『カカオ79％』108:恋したい乙女たち(2)【あらすじ＆感想】

web漫画/カカオ79％【あらすじ＆感想108話】～残り21％の甘さ～
108:恋したい乙女たち(2)

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108:恋したい乙女たち(2)

【あらすじ】

雨宿りをする勇のそばを、たまたま黄色い傘をさした村上さんが通りかかった。そして2人は目があった。

＊＊＊

「ああ、そういえば言いそびれたけど、私の好きな人、あんたと同じ一ノ瀬だから」
天童さんちのアパートで、煮え切らない翼を天童さんが殴った後にそう宣言した。雨は降り続いている。
「嘘だ」
翼は言う。

橘君が隣の部屋で2人の話を聞いていた。
「…嘘じゃない」
「嘘だ」
「本当だって」
問答になる。

「だって、天童さんが好きな人がたちば…」
翼が橘と言おうとすると、天童さんは翼の口を片手でつぶして阻止した。
「一ノ瀬が好き(アイラブユー)っつってんだろうが」
「な、なにそれ意地悪?わざと言ってるんでしょ…!なんだかんだいいながらも私の話を聞いてくれてたしアドバイスもくれてだし…!勇のことが好きならそんなことしないで自分が頑張るべきでしょう普通…!」
と翼は言ったが、天童さんは好きの欠片も見えない表情で反応する。
「大好きな彼の幸せのためなら？あんたにはわかんないかもしれないけど、こんなふうに好きだから犠牲になろうと思える恋もあるわけだ」
「わかっている」
翼は、勇のことが好きと言ったときの愛ちゃんの顔思い出した。

「じゃぁ、証拠見せてよ。ほんとに勇が好きだってこと。私と違って本気なんだからその差証明できるんでしょう?」
翼の言葉に、天童さんがちょっと考えて、部屋の隅にあった箱ガサガサした。
「これ覚えてる?」
と言って天童さんはビー玉を取り出した。
「それ…肝試しの時もビー玉?」
天童さんは、ビー玉にフーと息を吹きかけながら、
「そう、一ノ瀬とパートナーになった時の、やつ…じゃなくて彼に見つけてもらったものだ。今までこんなに大事に保管している私の宝物だ」
と言った。
翼は冷静に、そのビー玉が出てきた箱の中を示す。
「今このゴミ箱と同然のような箱から転がっていたものを持ち出してたよね」
「大切なご…宝物だ」
「明らかに今ゴミと言おうとしたね」

天童さんは苦しくなったのか、話を変える。
「あと、傘。私がいつどこで彼の傘を借りたのか気にならない?」
「そ、それは…!確かにちょっとびっくりはしたけど」
「偶然私のバイト先であって世話になった(弱みを握られた)ことがある。あれはあの時借りた傘だ」
翼は合点がいく。なるほど…だから勇のやつ、天童さんのバイト先を知っていたのかと。

「私に傘を譲ったせいで彼はびしょ濡れにで走り去ってたな。あれは優しいぞ。……多分あの時、私が必要でバイトやってることに気づいたと思う。だからその後、面倒みてくれたんだろうなと…」
翼も、隣の部屋にいる橘君も、じっと天童さんの話を聞いていた。

翼はおもむろに口を開いた。
「じゃぁ…き、キスとかピーやピーーーでピーーーをピーしてピーーするとかつまりピーーのことできる?!勇と…!」
翼の自主規制だらけの台詞に、隣の部屋からバシッと顔叩く音がした。これ以上聞いてはいけない気がした橘くんが勢いよく耳を塞いだのだ。

「そんなの願ったり叶ったりだ!!」

天童さんは言い放った。翼はガンとショックを受けている。

耳を塞いだ橘君も、ばっちり聞こえてしまった。

＊＊＊

夜、自宅で翼はお風呂上がりに、窓から隣の家の窓を見上げた。鏡を見てため息をつきながら自分の顔を確認する。

結局両方を殴られた。

天童さんはその後、持っていたビー玉を箱に戻しながら、
「一ノ瀬と友達に戻るつもりなら、私アタックしてもいいんだよな?」
と翼に聞いた。
「………私に聞く必要ないでしょう。天童さんの気持ちだから天童さんの勝手…」
と言ったところで、先ほどとは反対側の頰を殴られたのだ。

「な、なんでまた殴る!!」
涙目の翼に
「あーもーライバルだし?宣戦布告?的な?」
と天童さんは返す。
「絶対日頃の恨みでしょ!?」
「後悔するなよ、私は自分のためなら手段を選ばないから」
といった天童さんに、翼はやけくそで言い返した。

「…何を偉そうに。自分だって好きな人には何もできずにウズウズしてたくせに」
「はあ?」
それを聞いた天童さんは、今まで1番怖い顔になり、翼はその後、猛烈に退場。傘を振り上げる天童さんから、悲鳴をあげながら、猛ダッシュで逃げた。

傘も借りれず、びしょ濡れで家まで帰った。翼は大きなため息をつきながら、ベットに横になる。