web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想256話】~残り21%の甘さ~
256:雨とピアノの旋律(6)
「ぬはっ!やっと室内に入れたよ、いやぁ、鍵失くしちゃってさー」
翼は靴を脱いで防音室に入り込む。
「玄関からベル押せよテメェ…」
と勇は言うが
「押したのに反応がなかったからこっちへ来たんです!」
と翼が反論する。
「いやぁでもおかげで面白いの見れたし~ビビッてバカみたいにこけるの見たぞ~?あんたやっぱり雷に弱いんでしょう?やっと証拠が掴めたよ。いつもビクビクしてんの気づいてたぞ?」
翼がニヤニヤしながら言う。
「怒った?恥ずかしい?ビビってる?」
翼は嬉しそうに聞く。勇は翼の質問には答えずに
「黙ってそこで大人しく座ってろよ、タオル持ってきてやるから。床が水でビショビショじゃねえか」
とそっけなく言いながら、翼に背を向けて部屋から出て行った。
あれ?マジおこ?
残された翼は考える。
うーむ…
ちょっとからかい過ぎたかな
弱みにして今後有効に使おうかと思ってたけど
翼が悪魔的なことを考えていると、床に転がっているヘッドフォンが目に入った。
音楽を聞いてたから反応なかったのか
なるほど
「どれどれ」
翼はヘッドフォンを装着し、再生ボタンを押した。耳の中に、大音量でロックの音楽が流れてきた。耳がダメになるくらいの大音量だ。
?!
「な、何これ?!う、うるさっ!!」
翼が慌ててヘッドフォンを外すと勇が戻ってきた。
「あっテメェ!大人しく待ってろっつったろーが!何勝手に…」
勇が翼に注意をしていると、再び外がピカッと光った。勇の身体がビクッとこわばる。ガガガガガガガガガガガガガン、と、今日、一番大きな雷が落ちる音がする。
翼は人差し指で片耳を塞ぎながら、目の前の勇が、顔をゆがめて両耳を塞ぎ、その場に座りこむのを見た。勇が持っていたタオルが舞い落ちるよりも早く、翼は勇にかけより、勇の肩を抱いた。
「ちょ、ちょっと何もそんなに、ビビらなくても…」
取り乱して何もできない勇に翼が言う。勇の表情は、目を見開いて、瞳孔も開いているようだった。焦点が合っていない。
毎日のように一緒にいた
雨の日だって
ついさっきまでも
でもここまで乱れている勇の姿は初めて見る
こんなに苦手なのに
いつも我慢して強がってたのか
翼は自分に何が出来るかを考えた。周りを見回して、CDコンポのヘッドホンのコードを抜く。大音量で流れる音楽をピッととめて、『PIANO』と書かれたCDをケースから取り出し、コンポにセットした。
それから翼は立ち上がると、シャーっと音を立ててカーテンをしめ、部屋の証明をつける。パチッと部屋が明るくなった。あたたかい紅茶を入れて、マグカップをトンとテーブルの上に置いた。
翼が言う。
「今からこの部屋の雰囲気を変えます」
そして落ちていたタオルを拾って、座り込む勇の頭にかけた。勇の焦点が勇に目線を合わせてしゃがむ翼に合った。
「あんたバッカじゃないの?!何で灯りも点けないで何してたんだよ。それに何よあの音楽のチョイス。雷の日にロックなんか聴いてたら鼓膜が破れるわ、本当にバカじゃないの?こういのはさ、リラックスが大事なんだよ」
翼はそう言うと、ピッとコンポの再生ボタンを押した。
「さっきからかったことのお詫びに、今からあんたに最高のリラックスをプレゼントしよう」
翼が言った。
ToBeContinued
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