『カカオ79%』88:必死(3)【あらすじ&感想】

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web漫画/カカオ79%【あらすじ&感想88話】~残り21%の甘さ~

88:必死(3)

【あらすじ】

天童さんがハンバーガーショップの店内で、暴力事件の状況説明をしている。横には勇が腑抜けた顔で同席していた。
「人を呼ぼうとしたらいきなり襲いかかってきて…その時ちょうどそこを通っていたうちの店でバーガーを食べやがるつもりであろう私の同級生の一ノ瀬くんに助けてもらったところです…!」

天童さんのでたらめな説明に勇はびっくりする。
「ねぇ?一ノ瀬くん?」
と天童さんが凄むので、勇は、
「はい、はい…そんな感じ…です」
と同意せざるを得なかった。

***

説明が終わった後、店内で座っている勇に、天童さんはハンバーガーやポテトを持ってきた。たん!と勢いよくトレイを置く。
「黙っててもらえて助かったよ。これは私のおごりだから食っとけばいい。これで自分で処理するつもりがお前に見つかって面倒くなったのは言わないでおくから」
勇は、言っとるがな、とツッコミつつも遠慮なく食事を始めた。

そして、突然、
「私怖かったよ、一ノ瀬くーん」
と、先程の天童さんの真似をした。天童さんは思わず咳き込んだ。
「テメェその事、一生黙っといた方が身の為に-」

立ち上がって怒る天童さんの言葉を勇が制す。
「じゃぁちゃんと説明しろよ」
「俺はあの男がお前の名前を呼びながら助けを求める声をちゃんと聞いた。怪我だらけで倒れていたのは、男たちだけで、お前は傷1つもない。 信じがたいけどお前があの人たちに暴力を振ったとしか思えないんだよ
「お前に罪がないってことを俺に説明できないと、ここの人たちと警察に俺が見たこと全部ばらすからな。もちろん学校と橘君にも」

天童さんは、ガタンと両手をテーブルにつきながら説明を始めた。
「中学の時に少しつるんだことのある奴らだ。バイト先をめちゃくちゃにするとか言いやがって、先にそうはできないようにしてあげただけだ」
そして勇のこともしっかり脅した。
「橘に話すつもりなら、先にそうはできないようにしてあげてもいいよ」

勇は今までの天童さんについて考えていた。

乱暴な喋り方。

女子にしては強すぎる力。

つるんでたとか言ってたな…あいつもしかして元ヤンか…?

***

食事を終えて勇が帰ろうとすると、天童さんと一緒に働くおばさんが、勇に話しかけてきた。
「あの、天童ちゃんのお友達ですよね?もしかして彼氏……」
「断じて違います」
勇は思わず顔に力が入る。

「あらそれは失礼…さっきはありがとう。私はあの子の指導担当だったのであんなことに巻き込まれるのを見ると心配なのよ」
勇が聞き返すと、おばさんは、何故かよく暴力事件に巻き込まれると言った。

勇は、その事件自分で起こしている、とは言えずに、黙って聞いている。
「あんなにか弱い体で頑張ってる子だからちゃんと報われてほしいのに…」
「まだ学生なのに両親の借金を1人で背負うちゃって…かわいそうに…」
勇はそれを聞いて、思わず接客をする天童さんのことを見た。

***

店を出て、勇は傘を開いた。一瞬大変だなと思ってしまった。

だからといって、暴力や嘘が正当化されるわけにはいかないけど

でもなんとなくあいつのやけに必死なところが理解できたような……

勇が歩き始めると、顔や腕に手当のあとがあるメガネの男がついてきた。猫背で、気が弱そうな顔をしている。
「何か用件でも、つーか誰?」
仕方なく、勇から話かけた。
「あ、いや、あの君…さっきの緑色の髪の子と友達…だよね?」
天童さんのことだ。

「いいえ、ただの知り合いですが…さっきの?」
そう言いながら、勇は先程の暴力事件の時に、今、目の前にいる男の子が、端の方でうずくまっていたことを思い出した。
「なんですか。仕返しにでも来たわけですか」
「いやいやそんな…!ぼ、僕はお礼を伝えたくて…!こ、これ!あの子に渡してあげて欲しい…! 僕をかばって足に怪我をしてるんだ。ああなったのも僕のせいなんだ。 あの人たちに絡まれている僕を助けるために……」
そう言って男は絆創膏や包帯の入ったビニール袋を差し出した。

「ちょ、直接渡すのは怖くて」だそうだ。

***

バイトを終えた天童さんが店から出ると、突然、すーっとビニール袋を差し出された。勇だった。
「お前が助けた人が渡してほしいって」
なんで俺が、と思いながらも、勇は説明した。
「じゃぁな、俺は渡したぞ」
と言って勇は行こうとする。
天童さんも、何も言わずに行こうとする。

しかし勇が振り返ると、天童さんは土砂降りの中を歩こうとしていた。
「テメェ天気予報も見ねーのかよ!傘ぐらい持って来いよ!」
そう言って、自分の傘に半分入れた。
「何?何のつもり?」
振り返りながら天童さんが言った。
「どこだよ、お前ん家、送るから」
「いらないわよ」
即答で答える天童さん。
「俺だってめんどいし、すげー嫌だけどここで1人返すにはいかないのがヒーローの事情でな」
「そんなのやめちまえばいい」
勇はいらっとしたが、
「いいからついてこいよ。これはタダにしてあげるから」
勇は、借りを気にする天童さんに言う。

「…バス停まで案内しろ。雨でぼやけて道がわからない」
天童さんは勇に応じたが、あくまで偉そうなその態度に勇は閉口した。

To Be Continued

【感想】

前回に引き続き、勇と天童さんのやりとり。お侘びなのか、お礼なのか、ハンバーガーでカタをつけるあたり、
天童さんの計算高さと行動力はさすがですね。

天童さんは一言も言ってなかったけれど、実は、人を助けるために起こした暴力事件だったので、かっこよすぎます。しかも、怪我をしているのも隠していて、天童さんの方がヒーローみたいです。

勇、天童さんの扱いが上手になっている気がします。伝わりづらい天童さんの良いところ、勇がどんどん理解していってますね。翼は、初めから天童さんのことを好きそうでしたが、登校日には関係性が逆転して、勇の方が仲良く(?)なってたのはきっとこの時ですね。

【ネタバレ/伏線回収班】

天童さん→両親の借金を1人で背負ってバイトしている

 

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