web漫画/カカオ79%【あらすじ(ネタバレ)&感想175話】~残り21%の甘さ~
突然ですが
私には密かにメールを交わしているメル友がいます
時は遡り
自分のメールアドレスを書いたリボンで包んだクッキーを
クラスの皆に配っていた転校してきたばかりの頃
そのメールは来ました
***
休日に、勇と出かけて偶然会ったクラスメイトと話をし、彼らと別れた直後、翼のスマホにアリスちゃんからメールが届いた。
「誰だ?アリスって」
突然、横から勇が話しかけたので、翼はビクッとする。スマホを握りしめたまま、うまく答えられない翼に、勇は近づいてきた。
***
アリスちゃんからの一通目のメールは
とても事務的なものでした
こんな感じ
差出人:有栖川
タイトル:警告
本文;
あなたのメールアドレスが書かれてるリボンを校内の廊下で拾いました。
悪用される前に何とかした方がいいのでは。
個人情報は大事にしないと。
***
翼は持っていたスマホを身体の後ろの回しながら答える。
「え、えーと…アリスちゃんは…その…うちの学校の先輩ですごく優しくて頼りになる人…」
勇はしどろもどろに答える翼を見ながら
「はあ」
と言った。
あれ
難で私こんなにオロオロしてんだろ
何も悪くないのに
「文化祭の準備で知り合った人?」
勇は、翼の説明では、アリスちゃんと翼の関係性がわからなかったようだ。
「あ、いや、そうじゃなくて…」
翼は、あれがこれでこれがあれで、とアリスちゃんについてイチから説明をした。ひと通りの説明を終えると、勇が要約をして聞き返してくる。
「なるほど、つまりお前は顔も得体も知らないアリスちゃんというウチの学校の2年女子とメル友をしているわけで、つらいことがある度に彼女に相談にのってもらったり、アドバイスをもらったり、まるで日記を書くよな感じで根掘り葉掘りとお前自身のことをしゃべりまくったというわけか」
翼は親指を立てて、自信満々に答える。
「ああそうさ!」
「個人情報は大事にいないとな?全然言うこと聞かねぇゴリラだな」
勇は呆れて言った。
それから二人とも少し、口論のような口調になる。
「何顔も知らない人にペラペラ喋ってんだよ?!」
勇が言うと
「大丈夫だよ、アリスちゃんは危ない人じゃないから!それに他に相談できる人もいなかったんだもん!」
と翼が応酬。
「は?俺に相談すればいいだろうが!」
勇の言葉に翼はすぐさま反応する。
「できるかっ!!風邪の引いたあんたにキスされてパニクってたことをあんたに相談できるわけあるかよ」
勇はフリーズした。
確かに
しかしすぐに、ガシッと翼の頭を両掌でつかんで、力を入れる。
「で?アリスちゃんに何て言われて俺の部屋に仕返しに来たんだ?寝込みを襲って、そのくせに無理とか言われて…マジ…はあ…」
そう言いながらも、勇の頭の中では合点がいく。
やつの受け売りだったのか
どうりでこいつにとってはありえない行動だと思った
だって最初は夢だと思ったもんで
翼は
「お、襲ってねえよ!!未遂で済んだし?!」
と言い返す。
「あ、あれはアリスちゃんに言われたからじゃないよ!む、昔聞いた話を思い出して…!キ、キスもしくはそれ以上をすることを想像できるかどうかで相手のことを異性として受け入れられるかどうか…だから試してみようと思って…!」
勢い余って全部を言った翼は、勇の表情に、ハッとする。
「それ…以上…?」
ピヨピヨ
ピヨピヨピヨピヨ
ピヨピヨ
ピヨピヨピヨピヨ
翼の頭の中で、無数のひよこたちがさえずっていた。
あれ?
