは周りが引くくらいの勢いで食べた。
ガチャン、ハグモグモグ。
ガチャガチャハグハグ。
その勢いに、同級生だけでなくミドリの母親も驚く。
「ま、まあよく食べる子ね、よっぽどお腹が空いていたのかな。いっぱい用意した甲斐があるわ」

「て、天童!腹壊すんじゃないかハラハラになるぜ?!」
ミツウラの言葉も意に介さず天童さんは食べ続けた

食事が終わり、誕生日会はプレゼントを渡す時になった。
「わぁ、このクマの人形テレビで見たー!こっちのダイアリーは、カバーが私の好きな色ばかり…!みんなありがとう~」
ミドリが感嘆の声を上げた。

「わあ可愛いヘアバンド」
その中でもひときわ喜んだのは、シルバーのヘアバンドだった。
「あっ、それ俺の」
橘君が言った。ミツウラが横で驚く。
「えぇ、橘君?!さすが…女の子のアクセ選ぶセンスありすぎ…!」
「いや…俺の兄がいつも彼女にこういうの送ってたからそれを参考に…」

ミドリはヘアバンドを手にとって嬉しそうに言う。
「ありがとう、橘君、すごくうれしいよ」
「誕生日おめでとう」

そんな時に、ミツウラがピザをかじってる天童さんの背中を肘でこずいた。
「お誕生日おめでと―…」
天童さんはミドリにぎこちなく、赤い花を渡した。ミドリは笑顔で受け取る。
「ありがとう、天童さん、私お花大好きなの」
その様子を、少し離れた所から、ミドリの母親が見ていた

***

「ミドリちゃんバイバーイ!」
「また明日!」
誕生日パーティーが終わって、ミドリの家をあとにした。お土産にそれぞれみんな、風船を手に持っていた。天童さんは、赤と白のプカプカ浮かぶ風船を二つ、ジーっと見つめた。
「風船気に入った?よかったね、ふたつもらって」
橘が笑顔で話しかける。

「あっお母さん!じゃあみんなバイバーイ!」
クラスメイトの女の子の一人が迎えに来た母親を見つけ、手を振る。女の子は母親の元へ行くと、左手で黄色い風船を持ち、右手で母親と手をつないだ。その光景も天童さんはじーっと見つめる。
「俺たちも行こう。途中まで送るよ。方向一緒だし」
橘君が天童さんに声を掛けた。

おそらくこの時疑問というものを
持ち始めたんじゃないかな

風船を手に、天童さんはアパートの外階段をカンカン上がった。二階へついたところで、タバコをくわえた父親に遭う。天童さんは怯えた目で父親の顔を見た。父親はチッとひとつ舌打ちをすると、ドンっとひざで天童さんの腰の当あたりを蹴った。

どうしてここまで違うんだろ
何故
私はどうして…

昼間見た、両手を両親に繋がれた幼い頃のミドリの写真が思い出された。帰りに見たクラスメイトが、母親と手をつないで帰る光景も思い出す。

自宅のアパートの部屋は、床にゴミや洋服が散乱していた。その部屋に、赤と白の風船を浮かばせる。天童さんは、アパートの部屋で一人、立ち尽くしていた。

あれから数日して私は
その答えを知った

***

教室。ミドリの机の上には、あの橘君からもらったヘアーバンドが真っ二つに折れて置かれていた。ミドリはそれを見るや否や、ものすごい形相で悲鳴を上げた。
「キャアアアアアアアー!!」
そして泣き出す。

「ちょっと男子!教室で着替えてたのあんたたちでしょ?!ミドリちゃんのヘアバンド、壊したの誰?!」
女の子のクラスメイトが声を上げる。
「だーかーらー、俺らじゃないって!」
男子たちは否定した。

「嘘つかないでよ!このヘアバンドはミドリちゃんが橘君に誕生日プレゼントでもらったものなのよ。よりによって橘くんがテニスの試合でケッセキしてる間に」
「ミドリちゃんかわいそう…」
女子たちは口々に言うが、男子たちも反論する。

「てか俺ら来た時にはもうすでに壊れてなかったっけ?」
「そうだよ、俺らサッカーから今戻ってきたばかりだぜ?まだ着替えてすらないのがみえねぇのかよ」
言い合いは続く。
「じゃ何よ、ヘアバンドが自分で身を割ったってこと?」
「いや、そうは言ってないし」

そこで思わぬ方向に話が飛んでいく。
「あ、今日ミツウラが怪我して途中で抜けてたろ。何か知ってんじゃねぇの?」
急に自分の名前が上がって、ミツウラはギクリとする。
「へ…?」

冷や汗とぎこちない笑顔で振り返るミツウラに、教室内の視線が集まる。
「あ、そ、それが…」
そう言いながらミツウラは指を指した。皆が指を刺した方向に視線をやると、天童さんが一人自分の席に座っていた。

Tobecontiniued

 

カカオ79%【感想(ネタバレ有)】

前半、ミツウラは、なんだかんだいいながら天童さんの面倒を見ていて、ものすごくいいやつなんじゃないかと思って読んでいました。確かに、話してる言葉とか話し方とかは、調子に乗ってるし、イチイチうっとしい感じは否めませんが、天童さんをさりげなく(?)フォローするところが随所にあって良かったです。

天童さんが、誕生日プレゼントを用意してないだろうと踏んで、代わりに用意しておいてあげたり、品のない食べ方をする天童さんを何とかフォローしようとしてくれていたり、プレゼントを渡すタイミングをこっそり教えてあげたり。。。

でも、最後、なんだかいやな方向に話が進んでいきそうで、嫌ですね。ビクッとしている様子のミツウラ、ああ見えて、本当はすごく小心者なのだと思いました。だからこそ優しくて、天童さんの世話もいろいろ焼いてくれていたのかな、と思うと、このあとの展開がつらい展開になりそうで、ドキドキします。

カカオ79%【ネタバレ/伏線回収班】

準備中

 

 

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