『カカオ79％』4.5:帰り道（コミック版描き下ろし）【あらすじ＆感想】

web漫画/カカオ79％【あらすじ＆感想4.5話】～残り21％の甘さ～
4.5:帰り道（コミック版描き下ろし）

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4.5:帰り道（コミック版描き下ろし）

【あらすじ】

夕暮れどきの街を、翼と勇は歩いている。翼はスマホの地図アプリを見ながら歩き、その翼に勇がついていく。

「えーっと?ここで曲がって、次に…信号渡って…」
「綾野さん、来るときには信号渡った覚えないんですがおかしくないっすか。信じてついていっていいですか?」

勇が後ろから、ポーカーフェイスで翼に声をかけた。
「うるせぇなぁ、あんた、携帯のナビを疑ってんの?」
翼がアプリを見たまま答えた。
「この子はな、少し遠回りかもしれないけど、1番正しい道に導いてくれる子なの。私たちよりとびきり頭のいい子なの。黙ってついてこいって」
「俺が疑ってんのはそのナビを操ってるとびっきり頭の悪い子です。ちゃんと見てんの?」
と勇が言うやいなや、
「あ」
と言う翼の声とともに、翼のスマホの電池が切れた。

冷や汗をかく翼に、冷たい視線を送りながら、勇が言う。
「綾野さん、たった今、俺の信頼が暗黒持ちました。目の前も携帯の画面も真っ黒です。」
「だ、だから誰がついて来いって言ったよ!あーもう後ろからうるさい!!」

2時間前。
学校を終えた翼は勇に声をかけた。
「勇、これから予定ある?」
あくびをしながら、勇が答える。
「あ?帰って片付けかな。まだ引っ越しの荷物散らかってるし。」
「じゃぁ、先に帰ってよ。私ちょっとここら辺回ってから行くから。」
翼が言った。
「回って何するんだ?」
「何言って道覚えるの!早く慣れたいじゃん。それに…」
と続ける翼の笑顔に、勇が釘付けになった。
「今日は天気がいいから」

このときの私は、
まだ学校から家までの道すら
慣れていないこの街を、
少し散策して帰るつもりだった。

へーいい感じのカフェ覚えとこ、と翼が街を歩きながら思う。するとカフェの中で勇が片手をあげて、翼に合図を送る。
「…ここで何してんの」
「お前さぁ、そういうのは誘えよ。何1人で、「新しく引っ越してきましたどうも」的な人のコスプレしてんだよ」
勇が翼に言った。

翼がちょっと呆れながら
「いや私たちは、まさしくその人なんですけど」
と言う。
勇はそんな翼に近づきながら、
「せっかくだし一緒に回ろうじゃないか」
と言いながら、持っていたコーヒーを渡した。
「ほら行くぞー」
先を歩く勇の背中を眺めながら、翼が、一瞬で見慣れた景色にしてくれるなぁと思いながらも、
「…おお」
と返事をした。

だから油断してしまったのかもしれない

「でどこまで回るつもり?」
「本当はすぐ帰る予定だったけど、せっかくだし、この街から私たちの知らない道なんかなくしてやる」
翼が持っていたコーヒーを握りつぶしながら言う。
「そうこなくちゃ」
勇も乗る。

そして道に迷う

そして現在

「だァー!あんたの携帯よこせよ!ナビかせ」
「無理、俺のも充電切れてる」
勇が言った。

翼と勇は、道にある地図を見ながら、2人で話をしていた。
「はあ…仕方ないな、この地図をなんとか頭に入れ込んで」
「お前の携帯のナビ、やっぱ誤作動してたって。ここ全然家の方じゃねーだろうが」
地図を覚えようとしている翼の横で勇が言う。
「わかったからあんたもこれ覚えといて!私より暗記力あるでしょうよ!」
それから私たちはさらに1時間もかけておうちにたどり着くことができた。

勇のやつ勝手についてきて、
苦労するなぁと思いながらも、
勇の姿と一緒に刻まれた道は
もう忘れる事は無いんだろうなぁ
と思うと
少しありがたい

「それじゃお疲れ様でした、また明日」
家の前で翼が言う。
「翼、次はちゃんと誘えよ。せっかくまた隣だし、どこでも一緒に行ってやるから」
勇が翼に言った。

2人は見つめ合う。

一緒

「じゃぁ今度は携帯の充電しっかりやってきてくださいね。こんなに迷うのはもうごめん…」
翼が苦笑いしながら言う。
そこに、勇の携帯がなった。
ピロロロロロロロン
ピロロロロロロロン

勇は何事もなかったかのように、電話に出た。
「あ、もしもし蛍?俺、今、家ノ前。ちょっと遅くなった。今入るから」
勇は電話をしながら、翼の方を見て、片手をあげて家に入っていた。
翼は、勇の携帯の電池がまだあったことに、衝撃を受けていた。

一緒

それは…
いつまで?

To Be Continued

【感想】

私の大好きな漫画であるカカオ79%が書籍化するとなって、とってもとっても喜びました。今までスマホで読んでいた漫画が、手の中で、本になって、所有物として読むことができるというのがなんともいえない喜びでした。

内容はウェブ漫画で知っているものの、やっぱり書籍になると味わいが違いますね。その中でも、この話は、単行本の書き下ろしと言うことで、ウェブでの連載には載っていない話が掲載されていました。

翼の後をついていく勇かわいかったです。本当に、お姉ちゃんと弟と言う感じがしますね。ウェブ漫画では、もっと2人の恋は進展しているのですが、ちょっと最初に立ち返って2人の関係を見てみるのも良いものでした。
勇は、携帯の電池が切れていると翼に嘘をつきながら、翼と一緒に街を歩きたかったんですね。バレちゃったのに、動じないというか、ポーカーフェイスで帰っちゃうところも、イケメンです。

ぱっと見、勇の方が翼のことを好きなのに、翼の方が振り回されてるという、不思議な関係です。