アリスちゃんの話をしていたつもりが
何故こう…
ピヨピヨピヨピヨ
ピーーーーーーーーーーー
翼の脳裏に、急に浮かび上がるあの日の思い出
それは、文化祭の準備中、翼と勇の二人で話した時に、勇がピーだらけの質問を翼にして、翼が自信満々に
「で、できるよ!!」
と言ってしまった時のこと。
翼は、パンっと両手をたたいた。
「それは置いといて」
そこ置いとくのか
と勇は少し不満そう。
「アリスちゃんは怪しい人ではありませんから、いい人だから!一度も会ったことのない人ではあるけど、話を聞いてもらうだけで私は励ましてもらってたんだ。危ない人ならとっくに何かやってるだろ」
翼の話に勇は
確かに
と納得する。
「まあ…それはわかった、つまりアリスちゃんという謎のメル友がいるってことで、さっき届いたメールで驚いてた理由は?」
「あ、それは最近お互いご無沙汰してたもんでつい」
勇の質問は続く。
「ふむ、何てきてたんだ?」
「あ、私、天童さんのことも話したことあるんだけど」
翼は答えながら、表情から笑顔が消え
「最近どうかって」
涙目になり
「そう…そんな内容…だったよ…」
と言って泣いた。
クッソ、遠隔で地雷踏みやがって
死ぬのは俺かよ
勇は心の中でアリスちゃんに悪態をつく。
「私、天童さんにとってアリスちゃんみたいな存在になりたかったんだ。天童さんにそうやって全てを吐き出せる人…いるのかな」
***
翌日の学校。放課後を知らせるチャイムの中、勇は教室で一人、ノートや教科書をカバンにしまっていた。
…結局
昨日「それ以上」については触れられなかったな…
一番気になるところだ
その後もアリスとやらの話と
ヤンキー女の心配で
そういう雰囲気にはなれなかったし
夏目といい
アリスといい
天童といい
何で俺のライバルって
全部女子なんだよ
いや
男の方よりはマシだけど
今だって
「天童さんのクラス覗いて帰る!待たなくていいから先に帰って!」
とのことで翼に捨てられらわけだし
だから
一緒に行こうって何で言わねえんだよ
あのバカゴリラ
俺だって…
勇は天童さんの涙顔を思い出す。
「あーマジで何とかしねえとラチあかねえ」
勇は一人呟いた。
ToBeContinid
カカオ79%【感想(ネタバレ有)】
あれれ?ちょっとちょっと、アリザワ先輩と天童さんはどうなったのよ???と、前回から一番気になっていたところには今回触れていなくて、ちょっと残念でしたが、楽しみが先延ばしになっただけだけです。我慢します。
アリスちゃんというメル友の存在、案外あっさりと紹介されましたね。でも、やっぱりアリスちゃん、女の子設定でしたね。そして、当たり前ですが勇も、すっかりアリスちゃんは女の子だと信じ切っているみたいです。ライバルは全員女の子って…。
アリザワ先輩、ますます、自分がアリスちゃんと名乗りにくくなってしまいそうです。
あのときのピヨピヨがまた出てくるとは思いませんでした(笑)でも、晴れて恋人同士になれたわけだし、そういうこともありますよね。翼、あの時は「できるよ」とはっきり啖呵切っていましたが大丈夫でしょうか。冷や汗ダラダラでしたね。
勇、付き合い始めても、扱いがぞんざいでちょっと可哀想ですね。
カカオ79%【ネタバレ/伏線回収班】
●メールアドレスが書いてあるリボンを拾うアリスちゃんの話→『カカオ79%』19:一緒です【あらすじ&感想】
●風邪ひいた勇が翼にキスの話→『カカオ79%』38:花色バレンタイン(小5)~ランドセルの色は~【あらすじ&感想】
●勇の部屋に仕返しに行った翼の話→『カカオ79%』39:花咲く【あらすじ&感想】
●勇にピーピーできるかと聞かれて、翼「できるよ」の話→『カカオ79%』104:恋する乙女たち(3)【あらすじ&感想】
●勇の前で涙顔の天童さんの話→『カカオ79%』162:招かざる客(3)【あらすじ&感想】
コメント